1995年1月のConsumer Electronics ShowでGates氏が紹介した「Microsoft Bob」は、部屋やドアがある仮想空間上の家が用意されていて、漫画のキャラクターがアシスタント役を務めており、ユーザーが行う「Windows」の操作や、Microsoftのアプリケーションでの作業を支援するようになっていた。
Gates氏は会場に集まった研究者に対して、Microsoft Bobは成功しなかったが、そのコンセプトはもう少し洗練させた形で再登場するだろうと考えていると語った。「われわれは時代を先取りしすぎていた。われわれの失敗のほとんどはそれが理由だ」とGates氏は語る。現在、Appleの「Siri」や「Google Now」は、ユーザーの行動を理解しそのニーズを予測することによってパーソナルアシスタント機能を提供しているが、Microsoftは取り残されている。
Gates Foundationの仕事に関連するオープンソースソフトウェアとプロプライエタリソフトウェアについて尋ねられたGates氏は、「商業的なソフトウェアがあるのはありがたいことだ。従業員の賃金の供給源となるし、人々に雇用などの素晴らしいものを与えてくれる。そしてフリーソフトウェアにも感謝している。そこから何かを取り出して、好きなように扱えるからだ」と答えている。
同氏は、製薬や農業分野の企業が特許法による保護のおかげで製品の開発や販売を行ったり、研究者を雇用したりできることもありがたいと思っている。「そうした特許で守られた種子を活用する企業は、われわれに貧しい農民を救うための知識を与えてくれている。それは複雑なシステムだ。特許をなくせば世界はより良い場所になると考えている人がいるかもしれないが、それはおかしな考えだと思う。どちらかのモデルを選ぶように国に強制されることなく、商用とフリーのものが混在している状況が非常に有効だろうとわたしは考えている」(Gates氏)
Gates氏はさらに、Gates Foundationには特許に関連する問題はないと述べた。「われわれが活動している貧しい国々では、特許を出願したり、それを行使したりする人はいない。基本となっているのは裕福な世界で医薬品を買う人々の移り変わりで、そうした人々のおかげで、今は貧しい世界でもわずかな費用で使えるようになっている。同じように、商業的ソフトウェアのメーカーが、教育プロジェクトに対して、ソフトウェアを基本的に無料で提供している。研究開発に資金提供をしたいと考えている知的財産の世界でそうしたことを積み重ねていけば、それは非常に有効だ」(Gates氏)
Gates氏は、参加した研究者らが影響を与えることのできる、人類が直面する最大の問題は何だと思うかと質問された。「われわれが回避したい最も重要な問題は、バイオテロと核テロだ。国民国家レベルの戦争については、幸いなことに、いかなるスケールにおいても、そのリスクはこれまでで最も低くなっている。一部の人々はその点に注目すべきだ」(Gates氏)
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