Willowのもうひとつの特徴は、液晶ディスプレイ用ガラス基板が枚葉型の生産方式になっているのに対して、Willowでは、ローラー搬送機を活用した生産を実現する点だ。これは製品そのもののフレキシブル性を生かしたものといえるが、「ロール方式の生産が可能になると、生産コストは数十%から50%ぐらいまで削減できる」という。
低コスト生産は製品力の強化という点でも見逃せない要素だと言える。現在、ロール方式の生産方式は、パイロット生産まで行える段階に達しているという。フレキシブル性の特徴を生かすことで、タッチセンサやカラーフィルタなどの領域にもWillowを生かしていきたいとした。
Corningは1851年に設立。日本では明治維新の前という時期での設立であり、160年以上の長い歴史を持つ企業である。もともとはGlass Worksという社名であったが、ニューヨーク州のコーニング市に移転したのに伴い、社名をCorningに変更した。
1879年には、Thomas Edisonの白熱電球用ガラス球を全面的に供給し、グローバルカンパニーへと進化。1947年にはテレビ用ブラウン管の量産用プロセスを開発。これによって家庭用テレビの普及を下支えしたほか、世界で初めて光ファイバを商業生産した企業としても知られる。1984年から液晶用ガラス基板の商業生産を開始した。
Corning全体の2013年度の売上高は78億1900万ドル。その前の期に比べて減収となっているが、為替の影響を除くと増収増益だという。従業員数は全世界に3万4000人。全社売上構成比の33%を占めるのが液晶ディスプレイ用ガラス基板を開発、生産するディスプレイテクノロジ事業だ。
そのほか、自動車向け排ガス制御システムなどのエンバイロメンタルテクノロジ事業、光ファイバーとケーブルによる光通信事業、細胞培養とバイオプロセスのライフサイエンス事業、高度な光学部品や材料を取り扱う材料事業がある。材料事業では、ハワイにある国立天文台の大型光学赤外線望遠鏡や、スペースシャトルをはじめとする米国の有人宇宙船の窓ガラスも提供しているという。
地域別ではアジア太平洋の売上高が全体の55%を占めている。売上高の10%を研究開発に投資。長期的な観点で事業を行っているのも特徴だといえ、北米、欧州、アジアにリサーチセンターを擁している。
日本では、持ち株会社のコーニングホールディングジャパン合同会社のほか、液晶ディスプレイ用ガラス基板を製造、販売するコーニングジャパンと、それ以外の事業を担うコーニングインターナショナルがある。
日本での売上高は6億2100万ドルで、グローバル全体の8%を占める。従業員数は約1200人。1989年から液晶ディスプレイ用ガラス基板を生産し、Gorilla Glassを生産する静岡工場と、第10世代のガラス基板を生産する堺工場を持ち、静岡の拠点にはテクニカルセンターもある。
Corningでは、ガラスやディスプレイが近未来にどう利用されているかを示した動画「A Day Made of Glass」を2010年から公開している。2012年には「A Day Made of Glass 2」として続編が作られている。
ここでは、太陽電池用、液晶ディスプレイ、携帯機器用ディスプレイ、自動車用ディスプレイ、建築用ディスプレイ、電化製品表面、フレキシブルディスプレイといったさまざまなガラスが、近い将来の1日の生活やビジネスの中で具体的にどう利用されていくのか、といったことを示している。これまでに2000万件以上の再生があるという。
進藤氏は「Corningの成功例は、顧客とコラボーションする場合が多い。A Day Made of Glassのビデオは、ガラスメーカーの範囲を超えた内容となっているが、顧客やパートナーとビジョンを共有して新たなビジネスを創出したいということを示したものである」としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス