鵜之澤氏:日本のクリエーターや経営者が背伸びをして「海外にウケるものを作ろう」と思って失敗した。海外のクリエーターらが提案することに対して、私たちが(日本人として)分からないと思っていたのだが、これがうまくいかなかった。
海外だと商習慣やマーケティングコストからゲームの利幅まで違う。また、「何枚売ったらどれくらい儲かる」と考えるが、これも地域や状況で違う。海外では1枚あたりの売り上げは少ない。それを日本の感覚でやってしまった。
また、日本映画とハリウッド映画の違いのように格差がついてしまった。主力が“戦争”で日本人には合わないのじゃないかと思った。しかし一方で日本にはカプコンのタイトルやポケモン、マリオなどがある。世界に通用するならそれでいいのではないか。
鵜之澤氏:特にソ−シャルゲームのプラットフォーマーは海外にかなり力を入れている。例えば(Cygamesの)「神撃のバハムート」も受け入れられている。日本製のゲームも、売り上げは把握できないが、(海外の)App Storeランキングに顔を出すようになった。ARPUなども日本に近づいており、ディー・エヌ・エー(DeNA)やグリー「(海外で)いけるだろう」と言っている。我々も一緒にやっていきたい。パッケージよりかはいけそうな気がする。
鵜之澤氏:まずは人材。人が業界から去るのは残念。ソフト業界は人材あってのもの。クールジャパンと言われるが、存在感を一番示しているのはゲームやコンテンツだ。(業界が)「もっといける」ということをアピールしないといけない。我々も好調な時期だけではなかったので、会社の景気によって就職活動でやってくる学生の量や質が変わるということも知った。業界全体でアピールしていきたい。
鵜之澤氏:パッケージ以外のビジネスモデル、フリートゥプレイ、アイテム課金なども出てきているが、だんだん苦しくなってきている。ただ、すべてのゲームをタッチパネルで楽しむわけじゃない。ソーシャルゲームも1つの大きなジャンル。20〜30時間と続けてはやらない。ちょっとした時間にゲームを楽しめるというスタイルがああいう形になったのではないか。
また、従来パッケージのゲームを作って来た人もソーシャルを作っている。そしてそのソーシャルのノウハウをまたパッケージにも生かせる。また、コンソールの開発にはお金かかるので、若い人にチャンスを与えられなかった。でもソーシャル系は若い人に任せざるを得ない。そこには今までパッケージでゲームを作って来た先輩もいる。
ソーシャルの世界とつきあって、彼らは僕たちの3倍のスピードで動いていることを知った。得たものもたくさんある。2011年は守安さん(DeNA代表取締役社長の守安功氏)と会社を作ると言ったが、今では社内でも100%オンラインのゲームを作れるようになった。ソーシャルが来て、我々のスピードも変わってきた。
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