「LINE」新体制の狙い--「第2章の幕開け」 - (page 2)

 舛田氏:NAVERもいくつか終了を発表しましたが、やはりどこかのタイミングでサービスを見直していかなければなりません。本来であればもっと多くのユーザーに価値のあるものを提供できるはずなのに、成長がこの先見えないサービスにリソースをかけてしまうと新しいチャンレンジができなくなってしまいます。ですので、LINEも含めて今後もメンテナンスをしながら、我々がどこにチャンレンジすべきなのかを定期的に自分たち自身に問いかけようと思っています。

――2013年に入りノキアヤフーなど大型の提携も増えました。

  • 3月28日にヤフーと提携。4月から「Yahoo!検索」の検索結果に「NAVERまとめ」の記事が表示される。

 森川氏:これまでですと、ノキアのような大規模な企業とああいいった形で組むというのはアジア企業ではなかなか難しかったのかなと思うのですが、実際にはノキア側の方が積極的な雰囲気もありました。LINEは日本で生まれて世界を目指しているサービスですが、現在は世界のさまざまな企業から注目されていて、一緒にやりたいというお話も多数いただいています。

 舛田氏:国内でいうと1年ほど前からですが、世界でいうと半年ほど前から、オファーをいただく企業のレベル感がかなり変わってきましたし、その内容もどちらかというと深い取り組みの提案が増えてきました。パートナー戦略は進めていくべきだと思いますが、やはり我々と組んで市場やユーザーに対して大きなインパクトを与えることができる企業と組んでいくのが方向性としてはあります。やはり皆さんには提携パートナーを発表した際に驚いてほしいと思っていますし、そういった仕掛けは考えていきたいです。

――最近では、注目するサービスに「LINE」の名前を挙げる海外のサービス事業者もいるようです。

 舛田氏:LINEはまさにスマートフォンらしさを一番持っているサービスだと思います。PCからスマートフォンにうまく移行できなかったプレーヤーはたくさんいます。また、多くの企業がいままさに試行錯誤しているところですが、その中でLINEがかなりの早さで成長できていることが、ある種ご評価いただいているところだと思います。

 また、いままでSNSは広告モデルに依存してきたのですが、LINEはどちらかというとスタンプなどのユーザー課金が強い。そして、ただのコミュニケーションツールだけではなく、その中にゲームが入ってきたり、占いが入ってきたり、クーポンが入ってきたりと、プラットフォームとしての展開も“希有”というよりは“奇異”に映っているんだと思います。我々としてはそれが新しいスマホ時代の本流だと思い続けているのですが、まだそこまでお気づきになられていなかったり、違うところを考えていらっしゃる企業も多いので、その中で我々の特殊なところがご注目いただけているのではないでしょうか。

――2012年7月に発表したLINEのプラットフォーム化はイメージ通り進んでいるのでしょうか。

  • 2012年7月にLINEのプラットフォーム化を発表した

 舛田氏:スピード感としてはこんなものかなと思っています。個々のサービスを焦って追加するのではなく、1つずつクオリティの高いものを出して、ユーザーの反応を見ながら次に何をすべきかを考えるという、いつものスタイルをそのまま続けていくだけですので。そういう意味ではゲームは早々に結果が出た(3月に累計ダウンロード数が1億を突破)モデルですね。現在は月に約5本ほど新タイトルを出していますが、それらも非常に好調です。従来、バーチャルグラフでしかゲームは面白くないといわれていたところに、リアルグラフでもこうやって使えばゲームは面白いんだよ、ビジネスにもなるんだよということを証明できました。

 その他のサービスについても、たとえば「LINE@」(月額5250円でLINEユーザーにクーポンやメッセージを配信できる中小企業向けのビジネスアカウント)にもかなり力を入れています。O2Oの領域はこれまでチャレンジして大きな成功をした企業がありませんが、LINEであればオンラインとオフラインをつなぐことができると思っています。

 森川氏:最近はよくO2Oと言われていますが、実際に結果を出すのは難しくて、各社実験的な取り組みが多かったのですが、LINE@はすでに具体的な成果がでてきています。予約が増えた、来店者が増えた、クーポンの利用率が高いなどさまざまな方法でビジネスで活用していただいています。数字も3~5%などではなく数倍増加したところもあるそうです。また、クーポンを配ったところ約3割が購入したという声もききました。

 舛田氏:プラットフォームという意味での今後でいうと、LINEがコミュニケーションツールからプラットフォームになった時に、次に目指すのはさまざまなチャネルが「プラットフォーム on プラットフォーム」になっていくことだと思っています。それらをいくつ作っていけるかがポイントですね。

――プラットフォーム化とインフラ化に向けてどちらも順調に推移しているということですね。

 舛田氏:そうですね。ただ世界的にみても新しいことをやっているので現場は大変ですね。よくパートナーやユーザーの皆さんから言われるのが「LINEでやれば何でも当たるんでしょ」ということです。確率は高いかもしれませんがそんなに甘くはありません。やはり1つ1つのサービスをきちんと設計してその中でコミュニケーションしながらやっていかなければ、すぐに「LINEってこんなんじゃなかったよね」と言われてしまいます。我々が手を抜けば、1億のユーザーはすぐに他のサービスへ移ってしまいますので、今後も意識を高く持って革新を続けていくことが唯一の道だと思っています。

 森川氏:そういう意味では、成長すればするほど逆にベンチャーらしくなっているところはあると思いますね。いまでは世界中の人がLINEを見てますから。ただ、すべてが新しいチャレンジなので何が正解なのかは分かりません。まるで氷の上を歩いているような、一歩先で割れてしまうようなそんな緊張感はありますね。

――成長を続ける一方で、収益ではLINEは赤字とも言われていますが。

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