同社CEOのSeph Mayol氏は、フィリピンが「自撮り大国」とはいえ、多くの人が自分が口にした飲み物や食べ物、着ている洋服などをアピールするのを見て疑問を感じていた。
自撮り写真が拡散することで企業やブランドはタダ同然で大きな宣伝効果を得る一方、撮る方が得るものといえばバーチャル上の「いいね!」のみ。何とかWin-Winの形にできないかと考え、Hoy!を着想したという。
自撮り大国であることに加えて、Hoy!が注目を集める理由はなんといっても「報酬」だ。報酬は企業の製品やグッズなど目に見えるものが多い。「ユーザーにとっては形あるモノをもらえることがノルマ達成のモチベーションにつながりやすい。実際に店舗に足を運んでもらったり、サービスを利用してもらったりするのにも、直感的に価値が分かるモノの方が効果的で、オンラインからオフラインの導線を確保できることが企業側にとってメリット」(Mayol氏)。
参加企業はアプリ内に各自のプラットフォームを持ち、そこで報酬やノルマの内容を入力し、ユーザーに告知する。現在は企業に課金していないが、ユーザー数を拡大し、2017年の春先には課金を始め、収益化を急ぐ。
「映画やテレビで商品を小道具として使ってもらうプロダクト・プレイスメントや、有名人に紹介してもらう宣伝方法は、中小企業にはコストが高すぎる。しかしHoy!では、一般の人びとをインフルエンサーとしたネットワークで、同じような宣伝効果を低コストで得られる」(Mayol氏)。
また実際、「自撮りすることが顧客との関係維持と新規顧客の獲得につながると、参加企業からフィードバックをもらっている。フィリピン全域、そして海外展開も視野に入れたい」と意気込む。
格安スマホや安価なデータ通信料プランの普及を背景に、これからもフィリピンのSNS人口は増え続けるだろう。この国ならではのユニークな発想で、Hoy!は消費者と企業間の新しいコミュニケーション手段としての地位を確立できるか注目だ。
(編集協力:岡徳之)
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