世界初(たぶん)の腕時計スマホも中国から--中国トンデモケータイ図鑑 - (page 2)

腕時計ケータイとしてもカッコイイ

  • ベルトは結構ちゃんとした作りだ

 では改めてZ1本体を見ていこう。まずはベルト。若干固めの樹脂製でしっかりした作りである。Z1本体との接続部分は太めになっているが、ここにはスピーカが内蔵されている。Bluetoothヘッドセットを使わないときはここから着信の音が聞こえるほか、音楽やビデオを再生した際もこのスピーカから音が出てくるのだ。

 本体の左右側面にはそれぞれボタンが2つづつ。片側が音量の上と下、もう片側はメニューと戻るのボタンだ。そして左腕にはめた時に向こう側を向く方向に小さいカメラが内蔵されている。カメラスペックは不明だがVGAもしくは1メガピクセル程度だろう。ま、トンデモケータイ同様にカメラ画質はあまり期待しないほうがいいだろう。

  • 本体側面にはカメラも備えている

 ところでZ1本体をよーく見てみると、どこにもヘッドセット端子がない。なるほど、だからBluetoothヘッドセットが付属するわけだ。しかし他にもマイクロUSB端子やら充電端子もないようだぞ!これじゃー充電やらPCとの接続もできなくて困っちゃうじゃないの!と思ったらなんとベルトの先がそのままUSB端子になっているのねー。腕時計型の心拍計端末やGPS端末やらに類似した製品があったようにも記憶しているが、このアイディアはなかなかいいかも。

 そして本体内側には2G対応のSIMカードとmicro SDカードのスロットがひとつずつ。さすがにデュアルSIMカード化はこのサイズでは無理だったようだ。ちなみにZ1はWi-Fiも内蔵しているとのことだが、MACアドレスに関する表記は一切ない。うーんWi-Fiも適当に積んでいるってことなの?ま、細かいことは気にしないことにして、電池をはめて早速使ってみようじゃないか!

  • USBケーブルはベルトの先

  • SIMカードは1枚だけ。まぁサイズを考えると仕方ないだろう

  • 電池をはめると若干出っ張る

本当にスマートフォン!すごいぞZ1!

 Z1を腕にはめて本体横の電源スイッチを入れてみよう。まずはAndroid端末ではよくある通称「ドロイド君」の絵が出てくるが、ここで安心するのはまだ早い。そのまましばらくすると表示が“ANDROID”の文字に変わるもののなかなか起動してくれないなぁー。まぁこれがトンデモケータイならすぐに待ち受け画面が出ることを考えると、起動に結構時間がかかるってことはちゃんとAndroidスマートフォンのようだ。

 電源を入れて1分ほど経つとようやく待ち受け画面が表示された。画面はまさにAndroidそのもので、画面上のアイコンを指先でスライドさせるとおなじみの待ち受け画面が!!さっそく本体側面のメニューボタンを押し、「Settings」から「About Phone」を開くとモデル名やAndroidのOSバージョンもしっかりと表示される。Z1はちゃんとスマートフォンだったのだ!すげー!!

  • Z1を起動!でもまだ信用しちゃダメ

  • この画面はAndroidに違いない!

  • ここまできたら信用してもいいよね?

 あとは通信関係の設定をすればネットへのアクセスもOK。Z1はGSM/EDGE対応で3Gには非対応、なのでモバイルデータ通信の速度は期待できない。でもWi-Fiを内蔵しているのでそちらを使えば問題ないのである。Wi-Fi設定をしてブラウザを立ち上げればちゃんとGoogleのホームページも表示されちゃうぞ。なんちゃってブラウザではなくAndroid標準のブラウザだから機能もも豊富で、こりゃかなりあれこれできちゃいそうだ。

 ちなみにディスプレイはちゃんと静電容量式のタッチパネル。指先の操作は反応するものの、スタイラスペンの利用はできない。2インチしかない小さい画面だけにこのあたりはちと慣れが必要かも。そのあたりはこのあと書くが、表示はいいものの入力となると結構辛いのは仕方ない。

