“空間”そのものが広告領域になる--マイクロアド渡辺社長インタビュー - (page 2)

 PCからスマートフォンへとデバイスがシフトしていく中で、大きく変わったことは何かといえば、やはり外に持ち運べるようになったことだと思うんです。先ほど、テレビが見られなくなったという話をしましたが、特に若い人たちはフェスなどリアルなイベントに行くことが当たり前になっていて、だからこそ外テレのようなデジタルサイネージなどにも力を入れています。

 ただ、それだけでは限りがあると思っていて、僕はメディアとして「空間」というものが最後の場所だと思っています。そうなると当然ドローンだと。空間自体を僕らのメディア広告領域として、どのように使っていくのかということを考えているところです。なので、ドローン事業は僕が遊びでやっていると勘違いされている人もいるようですが(笑)、そうではなく空間を使ったコミュニケーションをしたいと思って、試行錯誤しているところです。


 今はちょうど携帯電話が出てきたばかりの頃と似ていると思います。ただの持ち運べる電話だと思っていたら、そこにカメラがついた。さらに、カメラで撮った写真をいろいろなところにアップロードできて、そういうサービスが何兆円もの企業価値を生むみたいなことは、当初は誰も考えなかったと思います。それと全く同じで、いまはドローンってラジコンや物を運べるものでしょと思っている人が9割以上いると思いますが、ドローンにも(携帯電話でいう)Instagramのような存在のサービスが生まれる気がします。

--今後、ドローンを使って実現したいことは。また、それは何年後に現実的なものになると考えますか。

 ドローンで空間を使ったショーみたいなものをやって、そこが広告になっていくようなイメージでしょうか。たとえば、花火がドローンになったら結構おもしろいと思うんです。一般的な花火って危険なので人の真上ではあげられませんが、ドローンであれば、そこまで場所にもこだわらずに飛ばしてショーができるので、いろいろな見せ方ができると思っています。

 ドローンの技術的には、2年くらいでかなり進化するのではないかと思います。いま世界でトップシェアの中国DJIはここ数年で社員数が急増しています。また、ドローン自体の出荷台数もどんどん伸びているので低コストになっていくし、そこに対する投資も伸びています。正確に予測するのはすごく難しいんですが、思ったより早いだろうと感じています。

--海外展開についても聞かせてください。12月時点でアジア10カ国18拠点に展開していますが、今後のロードマップは。また、欧米市場についてはどう考えていますか。

 ミャンマーなどを除いて、アジア展開はぼぼ完了しました。しっかり利益を出せるようになってきましたし、グローバルマーケティングについても伸びしろがあります。ただ、短期間で一気にアジア拠点を設けたので、欧米はもう少し先かなと思います。まずはアジア全域で研究を進めながら、各国をレベルアップさせていきたい。そこから円を広げていくイメージです。

 欧米とは時差の問題もありますので、そこでコミュニケーションがうまくいかなくなる可能性もあります。我々はアジアから円を広げていますが、いきなり(欧米など)遠いところへいくのは合理性がありません。グローバルマーケティングでいうと、アジアが広がっていけば、自ずと欧米からの問い合わせも増えていくでしょう。すでに、アジアのマーケットを攻略したい欧州の企業からも引き合いがあります。

「アジア展開は完了した」と渡辺氏
「アジア展開は完了した」と渡辺氏

--2016年はどのような1年にしたいと思いますか。

 2015年はインフラを準備した1年だったと思います。アジア展開というのも1つのインフラですが、データや動画、コンテンツを作れる環境なども用意できました。それに対して、これまでは「何かやってるね、新しいことやってるね」みたいに見られていたと思うのですが、2016年になるとそれらのインフラが繋がっていくので、「そういうことね」と感じてもらえると思います。

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