ノークリサーチは地域によるDX導入状況の違いは何処から来るのか?に関する分析を実施し、その結果を発表した。
PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2024年5月8日
2024年 DXの地域差縮小につながる業種比率に着目した要因分析
調査設計/分析/執筆: 岩上由高
ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は地域によるDX導入状況の違いは何処から来るのか?に関する分析を実施し、その結果を発表した。本リリースは「2024年版 DX提案に不可欠なターゲティングとステップアップの実践レポート」のサンプル/ダイジェストである。
<IT活用の地域差が生じる背景/原因を明らかにすれば、実施すべき対策も見えてくる>
■DXの取り組み状況を地域別に比較するだけでは、ユーザ企業を啓蒙することはできない
■「地域の違い」は「業種比率の違い」として、DX/ITソリューション導入状況に影響を与える
■コミュニケーション改善/データ共有の不足が東北地方での自動化/ペーパレス化を阻害
■まず最初に取り組むべき対策は「コラボレーション製品/サービスを上手く使いこなす」こと
■DXの取り組み状況を地域別に比較するだけでは、ユーザ企業を啓蒙することはできない
DXの取り組み状況はユーザ企業の年商や業種によって異なるが、もう1つ重要な視点が「地域差」だ。以下のグラフは様々なDX/ITソリューションの導入割合を調査した結果から、「自動化/システム連携/開発ツール(RPA/iPaaS/ノーコード/ローコード)」と「ペーパレス化」の値を中堅・中小企業全体、東北地方(東北6県)、首都圏を含む関東地方、大阪圏を含む近畿地方、名古屋圏を含む中部地方で比較したものだ。
全体平均や他の地域と比較すると、東北地方は自動化やペーパレス化の取り組みが遅れていることが確認できる。だが、この結果を掲げて、「RPAやノーコード/ローコードの導入をもっと進めるべき」と単に呼びかけても、現地のユーザ企業からは「東京、大阪、名古屋とは産業構造が異なるのだから、IT活用のレベルも違うのが当然では?」という反応で終わってしまいがちだ。 そのため、地域に応じたDX/ITソリューションの活性化を図るためには、地域毎の産業構造を考慮した要因分析が欠かせない。本リリースの元となる「2024年版 DX提案に不可欠なターゲティングとステップアップの実践レポート」では有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して実施した調査データを元に分析モデルを作成し、そこに地域毎の産業構造を考慮することによって、「その地域が実現できるはずのDX取り組み状況」を示した上で、そうした本来あるべき姿とのギャップを埋めるには何をすべきか?を明らかにしている。次頁以降ではそうした分析結果の一部を調査レポートのサンプル/ダイジェストとして紹介している。
■「地域の違い」は「業種比率の違い」として、DX/ITソリューション導入状況に影響を与える
下図は1300社の中堅・中小企業における計24項目のDX/ITソリューション(S3_1~S3_24)の導入割合と企業属性(A1.年商/A4.業種/A5.所在地)のデータにベイジアンネットワーク分析を適用し、ソリューション間の関係性をモデル化したものだ。このモデルを用いることで、「ある地域 or 業種で**のDX/ITソリューションの導入率が高まったとしたら、それが他のDX/ITソリューションにどう影響するか?」を知ることができる。
S3_1.自動化/システム連携/開発ツール
S3_2.コミュニケーション改善/データ共有
S3_3.ペーパレス化
S3_4.販売/マーケティングの改善や刷新
S3_5.ジェネレーティブAI(生成AI)
S3_6.センサ+AIによるデータ分析
S3_7.クラウド活用/レガシー移行
S3_8.既存の業務システムにおけるDX
S3_9.ドローンの活用
S3_10.VR/AR/デジタルサイネージ
S3_11.3Dプリンタの活用
S3_12.ロボットの活用
S3_13.基幹系システム
S3_14.情報系システム
S3_15.顧客管理系システム
S3_16.分析/出力系システム
S3_17.運用管理系システム
S3_18.サーバ/ストレージ機器
S3_19.PC/スマートフォン/タブレット
S3_20.ネットワーク機器
S3_21.複合機
S3_22.IaaS/ホスティング
S3_23.PaaS
S3_24.SaaS
A1.年商
A4.業種
A5.所在地
上図で矢印で結ばれている楕円はそれらが表す項目が互いに影響し合っていることを示している。例えば、青点線で示した
「S3_6.センサ+AIによるデータ分析」
と
「S3_20.ネットワーク機器」
は矢印で直接結ばれており、強い関連性があることを示している。実際、IoTセンサで取得したデータを活用するDXソリューションにおいては、IoTセンサから分析システムにデータを伝達するネットワーク環境の整備が重要な要素となってくる。
