NHN、DeNA、gumiの3社長がメッセージングとゲームで激論--IVSが開催 - (page 2)

岩本有平 (編集部)2012年12月11日 17時42分

 ここで話題はDeNAの世界展開に移った。同社は2006年頃から中国、米国と進出しているが、当初は相当苦しんだのだという。「フィーチャーフォンは端末の性能差がありすぎてコンテンツを持って行けなかった。スマートフォンが広がることで、日本で作ったコンテンツをそのまま持って行ける。一方で海外勢にも攻め込まれる。そういう意味でも面白い時代」(守安氏)

 真田氏は守安氏に対して「DeNAは国内でブラウザ、海外だとネイティブアプリを提供しているように見える」と語り、その戦略の分け方について尋ねた。

 これに対して守安氏は「ブラウザかアプリかというとこを正確に分けないといけない」と語る。例えばDeNAが海外で展開するのは基本はプラットフォームがないためにアプリでの提供となるものの、そのアプリ自体はいわゆる「ガワアプリ(ブラウザ機能が中心となるネイティブアプリ)」であり、実質はブラウザゲームだったりもする。「この二元論は結構複雑」(守安氏)

 真田氏は、KLabが海外ではネイティブアプリに注力していると説明したが、ソーシャルゲームの開発会社によってブラウザベース、ネイティブ、どちらで開発するかは異なる状況だ。守安氏はこれについて「開発ノウハウや作り方も違ってくるので、ブラウザが得意ならばブラウザ推しでいった方がいい。これまでネイティブアプリの開発能力が高ければそちらに振りきればいい。単純な正解はない」(守安氏)とした上で「ただ市場は広がっている。我々はブラウザもやるし、もっとハイエンドなモノもやる。ラインアップは広げていく」(守安氏)

 また、AndroidかiOS、いずれを優先するかも開発会社に選択を求められる点だ。真田氏は「DeNAはAndroid寄りだと思う」と守安氏に質問を投げる。

 守安氏は「基本的には両方とも強いので、両方やっていく」としながらも、Androidを優先しているという。「アップデートがリアルタイムにできる。iOSは再申請でタイムラグがある。戦略としてはAndroidでまず作って、チューニングしてからiOSに展開する」(守安 氏)

 そんなDeNAだが、Google Playのゲームランキングで上位10位以内のアプリのうち、3本を同社が提供するに至った。真田氏は守安氏にその成功要因を守安氏に聞いた。

 「チューニングやイベントなどは、日本だけでなく世界で通用するものだと思っている」(守安氏)。これまで海外の開発会社などが展開するイベントといえば、セールで価格を下げるといったものだった。だが日本のゲームでは、ゲームシステムの根幹に関わる部分までをイベントで変更する。こういった取り組みが結果的にARPU(1ユーザーあたりの売り上げ)を高めたという。

 上位に入った3つのゲームはすべて東京で開発したもの。海外のスタジオについては、現在ノウハウを共有しているところだという。「(ノウハウが)同じレベルになれば、カルチャーへの理解度も含めて、現地のニーズを分かる人が作ることこそが優位になる。今は一緒に作って水準を引き上げるタイミング。結果は間もなく出る」(守安氏)

 gumiは中国や韓国、シンガポールに台湾、インドネシア、さらには米国とフランスに拠点を構えている。「月間の赤字が1億円を超えた」と語る國光氏だが、このノウハウの共有には苦戦しているようだ。「日本のすごいところはオペレーション。(イベントなどを)毎週でもやるが、その重要性が分かっていないし、ローンチしてから人が増える、というのを肌感覚で分からない」(國光氏)

 真田氏はまた、ガンホーの「パズル&ドラゴンズ」を例に挙げ、今後パズル要素のあるソーシャルゲームが海外で勝負できるかを聞いた。

 國光氏はこれの流れを「ソーシャルゲームの正統進化」と語り、世界でも受け入れられるのではないかと期待を寄せる。「もともとはMafia Warのようなものから始まり、宝の奪い合いという『ロワイヤル』が来た。そこからコレクション要素が加えられ、さらには(カードゲームの)進化という要素、さらにはリアルタイム性ときて、これまでの『ボタンポチポチ』が楽しくないというところからきたものでは」(國光氏)

 ここで真田氏は、森川氏に「LINE POPでもドラゴンを倒すときがくるか」と冗談交じりに質問を投げる。森川氏も苦笑しつつ、「そうですね」と回答していた。

 最後に会場から質問を募集していたところ、守安氏から森川氏に「韓国でカカオトークを倒すにはどうすればいいか」という質問が投げられた。

 森川氏は「カカオトークを立ち上げたのはハンゲームの創業者なので、いろんなコミュニケーション取っている」としつつも、「今は韓国で投資するより他の国の方が効率的で優先順位は高い」(森川氏)。さらに真田氏が「日本で(LINEの次という意味で)2位になるのは(commとカカオトーク)のどちらか」と森川氏に尋ねるも、「コメントを控えさせていただく」(森川氏)とだけ答えるにとどまった。


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