アドバンテストの年初来安値更新はいつまで続くのか

 半導体テスター最大手のアドバンテストの株価が下げ止まらない。国際的に電子機器メーカーの受注の先行きに対する懸念が加速するなかで、半導体、液晶関連製品などハイテク関連市況下落への警戒感から、関連メーカーの株価低迷が続いているためだ。1月の年初来高値からすでに下落率は30%にも達している。果たしてこの下落トレンドはいつまで続くのか。

 先週末18日、アドバンテストの株価が3日ぶりに年初来安値を更新し、7000円台を大きく割り込んで一時、6700円まで下落した。今年1月21日につけた年初来高値9610円からすでに30%の大幅下落となっている。アドバンテストの今年になってからの株価推移を振りかえってみると、1月21日に年初来高値9610円をつけて以降、いったん下落に転じ、2月13日には一時、8000円台を割り込む場面もあった。しかしその後、足元の業績や受注の好調、さらに全体相場の上昇基調にも支えられて株価が反発に転じ、4月にはほぼ9000円台の株価を維持していた。ところが、4月26日の9350円をピークに下落トレンドに入り、下げ止まらない状態が続いている。

 18日にアドバンテストが7000円を大きく割り込んで年初来安値を更新したのは、その日の日本時間の朝方発表になったSEMI(国際半導体製造装置材料協会)の5月の北米半導体製造装置メーカーのBBレシオが1.11と前月の1.13から11カ月ぶりに低下したことが直接のきっかけとなった。さらに、取引時間中にもハイテク株比率の高い台湾や韓国の株価が大きく下落したことも、下げに拍車をかけた。

 この世界的なハイテク関連製品市況の需給悪化や市況下落懸念の背景について、外国証券のアナリストは「液晶関連製品、CCD、CMOSセンサー、フラッシュメモリ、DRAMなどの市況の悪化傾向が鮮明になっている。アテネ五輪開催に向けて世界各国で積み増されているデジタル家電の販売が停滞を見せはじめているのに加え、韓国のサムスン電子など半導体メーカーの増産により、電子部品に供給過剰感が出はじめている」と指摘している。

 さらに、アドバンテストの今後の動向について準大手証券のアナリストは「半導体ウエハの300ミリウエハの製造ラインが本格的に立ち上がってきたことや、フラッシュメモリの市況悪化などの影響が出はじめているようだ。足元の4〜6月の受注は想定以上となる可能性が出ているが、そこでピークアウトする可能性が高そうだ」としている。

 一方では、「株価が1月の年初来高値から30%もの調整を経て、株価が7000円を割り込む水準では今期の予想PERも18倍レベルと割高感がなくなってきている。短期間での大幅な反発の可能性は薄いものの、現在の株価水準からさらに大きく下落する懸念は少ないのではないか」(中堅証券投資情報部)との見方もある。

 ただ、株式需給面からは、株価が下落し始める前の4月下旬には120万株程度だった信用取引の買い残高は、その後株価が下落し続けているにもかかわらず増加し続け直近では300万株にも膨らんでいる。これに対して信用取引の売り残高は24万株と少ないことから、今後も買い残の重みが株価の反発を押さえる可能性がありそうだ。

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