ここで着目すべきなのが、赤点線で示した「A1.年商」「A4.業種」「A5.所在地」といった企業属性と他のDX/ITソリューション(S3_1~S3_24)との関連である。年商や業種は他のDX/ITソリューション項目と矢印で結ばれているが、所在地(地域)が接続しているのは業種のみだ。 これはDXの取り組み状況に直接的に影響を与えている企業属性は年商と業種であり、所在地の違いは業種の違いを通じて間接的に影響を与えていることを示している。つまり、前頁に述べた「東京、大阪、名古屋とは産業構造が異なるのだから、IT活用のレベルも違うのが当然だ」というユーザ企業の反応は決して言い訳ではなく、調査データに基づく分析モデルが示す傾向とも一致している。そこで、次頁以降では上記のグラフに示した東北地方における業種比率のデータを分析モデルのA4.業種に反映するという条件設定を行った上で、改めて自動化やペーパレス化の取り組み状況がどうなるか?を検証していく。
■コミュニケーション改善/データ共有の不足が東北地方での自動化/ペーパレス化を阻害
左のグラフにおける青帯は東北地方の業種比率を設定した分析モデルにおいて、
「S3_1.自動化/システム連携/開発ツール」
「S3_3.ペーパレス化」
の導入割合を示したものだ。つまり、東北地方の業種比率を踏まえた時、期待される自動化やペーパレス化の導入割合と捉えることができる。
一方、橙帯は東北地方におけるS3_1とS3_3の実測値である。
つまり、東北地方における自動化やペーパレス化の取り組み状況は期待される導入割合と比較して10ポイント超下回っていることになる。 この要因は既存のIT活用のどこかに潜んでいるはずだ。そこで、東北地方の業種比率を設定した分析モデル上で自動化やペーパレスの導入割合が実測値と同レベルに低下した場合、それと歩調を合わせるように導入割合が大きく低下するDX/ITソリューションは何か?を確認してみる。その結果を示したのが右のグラフである。 「S3_2.コミュニケーション改善/データ共有」は導入割合の下落幅が大きく、
「S3_5.ジェネレーティブAI(生成AI)」
「S3_6.センサ+AIによるデータ分析」
といった他のDX/ITソリューションと比べても差が大きい。 つまり、東北地方で自動化やペーパレス化の導入が進まない背景にはコミュニケーション改善やデータ共有の不足が影響している。
これは前頁のベイジアンネットワーク分析図を拡大&抜粋した右図からも確認できる。
「S3_2.コミュニケーション改善/データ共有」
は
「S3_1.自動化/システム連携/開発ツール」
「S3_3.ペーパレス化」
の双方と直接結びついており、
「S3_5.ジェネレーティブAI(生成AI)」
「S3_6.センサ+AIによるデータ分析」
と比較して、自動化やペーパレス化に強く影響していることがわかる。それでは、東北地方においてコミュニケーション改善/データ共有の取り組みを活性化するには具体的に何をすべきだろうか?次頁ではその点を探っていく。
■まず最初に取り組むべき対策は「コラボレーション製品/サービスを上手く使いこなす」こと
東北地方においてコミュニケーション改善/データ共有の取り組みを活性化する施策を探るためには、東北地方の業種比率を設定した分析モデルにおいて、「S3_2.コミュニケーション改善/データ共有の取り組み」の導入割合が高まった場合に、同時に導入割合が高まる既存の業務システムは何か?を確認することが有効だ。 その結果を示したのが左のグラフである。情報系システム(グループウェア、ワークフロー、ビジネスチャット、WEB会議など)は基幹系システムや分析/出力系システムと比べて導入割合の増加幅が大きい。
コミュニケーション改善/データ共有を既存の業務システムで実現する際には情報系システムが主要な手段となるため、これは当然の結果とも言える。
そこで、導入済みの最も主要なコラボレーション製品/サービス(グループウェア、ビジネスチャット、Web会議)の機能がニーズに合致しているか?を尋ねた結果を地域別に集計したものが右のグラフである。
東北地方は他の地域と比べて「機能がニーズに合致している」の値が低いことがわかる。だが、コラボレーション製品/サービスの導入社数シェアは東北地方も中堅・中小企業全体も同様の傾向を示しており、いずれも「Microsoft 365」や「サイボウスOffice」が上位に位置している。同じ製品/サービスであれば地域による機能差は生じないはずなので、東北地方のユーザ企業はコラボレーション製品/サービスを上手く使いこなせていない可能性がある。ここで、前頁から述べてきた分析を逆に辿って整理すると下図のようになる。
