「OS X El Capitan」レビュー(最終回)--刷新されたMailとパフォーマンスの改善 - (page 2)

Nate Ralph (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2015年10月26日 07時30分

 「iOS 9」と同様、OS Xの最新バージョンであるOS X El CapitanもAppleのMetalアプリケーションプログラミングインターフェース(API)を前面に押し出している。Metal APIの主要なフレームワークを想定してアプリを開発した開発者を前提に、同APIは速度とパフォーマンスの改善を「無料」で提供する。アプリの使用感はより円滑になり、ゲームはより高速になる。Appleは非常に高い数字を提示している。例えば、グラフィックスのレンダリング速度は50%向上し、効率性は40%高まるという。

 多くの開発者にとって、それは、業界標準のマルチプラットフォームのグラフィックスAPIである「OpenGL」に別れを告げることを意味する。APIとは、基本的にさまざまなプログラムが相互に通信し連携できるようにするソフトウェアツールだ。筆者は開発者ではないが、素人の言葉で説明すると、これは、われわれが毎日利用するアプリ(筆者の場合、具体的にはAdobeの「Lightroom」である)の多くにとって、実際にパフォーマンスが大幅に向上するには、アップデートしてAppleのMetalのサポートを追加する必要があるということだ。

 特定のプラットフォームに依存しないことを好み、写真編集作業の大半を「Windows」PCで行う筆者にとって、このことは次のような疑問を抱かせる。Apple独自のAPIに最適化したら、エコシステム間の互換性はどうなるのだろうか。筆者のお気に入りアプリのWindows版はApple製端末向けのアプリに後れを取るのだろうか。こればかりは、今後の成り行きを見守るしかない。

Apple製品のある生活

 El Capitanは、OS Xのより高速かつ整然としたバージョンで、Appleがモバイル端末から得た教訓を活かし、それを従来のPCフォームファクタに組み込んでいる。その結果、前バージョンのYosemiteからそれほど逸脱せずに、同OSを基盤として機能を増強し、それ自体が支柱としての役割を果たす新OSが誕生した。それから、OS XとiOSの乖離の問題が残っている。El Capitanはそれを近づけているものの、完全ではない。

 Microsoftは「Windows 8」でユーザーを現代的な統合OSというビジョンに無理矢理引き込んだ後、「Windows 10」でそれよりはるかに理にかなった道に導いた。しかし、基本的な前提は変わっていない。具体的には、1つのOSですべての端末を管理し、使用端末に関係なく単一の体験を提供するということだ。

 AppleもMicrosoftと同じ道を歩んでいる。しかし、Microsoftが支持する「1つのOSであらゆる端末に対応」というアプローチは避けている。仕事に最適なツールを選択する自由をユーザーに与えるためだ。iOSとOS Xは別々のプラットフォームであり、両者が1つになることは決してないだろう。しかし、だからといって、ツール群も完全に別々であるべきだというわけではない。

 OS X El CapitanはYosemiteと同様、無料のアップグレードだ。Yosemiteや「OS X Mavericks」を搭載するMacを使っている人は、El Capitanにアップグレードできる。El Capitanに乗り換えてよかったと思うはずだ。ユーザーの知っている、あるいは愛用しているかもしれないツール群は、これまで通り利用できる。しかし、El Capitanに施された多数の改善のおかげで、ユーザーの仕事も遊びもさらに充実するだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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