ひと言で表すなら“料金”の1年だったといえます。大きな話題となった春商戦の高額キャッシュバック合戦では、従来のキャリアの販売モデルが行き着くところまできてしまった印象を受けましたし、大手キャリアの新料金プランは、移行の苦しみがあるもののキャリアの成長モデルが変わる大きな転換点になったと感じています。
さらに価格重視の戦略をとるワイモバイルの登場や、イオンスマホのヒットによる格安スマホの台頭、そして相次ぐMVNOへの参入と、料金に関連するニュースは1年を通じて事欠かなかったと感じています。MVNOが短期間で大幅に増えてしまったので、今後過当競争に陥る可能性があるのが気になるところですが、来年のSIMロック解除義務化と合わせて、これまで高額一辺倒だったユーザーの価格に対する選択肢が、たった1年で大幅に増えたことには、大きな意味があったのではないでしょうか。
今年から継続するトレンドとして、格安スマホ、ひいてはMVNO同士の競争が来年は一層激化することが予想されます。MVNOは参入する事業者こそ増えていますが、既存キャリアから積極的に乗り換えるユーザーが劇的に増えたわけではありません。現在のような状況が続くと狭いパイでの食い合いとなることから、知名度の拡大、そして料金以外で大手キャリアからユーザーを獲得するための、明確な施策が求められるところです。
また現時点で確実に見えている大きな変化として、5月のSIMロック解除義務化と、クーリングオフの導入が上げられます。前者は2年縛りとの兼ね合いもあって、総務省が思い描く効果を疑問視する向きもあるとの話も聞きます。キャリアと総務省との駆け引きでどのような形でのSIMロック解除に落ち着くのか、注目されるところです。特に5月以降に新しいiPhoneの発売された場合、SIMロック解除ができる初のiPhoneとなるため、キャリアの割引施策が大きく変化する可能性があるかもしれません。
一方、後者は端末のクーリングオフこそ見送られましたが、契約直後の回線解約が可能となることから、販売店、ひいてはキャリアの販売にも少なからず影響が出てくると考えられます。その影響はMVNOにも及び、安易な“売り抜け”ができなくなることから、信頼を得るための販売体制強化が求められるところです。
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