2023年 中堅・中小企業は従来型の人事給与システムとHRTechのどちらを選ぶのか?

ノークリサーチは中堅・中小市場における給与・人事・勤怠・就業管理システムの動向に関する調査を行い、その結果を発表した。

<給与・人事・勤怠・就業管理は広範な分野であり、連携や協業による市場再編の可能性も十分ある>
■従来型がシェア上位を占めるが、FinTechを起源とするサービスやHRTechも存在感を増す
■今後は「様々な機能を備えたSaaS」のニーズが高まるが、事業者間の連携が不可欠となる
■個人所有端末の利用(BYOD)が増加する兆候、その背景や要因を把握しておくことが大切

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年10月23日

2023年 中堅・中小企業は従来型の人事給与システムとHRTechのどちらを選ぶのか?

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小市場における給与・人事・勤怠・就業管理システムの動向に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内の給与・人事・勤怠・就業管理に関するサンプル/ダイジェストである。


<給与・人事・勤怠・就業管理は広範な分野であり、連携や協業による市場再編の可能性も十分ある>
■従来型がシェア上位を占めるが、FinTechを起源とするサービスやHRTechも存在感を増す
■今後は「様々な機能を備えたSaaS」のニーズが高まるが、事業者間の連携が不可欠となる
■個人所有端末の利用(BYOD)が増加する兆候、その背景や要因を把握しておくことが大切


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数) 対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責 ※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■従来型がシェア上位を占めるが、FinTechを起源とするサービスやHRTechも存在感を増す
本リリースの元となる調査レポート「2023年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」では、10分野に渡る業務アプリケーション製品/サービスの社数シェアやユーザ評価を集計/分析している。以下のグラフはその中から給与・人事・勤怠・就業管理の導入済み社数シェアを中堅・中小企業全体(年商500億円未満、複数回答可)で集計したものだ。
社数シェアの上位5位は「GLOVIA」「SMILE」「奉行」「OBIC7」「弥生」といった会計や販売などでも導入実績の多いベンダによる従来型の人事給与システムが占めている。それに続く形で、7位にマネーフォワード、9位にはfreeeといった会計クラウド(FinTech)を起源とする事業者のサービスが見られる。さらに、「楽楽勤怠」(12位)や「SmartHR」(16位)といったHRTechに該当するサービスも大企業だけでなく、中堅・中小企業においても存在感を増しつつある。 ベンダや販社/SIerとしては今後も従来型の人事給与システムが社数シェア上位を堅持するのか、それともX-Tech系のクラウドサービスが更に拡大していくのか、あるいは両者が共存するのか?といった動向を掴んでおくことが大切だ。本リリースの元となる調査レポートでは導入予定の社数シェアや運用形態(オンプレミス or クラウド)の変化などを踏まえながら、給与・人事・勤怠・就業管理のシェア動向を分析している。次頁では、その中から機能ニーズとの関連から垣間見える今後のシェア変動の兆候について述べる。


