米国のFAST利用者が増えている理由

米国のストリーミングで多数のリニアチャンネルを配信するFAST(Free Ad-supported Steaming TV)の利用が増えている。トップ3のRoku Channel、Pluto TV、それにTubiの利用者はそれぞれ6000万人を超えており、Netflixの7700万人に近づいている。これら3サービスのコネクテッドTVでのストリーミング視聴時間は8.5%を占めている。24%を占めるYouTube、21%のNetflixと比べると低いものの、Amazon Prime VideoやHuluと同等である。

FASTがポピュラーになっている理由の1つは無料であることだ。
有料のSVODのようにオリジナル、あるいは最新のコンテンツは無いが、料金を払うことなくTV番組、映画を視聴できる。新しいSVODサービスの登場で利用するビデオサービスの数は増え続けてきた。TiVoの調査では多チャンネルサービスを含めた平均ビデオサービスの利用数は2022年Q2の9.9からQ4には11.9に増えた。しかし、加入するSVODが増えることは出費が増えることでもある。SVODの数を減らし、FASTを使う人が増えているのだ。使っているビデオサービスの数は2023年では10.9に減り、無料サービスの数は2022年Q2の3.1から2023年のQ2では4.0に増えている。

もう1つの理由はFASTにはSVODサービスでは見ることが出来ないニュースがあることだ。CBS、NBC等の全国ニュースだけでなく、ローカル局も地域ニュースのチャンネルをFAST向けに提供し始めている。ローカルニュースが豊富なFASTサービス、Allen Media GroupのLocal Nowは米国の放送地域210中(CBS、NBCの所有局を含む)、207地域でローカルニュースのチャンネルを提供している。

FASTチャンネルの配信サービスを提供しているAmagi社の調査によると、ニュースはFASTでもっとも視聴されているジャンルで、米国のFASTサービスの視聴時間の46%を占めている。ドラマの視聴はオンデマンドに移行しても、ニュースのためにテレビ放送を見る必要があったが、FASTは完全にストリーミングに移行することを可能にした。

FASTがポピュラーな3つ目の理由はUIがTV番組と類似しており、見たい番組を検索するのではなく、チャンネルを切り替えることでコンテンツを探せることだ。SVODサービスには膨大な数のコンテンツがあるが、見たいものを探すのは容易ではない。見たいコンテツが決まっていない場合、選択肢を延々とスクロールし続けることになる。FASTでは多チャンネルサービスと同様に番組表から探すことが出来る。

音楽チャンネルのVEVOとPublics Mediaの調査では「このサービスを使うときは見たいものが見つかるまで、ブラウズ、あるいはスクロールを続けるか」の問に対して、Yesが最も多かったサービスはFASTで59%であった。対して、広告付きSVODは43%、広告無しSVODは36%であった。見たいコンテンツが決まっている時はSVODで検索し、決まっていない時はFASTを使う人が多い。無料であり、ローカルな情報も得られ、リーンバックで利用出来ることがFASTの魅力である。


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