この広告主業種別構成比の変化は、新しい広告主と新しい広告商品が2007年のモバイル広告市場の成長につながった1つの要因を示しているといえよう。
以上のように、2007年のモバイル広告市場は、供給サイドから見た場合には、市場黎明期から参入していた事業者が構成する収入に加え、新たに市場に参入した事業者収入の貢献が加わったことで、大幅な市場の成長が実現されたことが見て取れる。
また、2007年に収入を拡大させた事業者は、従来からのメール広告やピクチャー広告にとどまらず、モバイルリスティング広告や、編集・タイアップ広告など、モバイル広告市場においての新しい広告商品の提供による事業収入の拡大を実現している。
モバイルリスティング広告や編集・タイアップ型広告などの新しい広告商品は、純広告と同様の広告流通プロセスを介さないケースもあることから、事業者の立ち位置によって、これらの広告商品による市場成長の恩恵を受けることがないことも多いに想定される。
その場合には、事業者によって「モバイル広告市場は成長している」と見えるか、「モバイル広告市場は一服感がある」と見えるかに相違が出てくることもあるのであろう。
また、広告主の動向から見た場合には、「フォレストページ」の広告主業種別支出構成比の変化を見てもわかるとおり、従来のCP事業者や、消費者金融事業者に加えて、新たにナショナルクライアントやEコマース事業者のモバイル広告への新規出稿拡大が、2007年のモバイル広告市場の成長の要因となっているのである。
このように、2007年のモバイル広告市場は、従来からの事業者収入と広告商品、広告主が形成する階層(第一階層)の上に、新規参入事業者収入、モバイル広告としての新しい商品、広告主が新たな階層(第二階層)が加わることで、高い成長を遂げたのである。
従って、2007年のモバイル広告市場の構造は、「堆積型・二層式」という言葉で特徴付けることができるのである。(担当:シード・プランニング 野下智之)
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