米次期大統領にオバマ氏--テクノロジ業界への影響 - (page 2)

文:Declan McCullagh(CNET News.com)
翻訳校正:ラテックス・インターナショナル
2008年11月10日 07時15分

 民主党の人民主義的な傾向は、そのほかの形でもテクノロジ企業にマイナスの影響を与える可能性がある。Obama氏は、独占禁止法の適用においてより厳しい措置を取ることを推進してきた。このことは、自由市場を推進する立場であるはずの共和党政権からもすでに厳しい監視の目を向けられて動揺しているYahooやGoogleといったシリコンバレー企業にとってマイナスとなる可能性がる。さらに、Obama氏は、H1-Bビザの発給数拡大についても一時的にしか約束していない。

 より多くの税金を投入してブロードバンドを全米に普及させることは、民主党がたびたび提唱している目標の1つだが、Obama氏のCTOとなる人物は、少なくともその目標がどのように達成されるかについては影響力を持つと思われる。Obama氏の選挙キャンペーンでは、ブロードバンドアクセスを、より完全な民主主義を実現させるための手段と位置づけて熱心に提唱し、Anna Eshoo下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)がこの考えを後押しした

 しかし、下院で可決されたEshoo氏の法案は、結局仕事を増やす以上のことはほとんどしていない。より広帯域のブロードバンドアクセスを実現するための資金源を確保することが、課題となる可能性があるからだ。増税するか、ほかの歳出項目を削減するか、国家予算の赤字を増やすかして捻出しなければならないだろう。

 元FCC委員長のMichael Powell氏は、2008年9月に開催されたあるフォーラムで、「道路を掘って光ケーブルを設置する資金がどこかにあるという考え」を抱くのは現実的でなく、「国家のブロードバンド政策は、おそらくはるかにもっとささやかなものでなければならないだろう」と述べた。

 ネットの中立性も、答えの出ていない論点の1つだ。この点については、2大政党の大統領候補の間にはっきりとした違いが見られた。Obama氏は、インターネットに関する新しい政府規制が必要だと主張し、McCain氏はこれに対して懐疑的だった。同様にテクノロジ業界の一部の著名人たち、例えばCisco SystemsのRobert Pepper氏、カーネギーメロン大学のDave Farber氏、インターネットの創始者といわれるBob Kahn氏なども、懐疑的な立場を取っている。

 政治家というものはトラブルをわざわざ呼び込むことは好まない傾向にあるため、法案が可決されるのは、ネットの中立性に関連してFCCが下した命令に対するComcastの上訴が連邦控訴裁判所で審理される時が来てからになるだろう。Comcastは、FCCにはネットの中立性の規制を課す権限はなく、FCCはそもそも規制を課すにあたって自身の規則にさえ従っていない、と主張している。

 裁判所がFCC側に立てば、ネットの中立性に関する広範囲に及ぶ新法の制定を求める動きはそれほど勢いを持たなくなるだろう。逆にComcast側に有利な判決が下された場合には、いよいよ議会が関与してくることが予想される。というのも、ネットの中立性は、Obama氏のテクノロジ政策要綱において何よりも先に取り上げられた論点だったのだ。この考えは、下院議長であるNancy Pelosi氏(カリフォルニア州選出、民主党)も強く主張しており、またByron Dorgan上院議員(ノースダコタ州選出、民主党)も2007年に関連法案を提出している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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