ゲイツが我が家にやって来る(後編) - (page 2)

Michael Kanellos(CNET News.com)2005年01月18日 14時03分

--IE以外のブラウザが市場シェアを伸ばしています。これが御社にとって問題、あるいは懸念となるのはいつでしょうか。

 ブラウザに関しては、少し誤解があるようです。音楽プレイヤーが何台あってもかまわないように、ユーザーは自分のPCにいくつブラウザを入れてもかまいません。

 Firefoxをダウンロードする人が増えているという人がいます。それは事実ですが、その人たちのPCにはIEもインストールされているはずです。Firefoxは新しいツールですから、試してみようと思う人はいるでしょう。そういう人は一定数存在します。ダウンロードするのは簡単ですからね。

 最高のブラウザの座を維持するためには、常にIEを革新し、アドオンを開発し、改良を加えていかなければなりません。IEに関しては、わくわくするような計画をいくつかあたためています。ユーザーの何割かはFirefoxとIEの両方を試し、優れている方を使うでしょう。

 ですから、騒ぐ必要はないのです。人々がIEを使うのをやめてしまったわけではない。優れたアイデアはたくさんあり、切磋琢磨しながら前進していけばよいのです。

 当社のブラウザ開発のスピードは歴史が証明しています。過去に当社を見くびっていた人々は、それを後悔することになりました。

--しかし、セキュリティ上の問題を理由にIEを使わなくなった人もいます。

 われわれほど、ブラウザのセキュリティに投資をしている会社はありません。われわれがいいたいのは、とにかく自動アップデートを有効にして欲しいということです。そうすれば、セキュリティの心配をし、自分であれこれ試したり、情報を集めたりしなくても、何百人もの優秀なスタッフがあなたのブラウザを絶えず改善し、あなたの安全を確保しようとしていることがお分かりいただけるでしょう。自動アップデートとIEがあれば、どこにいても最高のセキュリティチームと最も迅速なレスポンスチームを手に入れることができるのです。

--Googleについてお聞きします。なぜあなた、あるいはMicrosoftはGoogleに対抗しようとするのですか。MSNを総合的な検索エンジンにするおつもりですか。

 まさにその通りです。われわれはGoogleが登場する以前から検索事業に取り組んできました。われわれの目標は、あらゆる意味でユニークな検索技術を開発することでした。Microsoft Researchが自然言語、ドキュメント分析、パーソナライゼーション、イメージ分析、言語翻訳といった分野で成し遂げたことを思い出してください。われわれの研究はいずれ、当社やGoogleが現在提供している検索を、冗談のような代物に変えてしまうでしょう。こうした研究成果の多くはOfficeなどのアプリケーションやWindowsのシェルに組み込まれる予定です。デスクトップ検索についていえば、私の知る限り、どのレビュー記事も当社のツールをGoogleのそれよりはるかに高く評価しています。

 Longhornでは統合がさらに進み、共通のインデックス形式が採用されるでしょう。われわれはLonghornにユーザーが円滑に移行できるよう、デスクトップ検索でも同じインデックス手法、同じインデックス形式を採用するつもりです。Longhornへの移行はきわめて円滑なものとなるでしょう。

 われわれがデスクトップにこだわるのは、ここがWindowsの革新の中心だからです。この分野で激戦が起こることをわれわれは望んでいます。当社とGoogle、Yahooが競い合うことで、進化が生じると思うからです。

 もし、検索分野で可能なことはもう他社がやってしまったとか、大きな利益を上げる望みはもうないと思うなら、このようなことはしないかもしれません。しかし、現実はその逆です。地図情報でも、バーチャルワールドでも、あるいはドキュメント分析でも、現在の検索はきわめて原始的です。しかし当社には、これを新しいレベルに押し上げ、かつビジネスとして大成功させるだけのソフトウェア技術があります。

--検索の次の段階は音声と映像なのでしょうか。

 確かに、誰もがこの2分野に取り組んでいます。しかし、現実にはどうでしょうか。近所のピザ屋を見つけることすら一苦労です。現在の検索はきわめてレベルの低いもの--いや、これまではそうだったが、今はマシになったというべきかもしれません。現在のような検索は、過去にはありませんでしたからね。いずれにしても、今日の検索エンジンが引っ張ってくる結果の大半は、ユーザーが求めているものとは関連のないものです。検索精度を飛躍的に向上させるためにはディープ・アナリシス(deep analysis)が必要です。われわれがこの分野に多額の投資を行っているのはそのためです。今後はさらに、そして短期間のうちに、この分野への投資を強化するつもりです。

--今年は新興市場向けの低価格PCの生産が本格化すると見られています。低価格PCはどうあるべきだと思いますか。ロシアやインドの人々にとっては、300ドルでも高すぎるのでは。

 そんなことはありません。高いのはコネクティビティ、つまりインターネット接続です。通信費用がタダなら、そして300ドルのPCを買うだけでよいなら、PCは爆発的に普及するでしょう。皮肉なことに、通信費用は先進国よりも途上国で高くつく傾向があります。

 このため、途上国の人々はカフェやコミュニティセンターでPCをシェアしなければなりません。当社はいわゆるメッシュネットワーキングの研究に力を入れています。これはワイヤレススペクトラムを利用して通信費用を大幅に削減しようとするもので、コンピューティングを普及させるブレークスルーはこの分野で起こるでしょう。

 最大のネックは通信費用です。この問題が圧倒的に大きく、次がハードウェアです。当社はソフトウェアの費用が障害となることがないよう、これを現実的な割合に抑える配慮を行っています。教育機関には大量のソフトウェアを無償で提供しています。ソフトウェアが原因で、コンピュータを利用する道が閉ざされることのないように、われわれはこれまでも惜しみない援助を提供してきました。

--なるほど、メッシュネットワークを利用すれば、実際に接続を共有することができるわけですね。

 そうです。問題は村からインターネットへのバックホール(back haul)です。もちろん、村の内部ではメッシュ構成を組むことができますが、ビデオのストリーミングをしようとなると、かなりのキャパシティが必要です。単純な問題ではないのです。実際、当社ではメッシュの研究に複数の研究センターが共同で取り組んでいますし、外部の組織とも頻繁に会議を開いてきました。われわれはメッシュネットワークが途上国のコンピュータ利用を阻害している要因を取り除くものになると楽観しています。

--近年多くの人が特許や著作権といった知的財産権の改革や制限を主張しています。当初は一部の人だけでしたが、最近では大勢の人が「特許を見直すべきだ、著作権を見直すべきだ」と訴えている。その理由はなんでしょう。法的改革は必要だとお考えですか?

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