「Windows 8」の独自性と開発への課題--さまざまなデバイスで単一OSを使用する意図は - (page 2)

Josh Lowensohn (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年09月22日 07時30分

 Windows 8におけるMicrosoftの取り組みで重要なのは、サードパーティーがOS自体に変更を加えることに対してどれだけ寛容になっているのかだ。アプリケーションの下位互換性やさまざまなサードパーティー製プラグイン、バックグラウンドで動作してユーザーのコンピューティング体験をカスタマイズできるソフトウェアなど、WindowsのMetroに関係のない部分においては変化がない。不明なのは、Windows 8のMetroに関係のある部分において、どのようにまとめ上げられるのかだ。

MicrosoftのWindows 8のソフトウェアストア。
MicrosoftのWindows 8のソフトウェアストア。
提供:Microsoft

 われわれはBUILDでの基調講演で、インストール済みのほかのアプリケーションに基づいて、アプリケーション内から実行できる機能を拡張できることを確認した。講演で披露されたのは、ユーザーが「Internet Explorer 10(IE10)」で閲覧中のウェブページを共有できる、共有アプリケーションだった。だが、Microsoftはサードパーティーに対して、どの程度までそうしたカスタマイズを許可するのだろうか。そのことはBUILDでは明らかにされなかった。

 依然として残る別の大きな疑問は、Microsoftは、規模の大きさを約束することで開発者を同プラットフォームに引き寄せられるのかということだ。Windows担当プレジデントであるSteven Sinofsky氏は、BUILDで基調講演に訪れた5000人の開発者に対し、「Windows 8の発売時には、ユーザー数は4億人に達している可能性もある」と述べ、同OSで開発を行うことの利点を宣伝した。

 しかし、たとえユーザーが4億人いたとしても、それは開発者のターゲットとしては、まとまりのないグループかもしれない。例えば、タッチスクリーンタブレット向けに構築されたアプリケーションのターゲットになるのは、比較的新しいポータブルデバイスを持っているユーザーのみだ。それは小規模なグループ(つまり、売り上げにつながる可能性が低い)で、デスクトップユーザーとは異なる購入傾向を持つ可能性がある(つまり、1つのアプリケーションに支払う金額はデスクトップユーザーより少ないかもしれない)。また、強力なCPUやグラフィックスカードのない新しいタブレットではプレーできないようなハイエンドのゲームもある。ただしMicrosoftは、Windows 8ではそれら2つが共存できると話している。

 それでは、開発者は何をすべきなのだろうか。売り上げを求めているのであれば、従来型デスクトップユーザーというより大きなプラットフォーム、またはApple、Googleなどの競合他社を選ぶだろう。あるいは、未来に希望を託して、Windows 8に最初から参加していくことも可能だ。

 MicrosoftはWindows 8の魅力を高めるために、あらゆる参入障壁を取り払おうとしている。例えば、異なる要件を持つアプリケーションをストア内に並べて陳列することを認めたり、ソフトウェアの無料試用版を提供する手段を開発者に提供したりする予定だ。Appleはそのどちらも認めていない。また、Microsoftは実際のソフトウェアがエンドユーザー向けに発売されるよりもかなり早い段階で、自分たちが目指している場所について詳細なビジョンを提示した。

 こうした取り組みは、アプリケーションをほぼすべてのハードウェアで動作できるようにカスタマイズしたり、Windowsの最も深い部分をユーザーの好みにぴったり合うように変更したりすることを可能にし、長期的にユーザーと開発者の両方に利益をもたらす可能性が高い。MicrosoftがWindows 8で本当にそれを提供することができたらば、Appleがまだ足を踏み入れていない境地を開拓できるだろう。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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