Tableauが“個人向け”のビッグデータ解析アプリを開発した理由 - (page 2)

 もうひとつ具体的な解析を紹介すると、たとえば米国のAmazon.comのアカウントサービスでは、過去の注文データをCSV形式でダウンロードできるのをご存知ですか。ダウンロードしたデータをVizableで開くと、どのカテゴリの商品を多く購入しているか、Amazon.comでどれくらいのお金を毎月使っているかなどが一目でわかります。どの月に何を多く買っているかといったクロス集計も可能です。

 ビジュアル化されたデータは、ピンチイン・アウト、ドラッグで簡単に動かせるため、こうした際にデータの動きを美しく見せるようインターフェースのデザインにこだわっています。Vizableでは、データはスマートに美しく動くことが重要だと考えており、グラフの角を丸くしたりカラーリングにネガティブな色を採用しないようにしたりなど、細部までこだわることでユーザーの感性に訴えるデータの動きが実現しているのです。


Amazonの注文履歴データのCSVをVisableで開くと、月別の注文件数や金額などをビジュアル化して解析できる

データを知り理解することは、人間の権利である

--デジタルマーケティングの世界では顧客をめぐるデータの解析がスタンダートになり、「データディスカバリ」という言葉も生まれました。一方で、個人が世の中のデータを活用してデータディスカバリをする意義について教えてください。

 データから世の中の真実を知るということが重要になるのではないかと思います。データの種類にはさまざまなものがあり、またデータから見えるものにもさまざまな性質があります。データを理解することで今まで接することのなかった発見や気づきが生まれ、次にどのようなアクションをすれば良いのかがわかってきます。これにより、生活がより豊かなものになるのです。

 加えて、データをしっかりと理解することで、私たちの生きる世の中で何が起きているのかを理解できるのではないかとも思います。国や自治体、調査機関やシンクタンクなどが発表する教育、労働、経済、環境、健康といったデータを、誰かのフィルタを通すのではなく、自分自身で直接触れて内容を理解することで、世の中の本当の姿や考えなければならない課題が見えてくるのではないでしょうか。データを知り、それを理解するということは、人間に与えられた権利なのです。

--確かに、統計データをメディアが紹介する場合には、そのデータのある一部分にだけフォーカスを当てたり、記者の視点で分析されたりすることがあり、そのような意味でバイアスがかかることも否定できません。

 誰もバイアスをかけていない生のデータを見て理解するということが、世の中の真の姿を知るためにはとても重要です。Vizableの利用が拡大すれば、自分自身でデータを解析して内容を理解するために、企業や団体、メディアに対して生のデータを求める生活者も現れるかもしれません。

 統計や調査の生データが集まるアーカイブが誕生してもいいと思います。iPadとVizableを使ってさまざまなデータにアクセスできることによって、“30秒で世の中のインサイトを理解する”という時代がやってくるのです。

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