学習院大学(東京都豊島区/学長:遠藤久夫)の理学部生命科学科柳 茂(やなぎ しげる)教授研究室がミトコンドリア研究成果を基に、ベンチャー企業 株式会社MitoGenic (東京都新宿区/代表取締役:⾕若慶⼈)を設立しました。老化に関連したさまざまな疾患の治療や創薬など、ミトコンドリアの研究成果の社会実装を目指し、今後も加速していく超高齢社会における健康寿命やQOLの向上に貢献します。
【設立の背景】
ミトコンドリアは私たちが生きていくために必要なエネルギーを産生する重要な細胞小器官です。ところが、加齢や何らかの原因でミトコンドリアの機能が劣化すると、有害な活性酸素種を撒き散らして老化や老化に関連したさまざまな病気を誘発することが知られています。現在、世界中でミトコンドリアを標的にした治療薬の開発が盛んに研究されています。
柳教授は日本を代表するミトコンドリア研究者の一人です。柳教授を中心とする研究チームはこれまでミトコンドリアの機能を正常に保つ酵素(MITOL)を発見し、MITOLが加齢によって減少することが、認知症や心臓疾患などの原因の一つであることを明らかにしました。今回、柳教授らはMITOLを活性化する化合物の同定に成功し、これらの化合物が老化に関連したさまざまな疾患の治療に有効であることを見出しました。
このミトコンドリアの研究成果を社会実装に繋げるために柳研究室がベンチャー企業「株式会社MitoGenic」を設立しました。
学習院大学では中長期計画「Gakushuin U.Grand Design 2039」において、「学習院大学ソーシャル・イノベーション・エコシステム推進事業」を実施しています。優れた研究力を基に、学内外の様々なステークホルダーと連携することで生み出された革新的な手法により、社会課題の解決を推進する事業です。学習院大学と産学連携協定を締結したTLO(技術移転機関)である株式会社キャンパスクリエイトとともに、学内の研究シーズを発掘しベンチャー企業設立を支援しました。
【今後の取り組み】
株式会社MitoGenicのミトコンドリア創薬の研究は始まったばかりです。これまでの独自の研究成果を基に開発した薬は他に類を見ないオリジナリティを有していますが、まだまだ実験データが不足しているのが実情です。また、創薬開発の資金も絶対的に不足しています。今後は、多くの研究者と共同研究を進めながら薬効データを蓄積すると共に、国の支援や製薬企業との共同開発、ベンチャーキャピタルの支援を要請したいと考えています。
学習院大学発のベンチャー企業は、世の中を大きく変える唯一無二のミトコンドリア創薬の誕生を夢見ながら、若い人たちが集い活気に満ちています。この若い力で、人生100年時代を迎えた国民の健康と長寿に貢献したいと熱望しています。
■ 学習院大学 理学部 教授 柳 茂 のコメント
研修医時代に初めて受け持った患者さんはパーキンソン病でした。硬直で動けない様子をただ茫然と眺めるだけで治すことはできませんでした。その後、基礎医学研究の道に進み、病態の解明を進める過程でミトコンドリアが多くの病気の影の主役であることがわかってきました。今回、ミトコンドリアを活性化する薬が偶然見つかました。この薬を疾患モデルマウスに投与すると劇的な改善効果が認められました。この薬は認知症やパーキンソン病の治療薬にもなると確信しています。基礎医学研究者として、自らの研究成果が病気の治療につながることはこの上ない幸せなことです。これからも夢の実現に向けて努力を続けていきます。
■ 株式会社MitoGenic 代表取締役 谷若 慶人 のコメント
柳研究室で同定された化合物であるマイトルビンはミトコンドリアを活性化するとともに様々な疾患への効能が示唆されています。しかし、医薬品にするためには莫大な時間と資金を必要とします。このような多くの困難を乗り越え、長年の研究成果を社会実装するため、研究成果及び資金調達を円滑に行えるよう、舵取りを素早く確実に行なってまいります。
また、食品に含まれていることが分かりましたので、こちらを利用してサプリメント開発も行ってまいります。
※マイトルビン:ミトコンドリアを活性化する植物由来の化合物
■学習院大学について
学習院大学は、法学部・経済学部・文学部・理学部・国際社会科学部を持つ総合大学として産学連携に関する基本方針を策定し、大学の研究活動の成果が社会及び産業界の課題解決、ひいては社会全体の利益と発展に貢献することを目指しています。この目標を達成するために、産官学連携を含む研究活動を積極的に推進し、人類の福祉と創造的進歩に貢献することや、産業界、国と地方公共団体、及び地域社会との連携活動を推進、知的財産の活用等に取り組んでいます。
大学名: 学校法人学習院 学習院大学
住 所: 東京都豊島区目白1-5-1
学 長: 遠藤 久夫
設 立: 1947年4月
U R L : リンク
■株式会社MitoGenicについて
ミトコンドリアの機能低下は、認知症、パーキンソン病、アルツハイマー、フレイル・サルコペニアやがんに至るまで多くの疾患との関連が報告されています。また、ミトコンドリア自体を増やしたり、高品質型(超呼吸鎖複合体形成)に誘導する薬剤は見つかっていません。私たちはこれまでにミトコンドリアの機能を正常に保つ酵素であるMITOLを発見し、MITOLが加齢によって減少することが老化や老化に関連した疾患の原因であることを明らかにしました。その過程でミトコンドリア自体を増やし活性化させる化合物を複数同定し、マイトルビンと名付けました。マイトルビンはミトコンドリア機能低下に関連したさまざまな疾患の予防と治療に効果的であることがわかりました。マイトルビンを応用して、ミトコンドリア病をはじめとしたミトコンドリアに関連した疾患に向けた医薬品開発を目指します。また、人々のQOLを向上させるサプリメントの開発も行っていきます。これらの活動を通して、今後も加速していく超高齢社会における健康寿命やQOLの向上に貢献したいと考えています。
※マイトルビン:ミトコンドリアを活性化する漢方由来のアルカロイドの総称
会社名: 株式会社MitoGenic
住 所: 東京都新宿区高田馬場三丁⽬1番5号 サンパティオ高田馬場309号
代 表: 谷若 慶⼈
取締役: 柳 茂
設 立: 2023年4月
U R L : リンク
■ 本件に関する報道・メディア関係のお問合せ
学習院大学
大学学長室広報センター 川崎
Mail : koho-off@gakushuin.ac.jp
Tel : 03-5992-1008
株式会社MitoGenic
代表取締役: 谷若 慶⼈
Mail: k11tani@mitogenic.co.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター リンク
御社のプレスリリース・イベント情報を登録するには、ZDNet Japan企業情報センターサービスへのお申し込みをいただく必要がございます。詳しくは以下のページをご覧ください。