次世代マルチメディア放送--「勝者」mmbiが考えるサービスの将来像 - (page 2)

 ほかにmmbiが期待を寄せているのがショッピング系サービスだ。「通常の物販から出版系まで、幅広い展開が期待できる。特に物販においては、全国サービスということで各地方の物産展などを組み込んだビジネスを展開できるのでは」(二木氏)。ユーザー契約体系として月額一律制を掲げているだけに、収入規模を拡大する上でこうした取り組みこそ重要と考えられているようだ。

 意気揚々と将来へのイメージを膨らませるmmbiではあるが、本格展開にあたっては課題も少なくない。まずは今回、周波数争いのライバルとなったメディアフロー陣営の動向だ。

 公開説明会の席上などで「(メディアフロージャパン企画が推す)MediaFLO方式に決まればNTTドコモ端末は出さない」と宣言していただけに、直近で気になるのは端末対応。これについては「(KDDI自身が)成功すると判断すれば対応するだろう」(二木氏)と、比較的楽観視している様子。むしろ、委託放送事業者としての参加を気にしており「参加してくれれば、サービスに広がりが出ることは確か。可能性のある市場ではあるが、簡単にはいかないと思っている。それでも(参加を)期待している」(同)とした。

 KDDIに参加を期待するのには理由がある。現状、委託放送事業者として正式に名乗りを上げているのはNTTドコモとソフトバンクモバイルのみ。方式決定時期のずれ込みにともない、総務省の制度設計が遅れていることが主な要因だが「(どのような事業者が参加するのかは)サービス内容を決めていく根幹の部分なので、気にしている」(塩田氏)と、やや焦りの色はうかがわせる。

 そしてもうひとつ、気にしているのがスマートフォン対応。仮に権利面での取扱いが難しいコンテンツ投入を考えた場合、その権利保護が堅牢に行えるかどうかを不安視する声がある。ことに海外メーカーが発売する端末では厳しい対応が迫られるとみられ、この対応が委託放送事業者の参加決定にも関わってくる。

 「放っておいて広がるサービスではない。そして、普及が遅れれば遅れるほど、ライバルとなるメディアが伸びてくる恐れもある」(二木氏)。だからこそ対応を急がねばならない、というのが現在の状況。勝者であるmmbiの本当の戦いは、まだ始まったばかりだ。

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