  • OSバージョンは2.2.1

  • ブラウザも起動する。写真サイズが徐々に大きくなっているのは興奮しているからである

スマートフォンなのに使いにくいぞぉ

  • Z1内蔵アプリ。肝心なものが全然入っていない

 腕にはめられるAndroid端末だなんて、未来から届いた夢の道具かもしれない。筆者もワクワクしながらZ1を使い始めてみた。だってもうこれでスマートフォンを持ち運ぶ必要なんてなくなり、腕時計だけであらゆることができちゃうんだよ!トンデモケータイも、ついに世界を変えてしまうほどの革新的な製品が出てきたのである。

 だがやはりこいつはトンデモケータイ、いやトンデモスマートフォンだった。まず中国製ってことでAndroidマーケットが搭載されていない。代替としてサードパーティーのアプリストアアプリがプリインストールされているもののつながらず、いわゆる「野良アプリ」と呼ばれるものを探して自分で入れるしかないようだ。まぁこのあたりは何とかすれば何とかなりそうではある。

 またGoogleアカウントの登録もできない。Gmailも搭載していないので、メールはブラウザを使ってウェブメールを見るしかない。このあたりは中国製のタブレットなどにも見られる仕様で、トンデモ系なスマートフォン/タブレットは仕方ないところなのだろうけど、うーん、せめてGmailくらい使わせて欲しいところ。

  • Googleアカウントも非対応とは……

 さらに致命的なのは、Z1にはHomeボタンがない。つまりアプリを起動中、他のアプリへの切り替えができず、戻るボタンでメニュー画面まで戻ってから別のアプリを起動する必要があるのだ。もしかしたら4つのボタンの組み合わせでホームボタン代わりになるのかもしれないが、説明書もないのでそのあたりは不明。きっと何か解決策があると期待したいのだが……。

 そして何よりもこのサイズの小ささは指先の操作はかなり辛い。幸いにしてBluetoothキーボードも利用できるようなので、文字入力する場合はそちらを使ったほうがよさそうだ。ちなみに腕にはめたままの文字入力は筆者は断念。文字を打つときはZ1を腕からはずして両手で持って入力している。しかしこれでは腕時計型の意味が全然ないじゃん。うーん、やっぱり夢の世界はなかなかすぐにはやってこないってことなんだろうか。

  • ホームボタンがないので不便すぎる

  • 文字入力はBluetoothキーボードを使うべきだろう

  • URL打ち込んでこれ表示させるまで5分もかかったよ……

トンデモケータイが切り開く新分野

  • スパイカメラ的に使えるカメラは楽しい

 このように使いにくさが目立ってしまったZ1だが、そのほとんどは作りこみの甘さに起因するものである。反応のよいタッチパネル、より高解像度なディスプレイや高速CPUの搭載、3Gへの対応などなどちゃんと作れば完成度の高い製品になるだろう。高容量の電池や防水機能もぜひとも欲しいものだ。

 また数多く出てきた腕時計トンデモケータイと違い、Z1のようにスマートフォン化すればインテリジェンスな腕時計としても使うことができる。となると、腕時計メーカーがこの手の製品を手がける可能性もあるのかもしれない。なにせ小型化や省電力化などは腕時計メーカーならお手のもの!本気になればすごい製品を作ってくれるかもしれない。

 もしかすると未来の腕時計はOSを搭載し、自由にアプリを入れ換えできる製品になっているかもしれない。そして腕時計メーカーと携帯電話メーカーが提携をする、なんて時代がくるのかもしれないのだ。だがZ1はそんな時代を先取りしすぎた製品であり、表の歴史には出ることもなくひっそりと消えていくのだろう。ぜひZ1に続く腕時計スマートフォンを大手メーカー、トンデモメーカーたちに作り続けて欲しいものである。

  • PCと接続する姿もカッコイイ

  • 腕時計の未来像はこのZ1だろうか

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