007SHは、テンキーを搭載し折りたたみ式のボディを採用したモデル。見た目はフィーチャーフォンそのものだが、Android OSを搭載したれっきとしたスマートフォンだ。ユーザーインターフェースも006SHをベースに開発しており、ハードスペックや画面サイズを除けばほぼ同様の内容となっている。
テンキーに加え「ホーム」「MENU」「戻る」など、Androidスマートフォンの基本キーも配置している。待ち受け画面では、ソフトキーで起動するアプリをカスタマイズすることも可能。文字入力にはテンキーを使用し、アプリの操作はタッチパネルで行うなど、用途に合わせた使い方ができる。また、800万画素前後が主流のスマートフォンには珍しくCCD1610万画素のカメラを搭載している。
では、なぜあえてフィーチャーフォンの形をしたスマートフォンを開発したのだろうか。林氏は「007SHでスマートフォンの新たなカテゴリを作りたい」と語る。
「スマートフォンが普及していく中で、フィーチャーフォンで使い慣れたものをそのままスマートフォンでも使いたいという声は多い。スマートフォンといえば“フルタッチ端末”と概念的にとらえている人もいるが、シャープでは新たなカテゴリとしてテンキー付きのスマートフォンを認知させていきたい」(林氏)
「スマートフォンは現在、iPhoneやAndroidをはじめ米国が主戦場となっているが、日本ではテンキーや折りたたみ式の方が使いやすいという人も多い。そのニーズに応えられるのは日本のメーカーだけだと思っている」(奥田氏)
製品の発表時に話題になったのが820mAhのバッテリ容量。各社が発売する夏モデルにはXperia acroなどバッテリ容量が1500mAh前後の端末もある。そのため、820mAhでは少ないのではと懸念する声もあったが、007SHは徹底した省エネ設計によりバッテリ消費を抑えているという。
周囲の明るさに応じて画面の明るさを自動調整する「明るさセンサー」を、従来の5段階から21段階まで細分化したことで、より最適な明るさにチューニングできるようになった。その結果、003SHと比較して液晶消費電流を約20%強削減している。
また、キー操作による文字入力によりメール作成時の液晶消費電流を約35%削減した。さらに、折りたたみ時の着信やメール受信はサブディスプレイに表示されるため、着信時の液晶消費電力は約80%削減できるという。これらの取り組みにより、少ないバッテリ容量でも長時間の使用が可能になった。
先行機種の003SHと005SHは「GALAPAGOS」のブランドで展開していたが、006SHと007SHは「AQUOS PHONE」として展開している。ディスプレイには液晶テレビ「AQUOS」の高画質技術を応用しているが、これに加え夏モデルから他のAQUOS製品と連携できる「スマートファミリンク」機能を搭載した。
スマートファミリンクは、液晶テレビAQUOSやBlu-rayディスクレコーダ「AQUOSブルーレイ」をWi-Fi接続することで、ホームネットワークを利用できる機能。例えば、006SHに保存した音楽や動画をAQUOSの大画面で視聴したり、リビングのAQUOSブルーレイで録画したテレビ番組を007SHに転送して、自分の部屋で視聴するといったことが可能になる。
今後発売されるスマートフォンファミリンク対応のAQUOSでは、フリック操作でスマートフォンからAQUOSへ写真や動画を転送できる「スマートジャンプ」や、音声着信やメール受信をAQUOSへ表示できる「AQUOSインフォメーション」などの機能も搭載するという。
林氏は、国内メーカーのスマートフォンが出そろってきたことで、顧客の求めるスマートフォンの軸も変化してきたと話す。「当初は新しいものに興味のある人がスマートフォンを買っていた。今後そこまでスマートフォンを求めていない層を獲得するには、いかにフィーチャーフォンで便利だと感じていた部分をキャッチアップできるかが重要になる」(林氏)
今後も006SHや007SHのようにシャープの強みを活かした製品を提供していくことで、国内市場で躍進を続けるグローバルスマートフォンや他社製品との差別化を図りたいとした。
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