現在のところ、IoTをリードしている企業には、マイクロコントローラ(単純な機能に使われる小型の安価なプロセッサ)分野の大手数社、つまりAtmel、Freescale、Texas Instrumentsなどが含まれる、とGartnerのVelosa氏は述べた。IntelやNVIDIAといった企業は、自動車やハイエンドのスマートウォッチなど、もっと高度な製品をターゲットにするかもしれないが、こうしたマイクロコントローラ企業は、ガレージのドアから照明、スプリンクラーヘッドまで、あらゆる種類の新しいモノに自社製品を組み込むことができるはずだ。マイクロコントローラ企業は、消費者の生活においてこれまでよりはるかに大きな部分を占めるようになるかもしれない。
ForresterのアナリストであるFrank Gillett氏はマイクロコントローラについて、「この小さなチップに巨大な需要が生まれるだろう」と述べた。
また、アナリストらによると、マイクロコントローラはバーコードスキャナからボイラー制御システムまで、既にさまざまなところで使用されているため、マイクロコントローラメーカーはさまざまな業界の多数の顧客に販売する経験を有しており、IoTにうってつけだという。
Atmel幹部のReza Kazerounian氏は、「マイクロコントローラは最も有利な立場にあると思う。なぜなら、広範な製品ベースを広範な顧客ベースに販売できるからだ」と述べた。そのため、Atmelなどの企業はIoTの「スイートスポット」にいるという。
IoTに対するアプローチはいくつもあるが、IoTは今も成長中のカテゴリであるため、市場を独占した企業はまだない。つまり、まだ征服されていない分野が広く残っているということだ。
チップメーカーがこの新しい業界で勝利を収めるためには、プロセッサ、センサ、通信の広範なテクノロジポートフォリオのほか、それらすべてを統合するソフトウェアと、安全を守るためのセキュリティプロトコルが必要になる、とアナリストは話す。また、すべてのチップ企業にとって、「ゲートウェイ」を開発、またはゲートウェイに接続するための戦略も必要になるだろう。ゲートウェイとは、ユーザーのすべての機器を互いに接続する中央のハブのことだ。現在の消費者向けの主要なゲートウェイは、スマートフォンと無線ルータの2つである。
これらの要件をすべて満たせるチップメーカーはまだないため、各社がより包括的なIoT製品およびサービスの提供を目指すなかで、チップ業界では多くの企業買収や提携が発表されるのではないか、とアナリストは予想する。Qualcommが2014年、英国のチップメーカーCSRの25億ドルでの買収に合意したことは、このトレンドの初期の兆候なのかもしれない。この買収により、QualcommはBluetooth関連の機能を強化することができるだろう。BluetoothはIoTの実現に寄与する重要な無線接続技術と考えられている。
とはいえ、この新たな分野でリーダーが現れるのは何年も先になるはずだ。
MorningstarのColello氏は、「チップ企業にとっての朗報は、IoTがすべてのボートを押し上げる上げ潮であることだと思う」と述べた。「一部のボートをほかのボートより高い位置に押し上げるのかどうかを現段階で判断するのは難しい」(Colello氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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