ノートPCがiPadから学ぶべき6つのポイント - (page 3)

文:Jason Hiner(TechRepublic) 翻訳校正:村上雅章・野崎裕子2010年08月30日 08時30分

#4:シンプルなインターフェースがベストである

 ここで、『Simple Pictures Are Best』(シンプルな写真が一番)という有名な児童書を紹介しておきたい。これは、写真家がある家族の記念写真を撮影しようとする時の話である。家族が自分と一緒に写してほしいものをどんどん追加していく一方、写真家は「シンプルな写真が一番です」と何度も何度も言い続けるのである。

 インターフェースについても同じことが言える。さまざまな使用状況を想定することで、ついつい数多くのものを追加してしまいがちになる。しかし実際のところ、ユーザーインターフェースは自制すればするほど優れたものとなるのだ。iPadにはAppleのiOS(つまりスマートフォン向けのOS)が搭載されているため、いろいろな意味で制約が多いと言える。しかしそういった制約があるが故に、iPadはほとんどのユーザーにとって、少しの訓練で、あるいはまったく訓練せずとも簡単に使いこなせるようになっているのだ。ユーザーは指1本を使ってタップするだけでアプリケーションやメニューのナビゲーションを行うことができるわけである。

 ソフトウェア企業は、Microsoft Bobに始まりWindows Media CenterやApple Front Rowにいたるまで、従来のOSが提供していたインターフェースの簡素化版を作り上げようと何年にもわたって努力してきている。しかし、首尾良く成功したものは1つもない。ここでの鍵はユーザーインターフェースにではなくOSにあるのかもしれない。だとすれば、必要最低限のハードウェアしか搭載されていない基本的なノートPC上でスマートフォン用のOSを稼働させればよいのではないだろうか?筆者は、将来的に複数のベンダーがそういったことを試みるのではないかと考えている。

#5:ほとんどのユーザーはクリエイターではなくコンシューマーである

 iPadに対する大きな不満の1つに、コンテンツ作成時のエクスペリエンスが期待に届いていないというものがある。この不満を否定することはできない。また正直に言って、筆者がiPadをあまり使用していない理由の1つはここにある。筆者の場合、インターネットに接続した際にはTechRepublic向けの記事の執筆から、Flickrへの写真の投稿、Twitterへの技術ニュースのつぶやきにいたるまで、コンテンツ作成に多くの時間を費やすのが常であるため、iPadは書籍やドキュメント、ファイルの電子リーダーとして使用することがほとんどなのである。

 しかし、筆者は平均的なユーザーではない。インターネットの世界では、ソーシャルネットワーキングが広がりを見せ、双方向のやりとりが増えてきているとはいうものの、そのほとんどにおいてはまだ90−9−1の法則が成立する。つまり、実際にコンテンツを作成しているユーザーはわずか1%に過ぎず、9%のユーザーはコメントを付けたり変更を加えたりしているものの、残りの90%は単なる読者や消費者でしかないというわけだ。iPadはコンテンツの消費者にとっては素晴らしいデバイスである。しかしコンテンツの作成や変更を行うユーザーにとってはそれほど素晴らしいものとは言えないため、こういった人々はタイプ入力やコンテンツの操作が行いやすい既存のノートPCを使い続けるだろう。

 こういったことから、iPadが優位性を発揮できる大きな市場の存在が見えてくるはずだ。つまり競合他社は、ノートPCをよりコンテンツ消費に適したデバイスにする方法を模索する必要があるわけだ。

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