他社のセンサ駆動型自律運転車開発プロジェクトとは異なり、この技術の中心にはGoogleのマップ技術が据えられている。同社によって作成された地形図により、自動車は次にどういった状況に置かれるのかが判断できるようになる。この地形図は「Google Maps」とは異なり、道路上の信号機がどれくらいの高さに設置されているのかや、一時停止の標識や横断歩道がどこにあるのか、歩道との境にある縁石の高さ、車線の幅、車線の種類(白線や破線、黄色の二重線)といった情報を含んでいる。
この自動車は、事前に作成された地形図に依存するため、現在のところマウンテンビュー近郊の道路しか走行できないものの、同プロジェクトのマップエンジニアを率いるAndrew Chatham氏は、将来的にこういった地形図に対する大きな依存を低減していくのが目標であると語っているように感じられた。
同氏は「時とともに、地形図の完璧さに依存しなくなってきているのは確かだ」と述べるとともに「また、地形図の作成能力も向上してきている」と述べた。
Urmson氏やDolgov氏、Chatham氏と彼らのチームが注力しているソフトウェアソリューションは、Googleが最近公開したワイヤフレーム動画から垣間見ることができる。その動画では自動車が道路を走行する際に何を「見ているのか」が示されている。これはあらかじめ作成された地形図と、自動車の周囲にある実際の物体を組み合わせるようになっている。なおこれら実際の物体は、自動車に装備された、レーザーを利用したLaser Imaging Detection and Ranging(LIDAR)とカメラを連携させたシステムで検出される。
検出される物体は自動車や歩行者、二輪車のように動いている場合もある(二輪車の認識は、筆者が試乗した際に自動車が間隔を開けて追い越したことからも見て取れる)。カリフォルニア州において、二輪車は車線の間を走行する「レーンスプリット」が法律で許されているため、この自動車は二輪車のために間隔を空けられるのであれば、車線内で少しだけ進路を変更して距離を取るようになっている。また、工事現場や、道路にできた穴といった動かない障害物を検知するようにもなっている。
Chatham氏は「起動のたびにゼロから世界を再構築するのではなく、何もない状態の時にはどういったことが期待されるのかを教えておき、その後情報が出てきた段階で対応するというわけだ」と述べた。
Chatham氏は米CNETに対し、Googleがスマートフォン向けに開発している3Dマッピングテクノロジ「Project Tango」のことは「耳にしている」が、自動車のマップ作成時にそのテクノロジを使用しているわけではないと述べた。
Googleのチームは自動車によって生成されるデータの量がどれくらいあるのかについては答えてくれなかったものの、屋根に装備されたLIDARや各所に装備されたカメラ、多様なセンサからの情報すべてがGoogleの機械学習アルゴリズムを用いて処理され、本質的に2つの情報、すなわちどれだけスロットルを開けるのかと、ステアリングホイールをどれだけ回すのかという情報を出力するのだと説明してくれた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する