規制の実効性を高めるための新たな仕組みとして、電子メールの「送信委託者」という概念を導入する。
従来は、海外の業者に広告および宣伝メールの送信を委託している場合、送信者が日本にいないため国内の法律で規制することが困難だった。
改正後は業者にメールの送信を委託した者(広告主など)に実質的な責任がある場合、委託した者に対しても総務大臣が措置命令を行うことが可能となり、海外が送信元の迷惑メールへも取り締まりの機会が拡大する。
また、特定電子メール法の各種規制に違反した場合の罰則は、従来「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と定められていたが、このうち法人に対する罰金を「3,000万円以下」に引き上げる。神谷氏によれば「摘発された業者がかなりの収益をあげていた」場合も多いといい、罰金額の引き上げによって迷惑メール送信を「割の合わないビジネス」に変化させることをねらっている。
2006年初頭まで、日本は迷惑メール発信国ランキング(ソフォス調べ)の上位10位以内に入っていたが、2008年第3四半期の同順位は29位まで下がっている。神谷氏は、これは「Outbound Port 25 Blocking(OP25B)を国内ISPのほとんどが採用したことの成果」であるとし、現在では日本国内の迷惑メールの9割以上は海外から送信されたものになっているというデータを示した。
このため、日本に届く迷惑メールを減らすには諸外国と連携した取り組みが重要となり、今回の改正にもそれを後押しする内容が含まれている。
具体的には、海外から送信された迷惑メールについて、送信者情報などを送信国の規制当局に連絡することで、当該国の法制度による取り締まりを求めることが可能となった。これまでは、迷惑メール送信者の情報といえども、行政機関個人情報保護法などの規定によりそのまま外国政府に伝えることができなかったが、これを行えるように制度へ変更を加えた。
以上大きく分けて3点が改正点の要旨だ。総務省では、同法と同法施行規則をどのように解釈すべきかをガイドラインとしてまとめている。
「何が特定電子メール法の規制対象となるのか」「チェックボックスのデフォルトはオン/オフのどちらが望ましいか」「取引関係にあるとはどういう状態か」「どのような場合に措置命令を受けるのか」といった実務的な疑問も解決できる内容となっており、「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」として公開されている。
エイケア・システムズでは、メール配信システムを開発する企業として社内に「迷惑メール配信対策委員会」を設置しており、独自のメール配信ガイドラインの策定や、セミナーなどの啓発活動などを行っている。同社がユーザー企業向けに案内しているガイドラインは、特定電子メール法を基準としている点では総務省のそれと同じだが、よりメール配信者側の立場を意識した具体的なノウハウを集めたものになっているという。
この日はメール配信の同意を取得する画面の例などを示し、推奨する例や適切でない例のケーススタディなどが行われたほか、同社製品を使用した場合の改正法への適合方法などについても解説が行われた。
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