企業間利用に普及の見込み
アナリストらは、WebサービスやSOAが企業間(BtoB)で利用されるケースがますます増えると予想している。SOAのモジュール化されたシステム設計と共通の通信標準のおかげで、組織間でのデータ共有だけでなく、ビジネスプロセスのアウトソーシングまでもが簡単になるだろう。
社内のネットワーク全体をWebサービスとSOAで構築した、企業間取引ネットワーク会社のE2Openを例にとってみよう。E2Openでは仕入れや在庫予測など複数のビジネスサービスを提供している。同社ではWebサービスの利用により、顧客が自分のニーズに合わせて同社のビジネスサービスを組み合わせられるようになった、とエグゼクティブバイスプレジデントのLorenzo Martinelliは述べている。
「Webサービスベースのプラットフォームなら、顧客は我が社のネットワークからさまざまな機能を組み合わせて利用できる」(Martinelli)。同社は現在、Business Process Execution Language (BPEL)仕様に基づき、ソフトウェアインフラにワークフロー自動化ツールを統合しているところだ。これが実現すれば、企業は単にXML形式のデータだけでなく、複数の段階に及ぶビジネスワークフローを自動化することが可能になる。
ユーザーが複数のシステムに自動ログインできるサービスなど、一度構築したWebサービスを他のさまざまなアプリケーションで再利用することは現在でも可能だ。しかし、WebサービスとSOAを最大限に活用するためには、企業はビジネスプロセスを綿密に見直し、刷新したインフラでどれほど効率が改善されるかを考える必要がある。
「ビジネスサービスは大量のIT資産の中に埋もれている。それらを見つけだしてSOAで表に出せれば、IT効率は劇的に向上する」と、IBMのエンジニアで同社のWebサービス・SOA中核的研究拠点(COE)の最高技術責任者(CTO)、Kerrie Hollyは述べている。
SOAは非常に有望だが、企業内で共有ソフトウェアサービスを構築することは、大きな方針転換になるだろう。企業が事業内で再利用できるサービスの構築を推進するためには、一個人や一部門があるアプリケーションやデータソースを、「所有する」という根深い考え方を捨て去らねばならないと、ZapThinkアナリストのJason Bloombergは注意を発している。こうした文化的な変化以外に、SOAの導入にあたるテクニカルアーキテクトや設計者らは、独立したサービスの集合としてビジネスを設計する方法を慎重に検討する必要がある、と専門家は指摘する。
「通常なら、最初のSOAプロジェクトでソフトウェアの統合にはそれなりの改善がみられる。だが、その後のプロジェクトではサービスの再利用が進むことから、さらに費用対効果が改善していくはずだ」(Schmelzer)
経験豊富な技術ユーザーの目には、SOAが既存製品に新しいラベルを貼り付けただけに見えるかもしれない。しかしSOAをスタートさせる企業が増えるなか、この最新のミドルウェアは、上手な設計と組み合わさって、これまでにないものに化けるかもしれない。
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