Adobe Summit 2016

テレビ体験パーソナライズ支援で「Adobe Primetime」強化--コムスコアと提携

別井貴志 (編集部)2016年03月24日 01時47分

 Adobeは、年次で展開しているデジタルマーケティングカンファレンス「Adobe Summit 2016」を米国時間3月22日から24日まで開催しており、「エクスペリエンスビジネス」の重要性を説いている。3月22日には、マルチスクリーンテレビエクスペリエンスソリューション「Adobe Primetime」でエンドツーエンドの新機能を発表した。併せて、Adobeは消費者のメディア視聴行動をより正確に詳しく測定、分析するためにこの分野で大手のcomScore(コムスコア)とグローバルでの戦略的提携を発表した。これらにより、テレビ局や有料テレビ企業、メディア企業の視聴者拡大とテレビ体験のパーソナライズ、収益化などを一段と支援する。

 テレビ視聴のスタイルは、以前のようにリビングでプライムタイムに家族そろって見ることから、Apple TVやSony PlayStation、Roku、Xboxなどのモバイル、ノートPC、コネクテッドデバイスなどを通じて、好きな時に好きな端末で視聴するスタイルに変化した。こうしたマルチデバイス、マルチスクリーン時代に従来のようなケーブル放送や衛星放送、モバイル通信会社が提供している有料テレビのパッケージなど代わるサービスを視聴者は求めており、あらゆるスクリーンに配信される「Over The Top(OTT、動画コンテンツサービス事業者もしくはコンテンツサービスそのものを指す)」の活用も積極化している。

Brad Rencher氏は「Adobe Primetimeでテレビ体験を再定義する」 Brad Rencher氏は「Adobe Primetimeでテレビ体験を再定義する」

 Adobeのデジタルマーケティング担当エグゼクティブ バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャであるBrad Rencher(ブラッド・レンチャー)氏は、「このように大きく変革し多様化ているテレビ、メディア業界の課題は大きく2つある」と述べた。その1つは広告も含めた視聴測定だ。1年前にニールセンと戦略的に提携しクロスプラットフォームの視聴動向を測定しているが、今回のコムスコアとの提携でさらにテレビ、ビデオオンデマンド、スマートフォン、タブレット、ゲーム機、OTTコネクテッドデバイスといったプラットフォームに対し、デジタルビデオコンテンツや広告のシームレスな測定を可能にする。具体的には視聴される動画の数、視聴時間、広告エンゲージメントレートといった主要な指標などやインサイトを世界規模でマーケターに提供する。マーケターは、これに基づき広告キャンペーンを最適化し、テレビやデジタルメディアにおいて、適切なオーディエンスへ的確にリーチできるようになるという。

 もう1つの課題は、消費者にパーソナライズさらたコンテンツ、広告を届けて魅力的なエクスペリエンスを提供しつつ、もっと視聴者との直接的な関係を強固に構築し、収益化することだ。Adobe Marketing CloudとAdobe Primetimeの新機能により、具体的にはまず視聴者との関係を構築する。Adobe AnalyticsおよびAdobe Audience Managerは、最新の視聴者のコンテンツ視聴パターンに基づき具体的な視聴者のセグメントを特定して、類似の視聴者に働きかけることにより、セグメントを拡大化できるようにする。Adobe Media ManagerとAdobe Targetは、検索、表示、ソーシャルチャネルでの自動化された広告キャンペーン出稿により、トライアルから有料登録への移行を促進する。また一貫性を持ったマーケティングメッセージを作成するためには、Adobe TargetのA/Bテスト、多変量テストとコンテンツの最適化をアプリ内とオンサイトの両方で提供し、視聴者獲得の最大化を狙える。

 そして、視聴者とのエンゲージメントも強化される。アドビの新しい動画パーソナライゼーションエンジンであるAdobe Primetime Recommendationsを使えば、ビッグデータを活用して視聴者のエンゲージメントと視聴時間を増加させられるという。Primetime Recommendationsは、番組や映画コンテンツをストリーミングするほとんどの米国の家庭における2000億を超えるオンライン動画の視聴状況から学習する。また、視聴者が視聴した量とコンテンツの内容など、関連性を分析し、パーソナライズされたテレビ番組を推奨するとともに、、Adobe Campaignを使って、動画アプリを使っていない視聴者へ推奨テレビコンテンツを通知するために、既知の消費者の好みに基づいて電子メールによるキャンペーンや通知することも可能だ。

 さらに、収益化の面では、Adobe Primetimeと併せて、Adobe Audience ManagerおよびAdobe Targetを利用することで、視聴者に関連性の高い広告を提供し、どのスクリーンやプラットフォームでも動的に広告の挿入と測定を行い、特定された視聴者セグメントの特性に基づいてターゲティングした広告を制作できるようになる。

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