スマホ学習で内定者を即戦力化--研修に革新起こすトーマツ - (page 2)

 「モバイルラーニングは学びへの障壁が低く、かつ効果も高い。つまり何かをインプットするにはとても適している。若手社員の8~9割が電車の中でスマートフォンをいじっているが、多くの人が時間を費やしているのはSNSやソーシャルゲーム。これを学習の時間に変えることができれば、教育の歴史を変えることができるのではないか」(濱野氏)。

  • トーマツイノベーション事業開発本部長の濱野智成氏

 トーマツイノベーションは、長年にわたり企業の研修を請け負ってきたが、「研修だけでは人材は成長しないと言われることが課題だった」(濱野氏)という。その原因は大きく2つ。1つが一過性で終わってしまうこと、もう1つが本人の自発性がなければ継続しないということだ。そこで濱野氏が導き出した答えが、モバイルを活用して学びを日常化すること。そして、「一過性なのはインプットで終わってしまうから」という考えのもと、実践することで体で覚えることだった。この2つの要素を組み合わせたのがモバイルナレッジだ。

あらゆるコンテンツをモバイルラーニングへ

 ところで、近年は基本的な機能は無料で提供し、追加機能を有料で提供するフリーミアムモデルのサービスが主流になりつつある。その中で、なぜトーマツイノベーションはあえて有償サービス(学習アプリのみは1万2000円、アプリとリアル研修のセットは5万円)としたのか。その狙いについて濱野氏は「ネットサービスでも本当に価値のあるものにはお金が支払われる文化を作りたい」と説明する。

 競合については、ビジネス向けのEラーニングを提供する企業はすべて対象となるが、現在はまだPCでの学習をメインとしている企業が多いほか、トーマツイノベーションのようにリアルと連携したサービスを提供している企業は少ない。導入企業については「1年目は100社、2年で1000社、3年で3000社。それ以降はすぐ1万社くらいまで持っていきたい」(濱野氏)と意気込む。

 濱野氏の今後の目標は、トーマツイノベーションがリアルの研修で蓄積したあらゆるコンテンツをモバイルラーニングで提供することだ。具体的には今回の内定者向けサービスのように、マネージャー向け、マーケター向け、営業向けと細分化していくイメージだ。また、食品や医療など業界別のサービスや、企業各社が保有する独自の教育コンテンツのモバイル化といった受諾開発なども検討していきたいという。

 研修領域のトッププレーヤーであるトーマツイノベーションが、企業向けのEラーニング領域を制することができるのか、今後の動きに注目だ。

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