すべての基本は期待に応えようとする誠実さ—“携帯放送連携”仕かけ人の素顔(第1回:大森洋三) - (page 3)

人脈と組織を支えるもの

--これまでの話では、ほぼすべてが順風満帆で来ていると伺えるのですが、大森さんでも落ち込んだりする時はありますか?

 もちろん、心の浮き沈みはありますよ。南米にいた頃はアンデス山脈の奥地で海援隊の「思えば遠くへきたもんだ」が頭に響きながら長距離バスに揺られていました。事業がうまく行かない時は随分悩んで、落ち込みましたしね。当然、誰もがそうであるように仕事以外の悩みもありますし。

 でも、気持ちが落ちたままだと何も始まらないでしょう。海外では「このままでは、日本に帰れない」というのがモチベーションだったし、いずれの時も「現状を改善、打破しなくては!」という思いが前に進んで行けた理由でしょうね。決してポジティブにすべての物事を進めてこられたわけではありません。

 そしてなくてはならないものが「妻のバックアップ」です。

--奥様のバックアップ?最近、僕も入籍したばかりで非常に興味があるところなのですが、大森さんのご活躍を下支えしてくれた心に残る奥様の言葉はありますか?

 そこを聞いちゃいますか(笑)

--はい!これは元気の素を教えてもらうコーナーですから!

 ある時、妻が他人に話していた言葉を聞きました。

 「あの人に付いていけば食いっぱぐれることはない。あの人ならなんとかしてくれる」と。

 これを聞いたとき、素直に・・・・嬉しかったですよね。信じてくれていると。

--少し目が潤んでしまいました(涙)。鉄人の人間的な一面を垣間見た気がします。ところで、大森さんはさまざまな業界に身を置くことによって、幅広い人脈をお持ちですね。人とのおつきあいで大事になされていることはなんでしょうか?

 人脈の有無って何なのでしょうね?僕は浅草雷門の下町出身者です。下町は義理人情に厚い。その反面、非常に閉鎖的なところもある。だから、義理を欠いては生きていけないんです。僕の基本にあるのは「期待をしてくれるなら、誠実な気持ちで返そう」という思いだけですね。

--やはり誠実さが人と人のつながりの核にありますよね。一方、これまで各会社で新規事業を立ち上げてきた経験をお持ちですが、事業を立ち上げる上で、戦略的にも“人“は大変重要なファクターだと思います。大森さんの中にある、何か方程式のようなものはありますか?

 確かに、「人」は大事です。しかし、大会社であれば人は選べません。逆にベンチャーであれば自分で集めなくてはなりません。最適なタイミングで最適な人がいる確率は宝くじの当選確率と同じですよ。

 だからこそ、意識的に補完し合いながらパワーを生むチーム作りが重要だと思います。

 加えて、試行錯誤を重ねた結果、互いの意思疎通が出来るのは最大7人と考えています。この7人を1ユニットとして、「売るユニット」「造るユニット」「数えるユニット」として、互いに足りないところを補って行くことを常々考えながら、組織作りに反映させています。

大森氏 「期待をしてくれるなら、誠実な気持ちで返そう」の考えが基本であると説明する大森氏

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