アップルは6月12日、開発者向け会議イベントWorldwide Developers Conference(WWDC)の基調講演で、次期OS X Mountain Lionを発表した。7月に1700円でMac App Storeで発売される。
MacBook ProやMacBook Airの新製品も発表されているが、OS X Mountain Lion Up-to-Dateアップグレードにより、6月11日以降にアップルまたはアップル製品取扱販売店で対象となる新しいMacを購入したすべての人が、Mac App Storeを通じて無償でMountain LionにOSを更新できる。ただし、専用ページから申し込む必要があり、申込期限はOS X Mountain Lionの公式リリース日(未定)から30日間となっている。
Mountain Lionの主要ポイントは大きく10個ある。まずiCloudによるMacやiPad、iPhone、iPod touchの連携だ。Apple IDでサインインするだけで、すべてのデバイスのメールや連絡先、カレンダー、メッセージ、FaceTime、Game Center、Safari、リマインダー、iTunes、Mac App Store、メモを自動で同期し、削除や編集した結果が反映される。
2つめは、iMessage。iOS 5を搭載したiPhoneやiPad、iPod touchにメッセージを送れるようになった。テキストだけではなく、写真やビデオ、書類、連絡先を送ったり、グループ宛に同時にメッセージを送ったりもできる。メッセージが相手に届いたことや、相手が返信を入力中かどうかも確認でき、開封証明をオンにしておけば、メッセージを読んだことを相手に通知することも可能だ。さらに、やりとりする情報はエンドツーエンドで暗号化されている。
3つめは通知センター。メールやメッセージ、ソフトウェアアップデート、カレンダーのアラート、ツイートなどの通知がデスクトップに表示され、自然と消える。すべての通知をまとめて見たい時は、トラックパッドの右端から左へスワイプすれば、リストとして表示される。フルスクリーンの時でも見られる。
4つめはPower Napで、Macがスリープ状態になっている時でも、メールや連絡先、カレンダー、リマインダー、メモ、フォトストリーム、「Macを探す」、iCloudの同期などを定期的に更新する。Macが電源に接続されている時は、ソフトウェアアップデートもダウンロードして、Time Machineでバックアップを作成する。つまり、再びMacを使用する際にはすべて最新の状態になっている機能だ。ただし、Power Napを利用するには、フラッシュストレージを内蔵したMacノートブックが必要で、ファームウェアの更新が必要になる場合があるという。
5つめは音声入力。文字を入力できる場所ならどこでも、声で入力ができるようになった。音声入力にはMacに内蔵されているマイクを使用。「点」「感嘆符」と言えば、それらも入力できる。さらに、連絡先に保存されている人を認識するので、人の名前も正確に入力できるという。音声入力は、英語(米国、英国、オーストラリア)、フランス語、ドイツ語、日本語に対応している。
6つめは、共有。OS X Mountain Lionのすべてのアプリケーションには、共有(送信)ボタンがついている。このボタンを使えばアプリケーションから直接写真やビデオ、そのほかのファイルを、メールやメッセージ、AirDropですぐに共有できる。ブラウザのSafariからリンクを送る時も、FacebookやTwitter、Flickr、Vimeoに直接投稿する時も、クリック数回で完了する。
7つめは、FacebookとTwitterとの連携。利用しているアプリケーションからリンクや写真、コメント、位置情報を直接FacebookやTwitterに投稿できるようになった。そして、Facebookの友達やプロフィール情報は連絡先に追加される。通知センターを使ってFacebookやTwitterの通知を確認したり、直接投稿したりすることもできる。
8つめはGame Centerで、Mac、iPad、iPhone、iPod touchを使っている誰とでも(iPad、iPhone 3GS以降、第3世代以降のiPod touch、OS X Mountain Lionを搭載したMacで)対戦できる。iOSのGame Centerアカウントを使うか、Apple IDで新しいアカウントを作ってサインインする。おすすめのMac用ゲームや対戦相手も通知するという。
9つめは、Gatekeeper。悪質なソフトウェアをダウンロードしたりインストールしたりするのを防ぐ。Macにどのアプリケーションをインストールするかを、管理することも可能。「アプリケーションをウェブ上のどこからでもダウンロードしてインストールする」、「最も安全なMac App Storeのアプリケーションに限定する」などを選択できる。Gatekeeperの標準設定では、Mac App Storeにあるアプリケーションと認定デベロッパが開発したものだけをインストールするようになっている。
最後10個目は、Safariの新しい機能だ。まず、検索文字の入力も、ウェブアドレスの入力も、1つのフィールドでできるようになった。一致する可能性が最も高いアドレス(トップヒット)や、よく使われている検索文字、ブックマークや履歴にあるアドレスを自動的に表示する。
また、ピンチをするとタブビューが表示され、開いているすべてのタブを表示し、スワイプでページを切り替えられる。iPhoneやiPadでウェブページを開くと、iCloudタブがMacでも同じページを開くので、デバイスが違っても前回と同じサイトから見ることが可能だ。さらに、リンクだけでなくウェブページ全体をリーディングリストに保存するので、インターネットに接続していないオフライン時でも続きを読める。
もう1つ、通常の日本語環境で使っている人はあまり関係ないかもしれないが、中国のサポートが大幅に強化されている。新しい中国語の辞書を搭載して、テキスト入力も強化し、8種類のフォンも用意。さらに、メールは中国で多くの人が利用しているQQ、163、126と連携したほか、Safariのオプションには、中国の大手検索プロバイダであるBaiduが追加された。
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