ソフトバンクが特に強調するのは、資金調達とモバイルのノウハウや実績、シナジーの優位性だ。すでに資金を全額調達済みのソフトバンクに対し、「DISHは1年以上かかると言われており、資金調達の面でも、非常に複雑で多くの不確定要素がある。(資金調達が)遅れれば、競争力の低下がある。1年遅れたらその1年分の時間を考慮しなければならない」と主張する。
また、DISHが持つ周波数帯は一般的でない周波数で、互換性のある端末がないこと、2GHz帯の展開に60億ドルの追加コストや統合コスト、2社間のシナジーに限界があることなどを述べた。
一方、ソフトバンクと組めば年間20億ドルのコストシナジーが生まれると主張する。端末や設備機器、ネットワーク、IT営業費用、一般管理費などを効率化することによるもので、日本の端末メーカーが海外で展開する道も開けると話す。
「決算を見ていただくと、世界でもっとも成長している。携帯事業のノウハウについて、あらゆる側面から成長しているリーダーカンパニー。一方のDISHはモバイルのノウハウがないし、経験もない」と切り捨てる。
ソフトバンクがSprintと組めば、ネットワーク機器の調達面では、Ericsson、Alcatel-Lucent、Samsungから見ても世界最大の調達先になるだろうとし、iPhoneの買い手としても、ソフトバンク、Sprintとあわせれば世界最大となるとした。
さらに、すでに買収で合意した2週間後から現在まで、毎週「プランニングミーティング」を行っており、シナジーによってどういうったものが生まれるか。詳細の数字にも踏み込んでいる。DISHはたくさんの訴訟を抱えており、訴訟の歴史とも言える。この業界ではスケールメリットが大事」とし、ソフトバンクの実績やシナジー効果の高さをアピールした。
一方で、海外メディアの記者から、DISHは衛星放送と併せることで魅力的なサービスを提供するとしているが、ソフトバンクからは具体的な案がないのではないかとの指摘を受けた。それに対し孫氏は、「(記者に対し)スマートフォンを持っていると思うが、それに衛星放送のアンテナを付けられると思うか?付けたら、端末が重くなってしまう。それに、どんなサービスを利用できると思うか」と問いかけた。
「私から見たら、DISHが行っている提案は、ユーザーにとって価値のある提案になると思えない。まぁ、将来の夢について語る、大風呂敷を広げるのはいいでしょう。でも、実現するのは難しい。衛星放送の分野における顧客獲得が可能なら、自分の分野で新規獲得をしてみたらどうか。自分のコア事業に生かせないのに、どうやって別の会社とシナジーを生むことができるのか。どうやって新規獲得に繋げるというのか」と切り込んだ。
さらに、「スマートフォンで本当に衛星放送を見るのでしょうか。ソフトバンクはSprintと同じ業界にいる。成熟した市場でネットワーク機器も同じ。事業者間での競争も厳しい。それでもソフトバンクは何度も成長し、利益も実現してきた。私たちの将来に対する企業戦略を話すつもりはない。極秘の秘密兵器を競合が知ったら、黙っておかない。通常、秘密を守る戦略は、敵に明かさないのが勝つためのルールだと思う。私はとにかく結果を出すだけ。将来に向けて大風呂敷を広げるのではなく、結果を出していきたい」とした。
また、DISHに対抗してさらなるプレミアムの上積みをするという憶測もあるが、「これだけ優れているわけですから、提案の上積みをする必要はない。私たちは締結したアグリーメントに基づき、7月には完了したい」と語った。
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