モバイル広告市場のキャリアレップ業態のもう1つの大きな特徴として挙げられるのは、メディアレップの売上規模と事業者の数である。
シード・プランニングによる今回のヒアリング調査では、上記3つのセグメントを合わせて約20社程度の事業者が、モバイル広告市場で一定規模以上の事業者として認知されていることがわかった。
モバイル広告市場におけるメディアレップは、最大手として位置づけられるD2C、CAモバイルなどを筆頭にして、年間売上が数億円〜数十億円規模の事業者が多く並存している状況にある。
PC広告を扱ういわゆるメディアレップのモバイル広告事業の売上も同様の水準である。
モバイル広告市場におけるメディアレップ業態は、上記のように3つのセグメントと売上規模が近い多数の事業者が競合するという意味で、PC広告市場よりも複雑な体系となっているのである。
モバイル広告市場の流通体系におけるもう1つの大きな特徴は、メディア業態についてである。
モバイルメディアにおいて代表的なものとしては、モバゲータウンやmixiモバイル、あるいはYahoo!モバイルなどであるのはいうまでもないが、その他に、主に通信事業者が運営、管理する「公式サイト」という大きな存在がある。
モバイルメディアは、通信事業者が運営、管理する公式サイトと、それ以外の勝手サイト(一般サイト)と呼ばれている領域に分かれている。近年では、モバゲータウン、mixiモバイルなどが飛躍的に成長し、広告収入モデルをベースにした新しいメディアが多数サービス提供を開始するなど、勝手サイトの勢いが著しいものの、公式サイトにおける広告収入規模は大きな割合を占めている。
また公式サイト内でも、通信事業者が運営するポータルサイトと、通信事業者が設定する一定の運営基準の枠内でコンテンツプロバイダ(メディア)が運営するサイトに分かれる。
公式サイト内のコンテンツプロバイダは、課金コンテンツモデル、広告収入モデル、ECモデルにより収入を得るというビジネスを完結させている。すなわち各通信事業者の公式サイトは、その中で多くのコンテンツプロバイダがビジネスを行っているという、いわばマーケットメディアとなっている。
このように、通信事業者は公式サイトという大きなマーケットメディアを運営、管理しており、またモバイルインターネットを利用するユーザーのポータルサイトを提供している。そして、系列のキャリアレップがポータルサイト広告商品をほぼ一括して販売している。
すなわち、モバイル広告市場における通信事業者は、系列キャリアレップも含めて見ると巨大なメディア媒体社であり、かつ有力なメディアレップであるというように非常に大きな存在となっているのである。
以上述べてきたことは、あくまでモバイル広告市場の概観を理解するということにおいてのポイントとなる点についてのみである。
この他にもモバイル広告市場ならではの特性は枚挙にいとまがないが、独自の流通体系についての理解ができれば、例えばモバイル広告市場である事業者が新たな動きをしたときに、どこで何が起こり、その影響はどこに波及するのかということが見えやすくなってくるものである。(担当:シード・プランニング 野下智之)
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