2023年 中堅・中小市場のレイトマジョリティに向けたRPA導入提案における留意点

ノークリサーチは中堅・中小市場におけるレイトマジョリティに向けたRPA導入提案における留意点を分析し、その結果を発表した。

<RPAはあくまで自動化を実現するための手段の一つ、特定ツールに固執しないスタンスを取るべき>
■RPAツールとマクロ利用は区別できているが、用語が拡大解釈されないための啓蒙も大切
■導入後に顕在化しやすい課題は「自動化できる業務が限定される」よりも「手作業の残存」
■着実な自動化提案を進めるためには「ノーコード/ローコード開発ツールとの併用」も有効

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年12月18日

2023年 中堅・中小市場のレイトマジョリティに向けたRPA導入提案における留意点

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小市場におけるレイトマジョリティに向けたRPA導入提案における留意点を分析し、その結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<RPAはあくまで自動化を実現するための手段の一つ、特定ツールに固執しないスタンスを取るべき>
■RPAツールとマクロ利用は区別できているが、用語が拡大解釈されないための啓蒙も大切
■導入後に顕在化しやすい課題は「自動化できる業務が限定される」よりも「手作業の残存」
■着実な自動化提案を進めるためには「ノーコード/ローコード開発ツールとの併用」も有効


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については本リリース4ページを参照


■RPAツールとマクロ利用は区別できているが、用語が拡大解釈されないための啓蒙も大切
RPAが注目を集めるようになってから既に数年が経過した現在、IT企業にとっては中堅・中小市場におけるレイトマジョリティ(後期追随者)を対象としたRPA導入提案が今後の注力ポイントとなってくる。その際には、「そもそも中堅・中小企業は単なるマクロ利用とRPAツールの区別が付いているのか?」など、RPAに関する認知状況を改めて確認しておく必要がある。
本リリースの元となる最新の調査レポート「2023年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」では、RPAツールおよびノーコード/ローコード開発ツール(以降のグラフ内ではNLDツールと略記)の活用実態について様々な角度から集計/分析を行っている。 以下のグラフは、その中から「RPAツールの活用に該当するのはどのようなケースか?」を尋ねた結果を中堅・中小企業全体で集計した結果である。
「PCの操作内容を記録して、それを再現する形で自動化する」および「PCの操作手順を定義して、それに沿って自動的に実行する」といった回答が3割超に達する一方、「 Excelのマクロ記録機能を用いて処理を自動化する」は1割未満に留まっている。
したがって、中堅・中小企業はRPAツールと単なるマクロ利用を概ね区別できている状況と捉えることができる。一方、「既存の業務システムをカスタマイズして処理を自動化する」や「ヒトによる手作業を代替するシステムを新規に開発する」といったようにシステム自体を改変して自動化を実現するケースをRPAツール活用と捉える割合も15~20%程度存在する点に注意が必要だ。RPAという用語が拡大解釈されることによって、レイトマジョリティのユーザ企業が過剰なシステム開発費用を投じることがないように、IT企業側が適切な啓蒙を進めることも重要と考えられる。次頁ではRPA導入における課題について述べる。

■導入後に顕在化しやすい課題は「自動化できる業務が限定される」よりも「手作業の残存」
レイトマジョリティのユーザ企業が新しいIT活用に踏み出す場合には「導入したが、期待した効果が得られずに廃止してしまう」という状況も発生しやすくなる。IT企業側としては「RPAツールの廃止につながる課題は何か?」を把握しておくことが大切だ。
そこで、本リリースの元となる調査レポートでは下記の左側に列挙したような様々な課題項目を尋ねるだけでなく、下記の右側に記載した導入状況別に集計/分析している。導入状況の選択肢は「導入済み&拡大」 「導入済み&維持」 「導入済み&縮小」「導入あり&廃棄」などのように細分化し、同じ「導入済み」であっても状況の違いが把握できるようにしている。

F3.RPA/NLDツール活用における課題(複数回答可)
<<RPAツールに固有の項目>>
・自動化できる業務内容がごく一部に限られる
・自動化できる業務内容がどれか判断できない
・ヒトによる手作業が残るため、導入効果が低い
・自動処理中にヒトの判断を挟むことができない
<<NLDツールに固有の項目>>
・ツール固有のノウハウやスキルが必要になる
・コーディングが必要となる場面が意外と多い
・実現できる画面仕様や処理内容が限られる
・業務上の仕様やルールが曖昧になりやすい
<<共通:ツール自体に関連する課題>>
・従来通りに業務システムを構築した方が確実
・他システムとの連携が困難または煩雑である
・既存の開発ツールや運用/保守と合致しない
・処理性能やセキュリティ対策を強化できない
・ツール自体が将来的になくなる恐れがある
<<共通:ツールの導入/運用に関連する課題>>
・ツール活用にはIT企業の支援が不可欠である
・ツールの機能が豊富であるため使いこなせない
・ツールの機能が不足していて要件を満たせない
・部門単位での勝手なツール活用が乱立する
・一度ツールを導入すると、やめることが難しい
<<共通:費用やシステム形態に関連する課題>>
・有償コンサルティングを受けないと導入できない
・運用形態(クラウド/オンプレミス)が限定される
・RPAツールとNLDツールの使い分けが難しい
・ツールのライセンス費用が高価である
・ツールの導入/運用に手間がかかる
<<共通:その他>>
・その他:

