iPhone 8/Plusは買い換えか、見送りか--進化に驚くカメラ機能の実力【先行レビュー】 - (page 4)

iPhone 8 Plusだけが持つポートレートライティング機能

 さてiPhone 7 Plusだけに搭載されていたデュアルカメラは、イメージセンサやプロセッサが刷新された上で、iPhone 8 Plusにも引き継がれている。2016年のリリース時に“ベータ版”だったポートレートモードは今回から正式版となり、iOS11からはiPhone 7 Plusも正式版として利用可能だ。

“ベータ版”だったポートレートモードは2017年より正式版に
“ベータ版”だったポートレートモードは2017年より正式版に

 ポートレートモードは、望遠側と広角側それぞれで捉えた映像の差分を用いて被写体との距離を推測し、大きなイメージセンサと明るいレンズを用いたかのような被写界深度の浅い画像を実現する。iOS11にはDepth APIというAPIが用意され、カメラが捉える距離(深度)の情報を用いてサードパーティ製アプリケーションを開発できるほか、記録する映像にも深度情報が付加される。

 正式版になったとはいえ、使いこなしにはベータ版当時と同じようにコツがいる。なるべく背景と人物の距離差を大きくした上で撮影すると、背景との分離がキレイに出る。iPhone 8シリーズは、肌色の描写が従来よりも暖色系で立体感もより引き立つ絵作りとなっており、うまくハマると驚くほどキレイだ。機能だけで言えばiPhone 7 Plusと同じとはいえ、その仕上がりは別ものと考えていい。

 そしてiPhone 8シリーズに搭載される新しいISPとの組み合わせで初めて実現できるのが、ポートレートライティングという機能だ。これはデュアルカメラを用いて検出する深度情報を用い、被写体へのライティング効果を仮想的に引き出すものだ。現時点ではベータ版となっている。ちなみにiPhone XではFace ID用に顔の形状を3D認識する機能がインカメラ側にあるため、自撮りでもこのポートレートモードとライティング機能を利用できる。

 使いこなす上でのコツは、基本的にポートレートモードと同じ。デュアルカメラでの深度検出は、被写体と背景の距離差が大きいほど正確に行える。その部分を意識して撮影すれば、なかなか楽しく使える機能だ。

 ライティングモードは自然光、スタジオ照明、輪郭強調照明、ステージ照明、ステージ照明(モノ)がある。ステージ照明モードは背景と被写体の分離がうまく行っていない場合は不自然にやりやすい一方、ドラスティックな効果も得やすい、言い換えれば使いこなしがいのある機能だ。

ステージ照明(モノクロ)
ステージ照明(モノクロ)
元画像はこちらから:2.29Mバイト

 深度情報は前述したように撮影した写真にメタ情報として記録されているため、写真をiPhone内で編集する際に後処理で変更することもできる。さらにはDepth APIに対応したサードパーティアプリを用い、より複雑な加工も行える。

 たとえば、Apple Parkで行われた発表会後のデモでは、Enlight PhotofoxというアプリケーションのDepth API版を用い、被写体と背景をレイヤーとして自動的に分離。それぞれに異なる映像効果をかけるといった処理が行えていた。現時点でApp StoreにアップロードされているPhotofoxは対応していなかったが、iPhone 8シリーズ発売後に新バージョンにて対応することが期待される。

 このようにカメラアプリ単体の機能として実装されるのではなく、APIを通じてサードパーティ製アプリの進化を促すプラットフォームを作る意図を受けとれる。iPhone Xではインカメラでも深度情報が扱えるようになることを考えれば、今後はさらに多くのシーンで深度(距離情報)を用いたカメラ機能の進化速度が向上していくことが予想される。

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