■今後は「様々な機能を備えたSaaS」のニーズが高まるが、事業者間の連携が不可欠となる
本リリースの元となる調査レポートでは「給与・人事・勤怠・就業管理」製品/サービスに今後必要と考える機能や特徴は何か?を以下のような選択肢を列挙して集計/分析している。 「給与・人事・勤怠・就業管理」製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴」の選択肢
<<製品/サービスの構成や形態に関連する項目>>
・1つの製品/サービスに必要な機能が網羅されている(※1)
・複数の製品/サービスを組み合わせることができる
・プログラミングをせずに個別要件に対応できる
・SaaSのみで全ての要件を満たすことができる(※2)
・パッケージをIaaS/ホスティングで利用できる
・パッケージとSaaSを選択/併用できる
・業態別に製品/サービスを選択できる(※3)
・豊富なテンプレートが用意されている(※4)
<<給与に関連する項目>>
・昇給の実施可否をシミュレーションで判断できる
・複数社員の意見を反映した給与査定が行える
・能力や実績に応じた給与体系を実現できる
・給与明細の発行/配布サービスと連携できる
・給与デジタル払いへの対応を表明している
<<人材の育成や管理に関連する項目>>
・データ分析を元に従業員の配置を最適化できる
・データ分析を元に成果の高い従業員を判別できる
・業務内容に基づくジョブ型の採用/評価を行える
・人材の育成/管理を支援する機能が備わっている
・人材の募集/採用を支援する機能が備わっている
・従業員の生涯設計を踏まえた人材管理を行える
・従業員のメンタルヘルスを把握/向上できる
<<法制度対応に関連する項目>>
・中小企業の残業割増率変更を受けた対策を講じられる
・改正育児介護休業法で求められる諸要件に対応できる
・電子申告/申請(e-Tax/eLTAX/e-Gov)と連携できる
<<その他>>
・その他:
・欲しいと考える機能や特徴は全くない(排他)
調査レポートでは上記に列挙した様々なニーズに関する分析を行っている。以下のグラフはその中から、※1~※4の回答割合を「導入済み」と「導入予定(新規予定)」のユーザ企業で比較したものだ。
「導入済み」の値は※1~※4のいずれも1割前後で顕著な差異は見られない。だが、「導入予定(新規予定)」との差を見ると、「1つの製品/サービスに必要な機能が網羅されている」(※1)と「SaaSのみで全ての要件を満たすことができる」(※2)は大きく増加している。したがって、今後は様々な機能を備えたSaaS(=網羅型のHRTechサービス)のニーズが高まる可能性がある。
とは言え、給与・人事・勤怠・就業管理は非常に広範な業務アプリケーション分野であるため、単独のサービス事業者が全ての機能を網羅することは容易ではない。現実的には複数のSaaSを連携させて、ユーザ企業から見た場合に単体のSaaSに見える形を目指すことになると推測される。そのため、FinTechサービスの開発元としてはAPIなどによる連携の仕組みを充実させると共に、パッケージ開発ベンダにおいてもSaaS化を見据えた基盤整備を進めておくことが重要となってくる。


■個人所有端末の利用(BYOD)が増加する兆候、その背景や要因を把握しておくことが大切
HRTechサービスのニーズが拡大すれば、給与・人事・勤怠・就業管理を利用する際の端末環境にも変化が生じる可能性がある。そこで、本リリースの元となる調査レポートでは以下のような選択肢を列挙して、中堅・中小企業が給与・人事・勤怠・就業管理の製品/サービスを利用する際の端末環境についても分析している。
端末環境に関する選択肢(複数選択可)
・デスクトップPC
・ノートPC(社内利用&企業所有)
・ノートPC(社内利用&個人所有)(*)
・ノートPC(社外利用&企業所有)
・ノートPC(社外利用&個人所有)(*)
・タブレット/スマートフォン(社内利用&企業所有)
・タブレット/スマートフォン(社内利用&個人所有)(*)
・タブレット/スマートフォン(社外利用&企業所有)
・タブレット/スマートフォン(社外利用&個人所有)(*)
・第三者利用
社内利用:端末をオフィス内で利用
社外利用:端末を社外に持ち出して利用
企業所有:自社で端末を購入して社員が業務に利用
個人所有:社員が個人として所有する端末を業務に利用
第三者利用:取引先や一般消費者が自ら所有する端末を用いて社外からアクセス
以下のグラフは「給与・人事・勤怠・就業管理」製品/サービスにおける端末環境を尋ねた結果を「導入済み」の場合と「導入予定(新規予定)」の場合で比較した結果である。 端末環境の選択肢一覧で(*)を付けた4つの項目(個人所有の端末を利用している場合)に着目すると、4項目のうちの3項目は「導入済み」と比べて「導入予定(新規予定)」における値が高くなっていることがグラフから確認できる。
中堅・中小企業は大企業と比べて従業員数が少ないため、BYODによって端末購入費用を削減できる効果と比べて、BYODを管理/運用するシステム投資負担の方が大きくなりやすい。その結果、一般的に中堅・中小企業ではBYODが導入しづらい状況となっている。だが、給与・人事・勤怠・就業管理においては若干ではあるものの、今後BYODが増える可能性があることを上記の結果は示している。
この変化がHRTechサービスの普及に起因するものなのか?運用形態(オンプレミス/クラウド)とはどのような関係にあるか?によってベンダや販社/SIerが取り組むべき事柄も大きく変わってくる。調査レポートでは運用形態と端末環境の関連性を分析した結果を元に、この点に関する提言を述べている。