F2-1.RPAツールの活用状況
導入済み&拡大:
既に導入済みであり、今後は活用範囲を更に拡大
する場合
導入済み&維持:
既に導入済みであり、今後も現在の活用範囲を維持
する場合
導入済み&縮小:
既に導入済みであり、今後は現在の活用範囲を縮小
する場合
導入あり&廃止:
過去に導入していたが、現在は活用していない場合
導入予定:
現在は導入していないが、今後導入する予定の場合
導入無&予定無:
現在は導入しておらず、導入する予定もない場合
判断不可:
現在は導入しておらず、今後は判断できない場合
以下のグラフは赤字で記載したRPAツールに固有の課題項目を「導入済み」(※1、※2、※3をまとめたもの)、「導入予定」、「導入あり&廃止」の導入状況別に集計したものだ。(調査レポートでは※1~※3の違いも分析し、RPA活用を拡大するために何をすべきか?についても提言している) 「自動化できる業務内容がどれか判断できない」の回答割合は「RPA導入あり&廃止」で4割超に達している。つまり、自動化の対象となる業務が明確でない状態を放置すると、一度は導入されたRPAツールが廃止となってしまう恐れがある。ここでは詳細を割愛するが、本リリースの元となる調査レポートではユーザ企業が考えるRPAツール活用の取り組みや方針を尋ねた結果を集計/分析し、この課題に対する施策を提言している。一方、「自動化できる業務内容がごく一部に限られる」(※4)と「ヒトによる手作業が残るため、導入効果が低い」(※5)を比較すると、※4は「RPA導入予定」の方が「RPA導入済み」より値が高く、※5は逆の状況となっている。これは「導入前は自動化できる業務が限定されるのでは?という懸念が多いが、実際に導入してみるとヒトによる手作業が残ることの方が課題として顕在化しやすい」という状況が少なくないことを示唆している。次頁では この課題の対処について述べる。

■着実な自動化提案を進めるためには「ノーコード/ローコード開発ツールとの併用」も有効
前頁で述べた「ヒトによる手作業が残るため、導入効果が低い」という課題はRPAツールの導入提案を工夫するだけでは対処が難しい。なぜなら、残存する手作業を自動化するためには業務フロー自体の改善が必要となるケースが少なくないためだ。
業務フロー自体が変更されれば、業務システムも改変/刷新が必要となり、既存の業務システムの補完/連携によって自動化を実現するRPAツールでは対処しづらくなる。こうしたケースに備えて、IT企業側が持っておくべき対処方法の一つがRPAツールとノーコード/ローコード開発ツールの併用だ。 本リリースの元となる調査レポートでは、以下の選択肢によってRPAツールとノーコード/ローコード開発ツール(以下では「NLDツール」と略記)の双方の詳細な導入状況を集計/分析している。
以下のグラフはノーコード/ローコード開発ツールの導入状況を軸として、RPAツールの導入状況を集計した結果である。
「NLD導入済み&拡大」と回答したユーザ企業では「 RPA導入済み&拡大」の値も高く、同様に「NLD導入済み&維持」である場合は「RPA導入済み&維持」も高い。 つまり、ノーコード/ローコード開発ツールを活用しているユーザ企業ではRPAツールの活用にも前向きであることが確認できる。「自動化 = RPA」と考えてしまいがちだが、RPAツールはあくまで自動化を実現する手段の一つに過ぎない。本リリース冒頭のグラフが示すように、ユーザ企業にも「既存の業務システムをカスタマイズして処理を自動化する」や「ヒトによる手作業を代替するシステムを新規に開発する」といった手段をRPAの一環と捉えるケースも一定割合存在する。したがって、IT企業としても無理にRPAツールで全てをカバーしようとせずに、業務フロー変更に伴う業務システムの改変/刷新が必要な場合にはノーコード/ローコード開発ツールの適用を提案するのが得策と言える。このように、レイトマジョリティに向けて着実に自動化の提案を進めるためには、特定のツールに固執しないことが重要なポイントとなってくる。
ここではRPAツールの課題に関する分析結果の一部を抜粋したが、調査レポートではRPAツールの社数シェアなどについても詳細な集計/分析を行っている。(対象となった具体的な製品/サービスの一覧は本リリースの5ページを参照)

