近藤氏からは、10月にOculusが主催した開発者向けカンファレンス「Oculus Connect3」について触れられた。専用コントローラの「Oculus Touch」が米国時間の12月6日に発売されることなどさまざまな発表が行われたなか、近藤氏はそのOculus Touchを活用した2つのトピックスを取り上げた。
まずはVR空間をチャットルームとして、別の場所にいる相手とコミュニケーションを取るソーシャルVRのデモ。Oculus Touchによってジェスチャーを行うことができるほか、背景の映像を変えたり、みんなで動画を楽しむ様子を紹介。
もうひとつ、Oculus Touchと同時リリースの予定とされている「Oculus medium」。これはVR空間のなかで3Dモデルの立体物を直感的に作成できるソフトで、3Dプリンタによる出力も可能。コンピュータのユーザーインターフェース(UI)は、キーボードで全ての操作を行うキャラクタユーザインターフェース(CUI)から、コンピュータグラフィックスとポインティングデバイスを用いて直感的な操作を行うグラフィカルユーザインタフェース(GUI)へと変わってきたが、近藤氏は、Oculus mediumのようなフレーム枠にとらわれないUIによって「モデリングやCADの操作が再定義されるのでは」と語った。
原田氏がヘッドマウントディスプレイ(HMD)型のVRシステムに興味を持ち始めた段階では、当時同じ部署の上司だったという小山氏や周囲の人に相談。前向きな反応もあるにはあったものの、肝心の開発予算を引き出すというところまでは進まなかった。2年前のトークセッションでも語っていたように、部活的な立ち位置から開発を進め、サマーレッスンによって注目と話題の喚起に成功。社内でもいい意味での手のひら返しが巻き起こったという。
そんな部活的な立ち位置から始まったVRの取り組みだが、VR ZONEの成功も相まって「VR部」という正式な社内部署が最近立ち上がったという。早期から取り組んでいた原田氏にとっては「痛快な出来事」と笑顔で語っていた。今でもVRに関してはさまざまな発見があるとし、その発見をサマーレッスンをひとつのプラットフォームとして順次発信していくとした。
また原田氏は人工知能(AI)にも着目しているという。ゲーム業界で実用化するにはまだ課題が多いとしたものの「エンターテイメントを一変させる力がある」と主張。オンラインゲームでAIとパーティーを組んだり、対戦格闘ゲームでAIと対戦するほうがよりよいゲーム体験が得られるようになるという未来像を持っているという。「AIはパーフェクトな存在に思えるが、僕はそう思ってない。あるところまで行くと人間の不完全さとか、人間が完璧じゃないことを美徳とすることを人工知能が知る。その瞬間『生命になる』」と語り、そうなったときに、例えばサマーレッスンの女の子が本当に恋愛できるような存在になると説明した。
小山氏からは、日本のマンガやゲームのさまざまなシチュエーションは、VRで有効活用できると見解を示した。「たとえば『マリオカート』のレインボーロードを本当に走ったら死ぬほど怖いはず。『ドラゴンボール』のカメハメ波を撃ったら周囲のものが全部消える。そういうことが体験できる」と例えに挙げつつ、コンテンツの創造力を絵の中に閉じ込めず、VR空間で体験できるということを日本としてやるべきと主張した。
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