補記:社数シェア集計/分析の対象となっている「給与・人事・勤怠・就業管理」製品/サービスの一覧
本調査において選択肢に記載した「給与・人事・勤怠・就業管理」製品/サービスの一覧は以下の通りである。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況などを踏まえで選定される。自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛する方針で年毎に調整を行っている。
製品/サービス毎の評価や導入費用の集計/分析はサンプル件数が一定以上の条件(件数が少ない場合には参考値扱いとなるケースもある)を満たした(※)のみが対象となる。
GLOVIA iZ 人事給与/smart 人事給与/きらら 人事給与: 富士通 (※)
OBIC7給与情報システム/人事情報システム/就業情報システム: オービック (※)
SMILEシリーズ(V/BS/Air): OSK(大塚商会) (※)
EXPLANNER/Z: NEC (※)
給与奉行/人事奉行/就業奉行(クラウドを含む): OBC (※)
給与大将・人事大将(MJSLINK/Galileopt)/ACELINKシリーズ: ミロク情報サービス (※)
かんたん!シリーズ/かんたんクラウド: ミロク情報サービス (※)
PCA 給与・人事管理(hyperを含む)(クラウド/サブスクを含む): ピー・シー・エー (※)
給与大臣/人事大臣/就業大臣: 応研 (※)
弥生給与: 弥生 (※)
PXシリーズ: TKC (※)
JDL IBEXシリーズ: JDL (※)
クロノスPerformance: クロノス
勤次郎シリーズ: 勤次郎 (※)
TimeProシリーズ: アマノ (※)
KING OF TIME: ヒューマンテクノロジーズ (※)
ビズインテグラルePro_St@ff人事給与: NTTデータ・ビズインテグラル (※)
リシテア: 日立ソリューションズ (※)
SuperStream-NX: スーパーストリーム
POSITIVE / STAFFBRAIN: 電通国際情報サービス
Generalist: 東芝デジタルソリューションズ
ADPS: カシオヒューマンシステムズ
Time Works: WorkVision
COMPANY: Works Human Intelligence
PRO_STAFF-α,ePro_St@ff: アイテックス
ZeeM 人事給与: クレオ
Socia人事/給与/就業・申請システム: エフエム
GrowOne 人事SX/給与SX: ニッセイコム
給与上手くん: 日本ICS
給料王: ソリマチ
皆伝!勤務管理: スミセイ情報システム
HUMAN人事/Money給与: ラキール(レジェンド・アプリケーションズ)
freee人事労務: freee (※)
マネーフォワードクラウド給与/勤怠: マネーフォワード (※)
SmartHR: SmartHR (※)
フリーウェイ給与計算: フリーウェイジャパン
SmileWorks(給与ワークス): スマイルワークス
ジョブカンシリーズ: Donuts (※)
jinjerシリーズ: jinjer
勤革時: NECソリューションイノベータ
楽楽勤怠(楽楽人事、楽楽労務): ラクス (※)
HRMOS(ハーモス): ビズリーチ
HRBrain: HRBrain
あしたのクラウド: あしたのチーム
Tokiwagi(Lacrasio): ラクラス
その他の製品/サービス:
ERP/基幹系システムの一機能として利用
独自開発システム


本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』

10分野に渡る業務アプリケーションの導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題、ニーズを全て網羅した中堅・中小市場のIT活用提案における必携書

【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【全体の構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に以下に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)を尋ねた結果を集計/分析している。
また、業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。
P1. ERP
P2. 生産管理
P3. 会計管理
P4. 販売・仕入・在庫管理
P5. 給与・人事・勤怠・就業管理
P6. ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7. コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)
P8. CRM
P9. BI
P10. 文書管理・オンラインストレージサービス
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
各分野について10~20ページからなる分析サマリが計10ファイル、「業務アプリケーションの導入/更新に関する方針」をまとめた分析サマリが1ファイル、さらに全分野を横断する形で法制度対応およびデータ分析/生成AIに着目した分析サマリが2ファイルの計13ファイルのPDFドキュメントが収録されている。P1~P10の10分野の分析サマリは以下の章構成となっている。(章構成は共通だが、分析/提言の内容は各分野の傾向や特性に応じて大きく異なる)
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」、「製品/サービスの導入社数シェア」、最も主要な製品/サービスの「導入年」、「導入元」、「評価概況」といったデータの中から、分野毎に重要なポイントを分析している。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」に着目し、クラウド移行の状況や端末環境の多様化などについて分野毎の傾向を分析している。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2023年10月20日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高

〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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