本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート』
今後はレイトマジョリティへの訴求が焦点。課題/ニーズの変化を捉え、市場拡大を阻む障壁を打開するためには何をすべきか?
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社、調査実施期間:2023年7月~8月)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
RPA(Robotic Process Automation)ツールとは、ヒトによる手作業を自動化するアプリケーションを指す。
ノーコード/ローコード開発ツールとは、プログラミングが全く不要(ノーコード)、もしくは簡易なプログラミング(ローコード)によって業務システムを作成できる開発環境を指す。(それぞれの具体例については次頁を参照)
以下では「ノーコード/ローコード開発(No-Code Low-Code Development)」をNLDと略記し、ノーコード/ローコード開発ツールを「NLDツール」と記載。また、RPAツールとNLDツールを合わせて「RPA/NLDツール」と記載。
第1章: RPA/NLDツールの認知と導入状況
ユーザ企業はどのような場面をRPA/NLD活用に該当すると考えているのか?(RPA/NLDツールと従来ツールとの混同はないか?)を確認した上で、RPA/NLDツールの導入状況を「導入済みで今後も拡大する」や「導入したが廃止した」などの詳細なパターンに分けて集計/分析。
第2章: RPA/NLDツール活用における課題
RPA/NLDツールを活用する際にユーザ企業が直面する課題をRPAツールに固有の項目、NLDツールに固有の項目、両者に共通する項目に整理し、計23項目に渡って集計/分析。
第3章: RPA/NLDツール活用における取り組みや方針
RPA/NLDツールを活用する際にユーザ企業が取り組んでいる事柄や実践している方針について、RPAツールに固有の項目、NLDツールに固有の項目、両者に共通する項目に整理し、計24項目に渡って集計/分析。
第4章: RPA/NLDツールを適用する場面や用途
RPAツールとNLDツールのそれぞれについて、ユーザ企業が各ツールを適用する場面や用途を具体的に列挙し、今後はどのような場面や用途が増えるか?などを集計/分析。(RPAツールに関する用途/場面の選択肢は計14項目、NLDツールに関する用途/場面の選択肢は計10項目)
第5章: RPAツールの社数シェア
計36項目に渡る具体的な製品/サービスを列挙し、RPAツールの導入済み/導入予定の社数シェアを集計/分析。
第6章: NLDツールの社数シェア
計40項目に渡る具体的な製品/サービスを列挙し、NLDツールの導入済み/導入予定の社数シェアを集計/分析。
第7章: RPA/NLDツールの導入費用と導入元RPA/NLDツールの導入費用(ハードウェアやOSは除外)および導入元(プライムの販社/SIerか、それ以外の販社/SIerか、ベンダからの直販か?)について尋ねた結果を集計/分析。
【発刊日】 2024年1月中旬予定
【価格】 180,000円(税別) RPAツールとNLDツールのどちらか一方のみの販売は行っておりません


補記:社数シェア集計/分析の対象となっているRPAツールの一覧

本リリースの元となる調査レポートでは具体的なRPAツールの導入済み/導入予定の社数シェアを集計/分析している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況などを踏まえた上で選定される。自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するという方針で年毎に調整を行っている。
<<国内ベンダ>>
・WinActor  NTTアドバンステクノロジ
・BizRobo!  RPAテクノロジーズ
・Auto名人シリーズ  ユーザックシステム
・SynchRoid  ソフトバンク、RPAホールディングス
・OCEVISTAS  大崎コンピュータエンヂニアリング、RPAテクノロジーズ
・パトロールロボコン/ロボシュタイン  コムスクエア
・ipaSロボ  デリバリーコンサルティング
・NEC Software Robot Solution(BizRobo!は除く)  NEC
・GENEST/EntreQue/Axelute  富士通
・NaU DSP  なうデータ研究所
・Robo-Pat  FCEプロセス&テクノロジー
・Owlgarden RPA  エクス
・batton  batton
・AUTORO(Robotic Crowd)  オートロ(チュートリアル)
・BizteX cobit  BizteX
・アシロボ  ディヴォートソリューション/ドヴァ
・RoboTANGO  スターティアレイズ
・JobAuto  シジャム・ビーティービー
・Ez Robot  RPAソリューションズ
・クラウドBOT  C-RISE
・EzAvater  テリロジーサービスウェア
・コボットPlatform  ディップ
・ziggxa flow  ジグザ
・マクロマン  コク―
・ロボオペレータ  グローシップ・パートナーズ
<<外資系ベンダ>>
・UiPath  UiPath
・Blue Prism SS&C  Blue Prism
・NICE APAシリーズ  NICE
・Power Automate Desktop  日本マイクロソフト
・Automation 360(Anywhere Enterprise)  オートメーション・エニウェア
・Pega Robotic Automation  Pegasystems
・WorkFusion(RPA Expressを含む)  WorkFusion
・Kofax RPA  Kofax Japan
・Verint RPA  ベリントシステムズジャパン
・AutoMate  Fortra(HelpSystems)
・OpenRPA  OpenIAP
<<その他>>
・その他:
・Webサービス連携ツールの一機能として利用
・ERP/基幹系システムの一機能として利用
・コラボレーションの一機能として利用
・ワークフロー・ビジネスプロセス管理の一機能として利用
・ペーパレス化のソリューションの一部として利用
・テレワークのソリューションの一部として利用
・独自開発システム


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