さらに、「働き甲斐を感じる会社」とはどのような会社でしょうか。これについては前回も登場した、ピーター・ドラッカー氏が述べていることがあります。
「動機付け、特に知識労働者の動機付けは(中略)仕事そのものから満足を得なければならない。挑戦の機会が与えられなければならない。組織の使命を知り、それを最高のものとし、献身できなければならない。より良い仕事のための訓練を受けられなければならない。成果を理解できなければならない」
ここで重要なことは、社員に働き甲斐を与えるために会社がすべきことは、
・面白い仕事を用意する
・挑戦できる場を与える
・組織の使命の重要性を知らせる
・教育・訓練を受けさせる
・社員の出した成果を確認・理解させる
――の5つを実行せよと述べている点です。
社員に働き甲斐を与えるための施策を忠実に実行できれば、多くの社員が会社に対して恩を感じ、結果として会社を信頼することでしょう。
しかし、ここまで会社が社員に対して誠実に対応したとしても、会社の理念に共感しない社員はやはり存在します。3つ目として、どうしても理念に共感できない人には会社を辞めてもらう、ということがあります。
世界屈指の大企業であるGE(ゼネラル・エレクトリック)を率いた元GE会長のジャック・ウェルチ氏は「会社の理念」について1つの指針となる考え方を提唱しています。
それは人材を「考え方が合う・合わない」「成果を出す・出せない」で4つのタイプに分けることです。
【人材の4タイプ】
タイプA「考え方が合う・成果を出す」
タイプB「考え方が合う・成果を出せない」
タイプC「考え方が合わない・成果を出す」
タイプD「考え方が合わない・成果を出せない」
タイプA〜Dに分けたとき、みなさんは各タイプの人材についてどうするべきと考えますか?
ジャック・ウェルチ氏は下のように考えているそうです。
ここで特徴的なのは、Cの考え方が合わないが、成果を出す人材に「やめてもらう」と言い切っている点です。
図を見れば「考え方の共有」をジャック・ウェルチ氏が最重要視していることがよくわかりますが、A〜Dの中で最も悩ましいのがCの「考え方が合わない・成果を出す」タイプです。彼/彼女らが会社を去れば、成果(例えば売り上げ)を失うことになります。
しかしながら、ジャック・ウェルチ氏によると、Cのタイプの幹部・管理職は部下のやる気を引き出すのではなく、部下に強圧的なやり方で成果を上げている人が多いと言っています。
また、経営トップが「会社の理念」の重要性をいくら社員に伝えても、考え方を尊重しない幹部・管理職が大手を振っているようであれば、経営トップを二枚舌の持ち主としか社員は見ません。
経営トップが「会社の理念」を重視し、本気を見せるためには、こうした幹部・管理職を擁護することなく毅然とした態度で臨まなければならないのです。たとえ短期的に成果が失われたとしても、長期的に見れば「会社の理念」を共有した人たちが頑張ろうとより努力し、大きな成果を生み出すはずです。
筑波大学大学院環境科学研究科修了後、大手コンサルティング会社を経てトーマツ イノベーションに入社。現在、主としてIT業界を対象にプロジェクトマネジメント、人事・教育制度構築などのコンサルティングに従事する。そのほかにもCOBIT、ITサービスマネジメント、情報セキュリティにおいても専門領域を持ち、コンサルティングをはじめとして、企業内研修・セミナー活動を積極的に行う。
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