「ウイルスやワームも心配」、テロだけでなかったアテネ五輪関係者の心配の種

 今夏のアテネオリンピックで職員たちが心配しているセキュリティ脅威は、テロリズムだけではない。オリンピックのデータネットワークを破綻させかねないウイルスやワームにも彼らは気を揉んでいるのだ。

 「われわれの最大の懸念は、誰かが故意または偶然にネットワークの1つをウイルスに感染させてしまい、それが深刻な被害につながることだ」とアテネオリンピックのデータ/放送ネットワーク構築を担当する企業Atos Origin(本社フランス・パリ)のエグゼクティブバイスプレジデントJean Chevallierは述べている。「競技結果の投稿を遅れさせたり、ネットワークを遅延させたりするようなネットワーク障害は絶対にあってはならない」(Chevallier)

 Atosは2002年のソルトレークシティで初めてオリンピックネットワークのプライマリ・システムインテグレータを務めた。同社はイタリアで開催される2006年冬季オリンピックと、中国での2008年夏季オリンピックでもネットワーク構築を行う契約を国際オリンピック委員会(IOC)と結んでいる。

 Chevallierによるとソルトレークシティでもネットワークセキュリティは重大な懸念事項だったが、この2年間で着目すべき点が変化したという。2002年のオリンピックは、2001年9月11日の同時多発テロのわずか6カ月後だった。Chevallierのチームは選手や職員の機密情報が漏れないよう、ぎりぎりまでセキュリティを強化する作業に徹した、とChevallierは話している。

 その後、機密漏えいに関する懸念は、増えつづけるウイルスやワーム攻撃への懸念にシフトしていった。米連邦捜査局(FBI)のデータによると、米国企業のうち、2003年にウイルス攻撃を受けたのは約82%にのぼり、2000億ドル以上の損失が生じている。

 Atosではウイルス対策および侵入検知製品のインストールに加え、アーキテクチャ上の大幅な変更を行った。最も重要な変更点は、多くのウイルスがウェブや電子メールを通じてローカルネットワークに侵入することを踏まえ、ネットワークからのインターネットアクセスを遮断した点だ。

 またAtosは、ネットワーク上に高度な仮想ローカルエリアネットワーク(VLAN)を構築した。同社はこうした個々のVLANの監視やログ収集、警告の優先順位付けを行なうソフトウェアとして、Computer Associatesの新ネットワーク監視ツールを採用した。VLANは互いが完全に隔離されるように設定されているため、もしネットワークの一部でセキュリティが侵害されても、他の部分に被害が及ぶ心配がない。

 アテネのオリンピック主催者らは、複数の競技場の建築など数々のプロジェクトのスケジュールが遅れていることで批判を浴びている。だがChevallierのチームが構築したデータネットワークは、8月13日のオリンピック開幕時までには稼動の準備が整うと、Chevallierは述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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