IDCによれば、米国や西欧のPC市場の低迷は、いくつかの要素(東日本大震災や、中東の混乱、原油価格の急騰)が原因となっているが、ほかに「『必要十分な性能のコンピュータ』が確固たる現実になっている。このことは、まずはミニノートPCで、そして現在はメディアタブレットで実証されている」という面もあるという。
つまり人々はもう、仕様だけをみて購入を決めることはない。もちろん、人々は今後もまだコンピュータを購入するだろう(ポストPCというのは、もうPCを使わないという意味ではない)が、ウェブのブラウジングや電子メール、Facebookのチェック、ネットショッピング、道順案内、ニュースの閲覧といった、PCでの基本的な作業の多くをうまく行えるデバイスが登場したことで、PCの優位性は失われてきている。
「iPadは最高のハードウェアがなくてもよいことを証明した。重要なのは、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせることであり、それを使って何ができるかだ。その点が、PCがさらなる成長を維持するための鍵になると考えている」。IDCのシニアアナリストのJay Chou氏はこのように語る。
それはJobs氏が以前から繰り返している持説だ。Jobs氏はユーザーフレンドリーでデザイン重視のテクノロジという考え方をしている。しかし、今やそのような見方をしているのはJobs氏だけではない。例えば、長年世界のPC販売数の首位の座にあるHPは、2010年にPalmを買収し、そのプロプライエタリソフトウェアをモバイルデバイスや、最終的にはPCに採用することを計画している。
「iPadやメディアタブレットがPCを徹底的に打ち負かすだろうと言うつもりはない。以前ネットブックが出てきた時にも、同じような心配をした人が多かった。しかしハードウェアだけでは十分でないことを、われわれは目にしている。ハードウェアベンダーは、ソフトウェアのことを考え始めなければならない」(Chou氏)
予算が限られており、ガソリンや食品の価格へのインフレ圧力がある中で、人々はIntelプロセッサが30%高速になったというだけで新しいPCを買うのに「飽きている」とChou氏は言う。「もはやそれだけでは、お金を使って買い替える理由にはならない」(Chou氏)
それでも、人々はやはりPCを買うだろう。ただ、PCメーカーが慣れている成長率にはならないというだけだ。特に北米や西欧といった成熟した地域では、これまでのような成長率は望めないだろう。中南米やアジアなどの新興地域には、初めてのPCを買いたいという人々がまだいるため、状況はいずれ上向くだろう。では、いつそうなるのか。IDCは、第2四半期はPC業界にとって悪い状況が続くものの、2011年後半には状況が好転し始める可能性があると述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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