「エンジニアが尊敬されている」--グーグルジャパンの文化と人材事情 - (page 2)

 Google全体の社員数は、昨年末時点で1万6,805人。日本法人の組織図、社員数、職種別の構成比率などはほとんど非公開で、当面公開の予定もないそうだが、採用に関しては、常時、あらゆる職種を募集している。とはいえ、もちろん、同社が人材に要求するレベルは極めて高く、それを満たす人材もそう多くはない。ことにエンジニアに関しては、職務経験もさることながら、学位等に裏打ちされた専門分野に対する知識学歴をかなり重視するという。

 「もちろん、学歴がなければ採らないというわけではありませんが、就学中に必要とされる基礎知識を身につけたかどうかについては相当こだわりを持った採用を行っているのは事実です。やはりこれは、『コンピューターサイエンスに関する高レベルの教育を受けた人こそ、情報収集能力などの面で、高いパフォーマンスを発揮できる』という創業者の信念が、GoogleのDNAとして存在するせいでしょう」(吉田氏)

 グローバルに活動する場面が多いため、英語力は必要だが、社内教育制度を利用して入社後身に付ける技術者も多い。新卒・中途を問わず、採用時にやはり最重視されるのは、エンジニアとしての能力と技能経験だ。基準として具体的に求められるのは、最低でもソースコードが書けること。技術者の面接は、基本的に社内の技術者が行い、ホワイトボードにソースコードを書かせる課題を出すこともあるそうだ。面接回数も、他社と比べかなり多い。

 人材採用活動は、基本的に他社と変わりないが、特にエンジニアに関しては、社員の紹介を通して採用される率が非常に高い、と吉田氏はいう。

 「当社の要求レベルを理解した上での紹介なので、合格率は高くなり、非常に有益な採用ツールとして機能していますね。当社ウェブサイトには『Googleが発見した10の事実』というモットーが掲げられていますけど、例えばそのうちのひとつ、『悪事を働かなくても金儲けはできる。(“Don’t be Evil”)』に共感できる人なのかどうかも、紹介者が事前に選定してくれますから」

 Googleの職場環境の特徴として、誰もが真っ先に思い浮かべるものといえば、やはり“20%ルール”(勤務時間の20%を、自分の好きなプロジェクトに費やすことができるルール)だろう。Gmailなど、20%ルールで生み出されたサービスも多いことから、エンジニアに対してのみのルールのように思われがちだが、実際には違うようだ。広報部の稲垣光彦氏はいう。

 「われわれノンエンジニアにも適用されますよ。20%ルールを使って環境問題に取り組んだりすることもできます。当然ながら、今の仕事で手一杯の人は無理に取らなくてもいいですし、『義務』や『権利』というより、『自由』という表現が一番しっくりきます。ただ、何かやりたいことのある人が自分で仕事を作り出し、会社もそれをオープンに受け入れる、というフラットさが当社の特徴ですし、逆にいえば、自分で作らなければ仕事になりません。その意味では、全ての仕事が20%ルールの思想で成り立っている、という気がしますね」

 そうした“グーグル・カルチャー”こそが、同社のこれまでの発展を支えてきた、というわけだ。規模が大きくなるつれ、それをいかに維持していくかが、今後のカギとなりそうだが、「どうやったら維持できるかについて、社全体で真剣に考えていますね。グーグル・カルチャーを維持発展させるための様々な取り組みもありますし、各国と人材のやりとりをして、カルチャーを学び、伝えていく努力もしています」(吉田氏)と、全く抜かりはないようだ。

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