小型月着陸実証機「SLIM」が世界初となる月面への高精度着陸を達成

三菱電機の航法誘導制御技術が精度100メートル以内の着陸実現に貢献



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 SLIM着陸時イメージ (C)️JAXA
 三菱電機株式会社(以下 三菱電機)は、宇宙航空研究開発機構(以下 JAXA)から受注し、全体のシステム開発を担当した小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon、以下 SLIM)が、世界初となる高精度月着陸を達成したことをお知らせします。
 SLIMは、1月20日午前0時20分(日本時間)に月面着陸を果たしました。着陸後のデータを分析した結果、SLIMプロジェクトの目的として設定されていた誤差100メートル以内の精度での月面着陸を達成したことが確認されました。JAXAによると、SLIMの着陸地点は、当初の着陸目標地点から東側に55メートル程度の位置と推定されています。この結果は、数~十数キロメートルの誤差が生じていた従来の着陸精度を大きく上回るもので、世界初の成果です。
 高精度着陸技術は、「降りたいところに降りる」を実現する技術で、今後の月惑星探査において必要とされる重要な技術です。

■SLIMの高精度着陸における三菱電機の貢献
 三菱電機は2015年度にSLIMのシステム開発をJAXAから受注し、主に鎌倉製作所(神奈川県鎌倉市)でSLIM全体の設計・製造・試験を担当してきました。高精度着陸のために不可欠である「航法誘導制御系」も、JAXAの協力のもと、三菱電機が開発を担当しています。
 「航法誘導制御系」は、カメラ、レーダーなどのセンサー類、計算機およびその搭載ソフトウエアによって構成されており、これらを組み合わせることで、SLIMは自律的に位置・姿勢を推定し、飛行軌道や姿勢を修正します。また、「航法誘導制御系」にはJAXAの開発した画像航法技術(画像航法アルゴリズム、画像航法カメラ)が実装されており、SLIMは飛行中に撮影した月面写真をもとにして自己位置を推定することができます。
 三菱電機は「航法誘導制御系」の要となる統合化計算機及び搭載ソフトウエアを開発した他、着陸レーダーなどのセンサー類の開発・調達を担い、JAXAが開発した画像航法技術と組み合わせて「航法誘導制御系」を完成させました。
 着陸後のJAXAの評価によると、障害物回避マヌーバを実施する高度50メートル付近では、着陸目標地点の10メートル以内に到達していたと推定され、今回のSLIMの高精度着陸達成により、航法誘導制御系は非常に高い性能を発揮したことが確認できました。
 今後、三菱電機はJAXAとともに、今回の着陸を含めた運用全体の技術評価に取り組んでいきます。

■三菱電機の宇宙事業について
 三菱電機は、JAXAが推進する国内衛星開発プロジェクトの半数近くに主契約者として参画し、日本の宇宙開発におけるリーディングカンパニーの地位を築いてきました。1970年代末からは航法誘導制御技術の研究開発を実施し、SFU(※1)、ETS-VII(※2)、HTV(※3)といったプロジェクトを通じて蓄積した航法誘導制御技術がSLIMにつながっています。
 今後も三菱電機は保有する先端技術の更なる強化を図り、国際協力で推進されているアルテミス計画等への参画を通じて、持続的な宇宙探査活動の確立や人類の活動領域の拡大等に貢献していきます。

※1 SFU:Space Flyer Unit(宇宙実験・観測フリーフライヤ)
※2 ETS-VII:Engineering Test Satellite-VII(技術試験衛星VII型「きく7号」)
※3 HTV:H-II Transfer Vehicle(宇宙ステーション補給機「こうのとり」)


<お客様からのお問い合わせ先>
三菱電機株式会社 防衛・宇宙システム事業本部 宇宙システム事業部
〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
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