「Amazon Silk」、モバイルブラウジング高速化の対価--ブラウザ設計が生む2つの懸念 - (page 3)

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年10月05日 07時30分

 それによって、Amazonは非常に興味深い可能性を秘めた情報を得ることができる。ユーザーはどのような製品を探しているのか。ユーザーはどの映画のプレビューを見ているのか。こうしたものは、「Kindle」に新しい広告を掲載したりユーザーの受信箱に宣伝を配信したりする際、個々のデータと集合的なデータの両方を得るために、Eコマースの巨大企業がほしがるような情報だろう。

Amazon Silkのさまざまな機能。
Amazon Silkのさまざまな機能。
提供:Screenshot by Stephen Shankland/CNET

 Silkの条件には、「Amazon Silkを通して収集された個人情報はAmazon.com Privacy Notice(Amazon.comのプライバシーに関する通知)の適用対象になる」と書かれている。この通知には、「われわれは、ユーザーがわれわれのウェブサイト上で入力した情報や、それ以外のあらゆる方法で提供した情報をすべて受信し保存する。(中略)われわれは、要望への対応、将来のショッピングのカスタマイズ、われわれのストアの改善、およびコミュニケーションのために、ユーザーが提供する情報を利用する」と書かれている。

 さらに、Amazonはユーザーが訪問したサイトのログを保持している。条件には、「Amazon Silkは、同ブラウザの技術的問題のトラブルシューティングや診断を行うため、自らが提供するウェブページのウェブアドレス(「URL」)、およびIPアドレスやMACアドレスのような一部の識別情報のログも一時的に記録する。通常、この情報は30日以内に破棄される」と書かれている。

 これらは、多くの人にとっては問題ではないかもしれない。だが、いつの日か捜索令状などの法的手続きを通じて、そうしたデータが裁判で出てきても驚いてはいけない。

 セキュリティ面を見ると、複雑さはさらに増す。ユーザーが暗号化された接続(通常、アドレスバーの頭に「HTTPS」と表示される)でサイトを訪れると、Amazonのサーバはそのウェブサイトに対して独自に暗号化されたリンクを用意した後、Silkブラウザに対して別のリンクを用意する。すべてがうまく機能すれば、私用や仕事の電子メールのやり取りを悪人にのぞき見されることはないものの、それはエンドツーエンドの暗号化ではない。

 筆者はいくつかの疑問についてAmazonにコメントを求めたが、同社はユーザーが望めばSilkをプロクシサーバ経由でない従来のブラウザモードで実行できることを指摘するにとどめた。SilkはKindle Fireの出荷が始まる米国時間11月15日までリリースされないため、まだ明らかになっていない部分も多い。ただ、筆者がこれまで見た限り、モバイルブラウジングに革命を起こすことは、Amazonが人々にそう思わせたがっているほど簡単ではないだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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