残された疑問の1つに、Appleはこの小売戦略をどこまで大きく成長させる計画なのかということがある。同社は世界に320以上の店舗を構え、その大部分は米国にある。大差があるものの2位が英国、その次がカナダとなっている。Appleは4月、9月末までに40の新しい店舗をオープンする計画を明らかにした。そのうちの30店舗は米国外になる予定だ。
Appleは直近で開催した決算報告の電話会議で、2001年のオープン以来、10億人以上の人々が来店したと述べた。さらに驚くべきことは、Appleの直営店は現在、各店舗で平均して年間990万ドルを売り上げているという点だ。
Appleの取り組みについて、競合他者も黙って見過ごしているわけではない。Microsoftは2009年、直営店の展開を指揮するためWal-Martで経験豊富なDavid Porter氏を雇い入れた。Appleが取ったのと同じ手法がほぼ即座に導入された。Appleと同様に、Microsoft直営店の店内は、同社エコシステムに分類される多くのガジェットや同社製ソフトウェア、ハードウェアが幅広のテーブルに並べられている。Microsoftはまた、コンピュータに関する顧客の要求を理解したり、サポート問題に対応したりする接客用の自社従業員を、店内の所定の場所に配置している。こうしたスタッフは、初期の店舗計画では「グル(専門家)」と言及されていた。
MicrosoftはまたAppleと同じく、コンサートを開いたり、来店客と企業の幹部が話をする機会を設けたりと、直営店を利用して自社ブランドに人間味のある趣向を持たせている。そして、同社は直営店を使い、消費者に「シグネチャー」PCを提供している。これは、サードパーティーの試用版ソフトウェアやアドオンが一切搭載されないモデルである。
Microsoftが小売競争に遅れを取っているという事実は、それ自体が皮肉なことである。Apple Storeの第1号店がオープンする数日前、Jobs氏は、同社の小売拡大について、Windowsマシンに対するAppleの市場シェアを倍増するためのより重要な取り組みの一環であると述べた。Jobs氏は第1号店を披露した際、「5%は手に入れた、残りは95%だ」と報道関係者らに対して語った。
Appleは、市場シェアでMicrosoftには遠く及ばないものの、20四半期連続でPC市場を上回る勢いで成長している。そして、Appleの直営店はその大きな部分を占めている。Appleはこの数年にわたり、直営店でMacを購入する人の約半分が初めてMacを手にする人であると述べてきた。
話を最初に戻そう。Appleは、コンピュータと食べ物を組み合わせるという考えを完全に捨てたわけではない。同社は、飲み物や食べ物を喜んで提供していくつもりだ。それは、直営店で新製品をいち早く手に入れようと徹夜で並んでいるなら、ということだが。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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