Apple、Tesla、NASAのエンジニアが作った賢いコーヒーマシン--Blossom Coffee - (page 2)

最高の味・風味を届ける「コーヒーの情報化」

 抽出中の湯温を一定に保つことで、精密にコーヒーから味を引き出す仕組みを実現するBlossom Coffee。豆に応じてマシンには温度や抽出時間のプリセットを行うことができ、画面で手順やタイミングをガイドしてくれる機能がある。しかし最適な温度や時間をどのように知るのか、という課題が残る。

 そこでBlossom Coffeeが取り組んだのが、モノのインターネットだ。

 本体にはWi-Fiとウェブカメラが内蔵されており、コーヒー豆ごとに異なる抽出の「レシピ」をダウンロードもしくはQRコードで読み取ってインプットすることができる。焙煎所と豆の種類やブレンドごとにプリセットされていれば、最もおいしい飲み方を自宅にいながら再現することができるという。


手順1:奥の透明の部分に水をセットする。自動的に温められるため、常温の水でOK

手順2:レシピを選択する。自分でプリセットすることもできるが、Wi-Fiを介してダウンロードしたり、QRコードで読み取ってセットすることもできる。ここで、抽出時間やお湯の量などがセットされる

手順3:お湯は自動的にコントロールされる。はじめに抽出用のカップを温める。こうした手順も、ディスプレイに表示されるため、それに従えばよい

手順4:コーヒー豆をセットする

手順5:お湯とコーヒーの粉を馴染ませるために、かき混ぜる。もちろんかき混ぜるタイミングもディスプレイで指示が出される

手順6:抽出が完了したら、下の栓を開けて、レバーを押し下げ、抽出カップ内のコーヒーをスピーディーにカップへと落とす。こうしてコーヒーのできあがり

同じコーヒー豆を使い、適温(192F=88℃)と少し熱め(196F=91℃)を抽出し飲み比べたところ、前者は程よいすっきりとした酸味と甘い香りが花開いたが、後者はあまり香りが良くなく、口当たりもまったりとしたものになってしまった

 それまでドリップについて、機材、温度、時間、手法などの一般的なテクニックは知られてきたかもしれない。しかし豆に応じてその方法にアレンジを加えるところまで気を配れるのは、やはりプロの「勘」に頼る必要があった。そのプロも、同じ豆を何度もドリップしながら最適な抽出を探る作業を行ってきた。

 現在Blossom Coffeeが導入されているのはカフェが中心だ。筆者が住むBerkeleyのショッピングエリアにオープンした数100g単位で焙煎してくれる焙煎所・カフェのArtis CoffeeにはBlossom Coffeeが2台導入されており、ハンドドリップや業務用の大容量ドリップマシーンとは異なる豊かな味を楽しめる。

 こうした焙煎を行うカフェがBlossom Coffeeで抽出を試し、最適なレシピを作り出してアップロードしておくことで、焙煎した豆を扱ってカフェを営業する他の店舗でも焙煎所の狙い通りの味を顧客に提供できるようになる。また現在100万円ほどの機械が小型化、低価格化して一般家庭に導入されれば、焙煎所と家庭で同じ味を再現できる。

 味の違いを楽しんでもらうサンフランシスコ周辺の新しいコーヒーカルチャーにとって非常に大きな武器となり、バリスタによる技術が流通することは、バリスタ自体の地位を向上させることになるだろう。

 モバイル的なデザインパターンとトップ企業の現場で培われたエンジニアリングによって作り出されたBlossom Coffee。テクノロジがより深く生活に関与したり、カルチャーを進化させ、新たな習慣を抽出したりする瞬間に、我々は立ち会っているのだ。

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