つまり、IT企業が東北地方における自動化やペーパレス化を促進するためには、まず既存のコラボレーション製品/サービスを上手く使いこなすための支援を行う必要がある。例えば、「ビジネスチャットとファイル共有を活用すべき場面で添付ファイル付きのメールを多用してしまい、対話の経緯やファイルの更新状況を把握できていない」などの状況が考えられる。IT企業側は「Microsoft 365」や「サイボウスOffice」を導入して終わるのではなく、非効率な業務場面をなくしていくための啓蒙にも取り組むことが大切だ。ここでは「東北地方の自動化やペーパレス化を促進するには何をすべきか?」を題材としたが、本リリースの元となる調査レポートでは他の様々なDX/ITソリューションや地域を分析対象とすることができる。次頁でその詳細を述べる。
本リリースの元となる調査レポートのご紹介
本リリースでは、「東北地方で自動化やペーパレス化に関するDX/ITソリューションの導入割合が低いのは何故なのか?」という問題提起から始まって様々な分析を行い、「まずは既存のコラボレーション製品/サービスを上手く使いこなす」ことが最初に取り組むべき支援策であるという1つの結論を得た。
当然ながら、IT企業がDX/ITソリューション導入を促進したいと考える地域は東北地方だけではない。さらに、それぞれの地域に応じて、今回実施したような複数の段階を踏んだ要因分析が必要となってくる。そこで、本リリースの元となる調査レポート
「2024年版 DX提案に不可欠なターゲティングとステップアップの実践レポート」
は購入いただいたIT企業が分析の対象となるDX/ITソリューションと企業属性(年商/業種/地域)を指定し、その条件に従って「何が課題となっており、それを解消するために何をすべきか?」を段階的な分析によって明らかにしている。つまり、購入後に指定される条件によって、調査レポートの中身は変わってくる。こうした形式の調査レポートをノークリサーチでは「セミカスタムレポート」と呼んでいる。実際の流れは以下のようになる。 まず、下記のDX/ITソリューションの中から分析対象とするものを1つ選択する。
次に、「ターゲティング」を指定する場合は下記の年商、業種、所在地の選択肢から選ぶ、指定がない場合は分析対象となるDX/ITソリューションの導入割合を元に最適な1つの「ターゲティング」をノークリサーチから提示する。
続いて、「ターゲティング」の条件下で分析対象となるDX/ITソリューションの導入を促進を阻んでいる要因は何か?を段階的に分析し、その解消に向けた施策を提言する。この過程を調査レポートでは「ステップアップ」と呼んでいる。
DX/ITソリューション:
S3_1.自動化/システム連携/開発ツール
S3_2.コミュニケーション改善/データ共有
S3_3.ペーパレス化
S3_4.販売/マーケティングの改善や刷新
S3_5.ジェネレーティブAI(生成AI)
S3_6.センサ+AIによるデータ分析
S3_7.クラウド活用/レガシー移行
S3_8.既存の業務システムにおけるDX
S3_9.ドローンの活用
S3_10.VR/AR/デジタルサイネージ
S3_11.3Dプリンタの活用
S3_12.ロボットの活用
S3_13.基幹系システム
S3_14.情報系システム
S3_15.顧客管理系システム
S3_16.分析/出力系システム
S3_17.運用管理系システム
S3_18.サーバ/ストレージ機器
S3_19.PC/スマートフォン/タブレット
S3_20.ネットワーク機器
S3_21.複合機
S3_22.IaaS/ホスティング
S3_23.PaaS
S3_24.SaaS
年商:
5億円未満
5~10億円
10~20億円
20~50億円
50~100億円
100~300億円
300~500億円
業種:
組立製造業
加工製造業
建設業
卸売業
小売業
流通業(運輸業)
IT関連サービス業
一般サービス業
所在地:
北海道地方
東北地方
関東地方
北陸地方
中部地方
近畿地方
中国地方
四国地方
九州・沖縄地方
集計/分析の元となるデータはノークリサーチが発刊する様々な調査レポートを活用。
「2024年版 DX提案に不可欠なターゲティングとステップアップの実践レポート」(セミカスタムレポート)
価格: 48万円(税別)
内容: 分析対象となるDX/ITソリューションを1つ選択し、本リリースに例示した「ターゲティング」と「ステップアップ」の分析を提供
納品物: ・本リリースに例示した「ターゲティング」と「ステップアップ」の分析と提言を記載したMicrosoft Powerpoint資料
・上記のPowerpointに掲載された集計データの元となるMicrosoft Excelシート
オプション: 分析対象となるDX/ITソリューションの追加1点: 18万円(税別)
「ターゲティング」の追加1点: 8万円(税別)
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株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp
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