2023年 RPA連携などに依存しない、CRMが目指すべき進化の方向性

ノークリサーチは中堅・中小市場においてCRMが目指すべき進化の方向性に関する調査を実施し、その結果を発表した。

<CRMには「新規導入の牽引」や「データ分析を伴うDXソリューションの基盤」としての役割が期待できる>
■セールスフォース・ジャパンが首位を堅持する中、独自開発からのシェア奪取が焦点に
■個人所有端末によるCRMの利用は販売チャネルによる保守/サポートが下支えしている
■会計/販売データやスケジューラの連携はRPAではなく、CRM自身による対応が望ましい

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年10月19日

2023年 RPA連携などに依存しない、CRMが目指すべき進化の方向性

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小市場においてCRMが目指すべき進化の方向性に関する調査を実施し、その結果を発表した。 本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内のCRMに関連するサンプル/ダイジェストである。

<CRMには「新規導入の牽引」や「データ分析を伴うDXソリューションの基盤」としての役割が期待できる>
■セールスフォース・ジャパンが首位を堅持する中、独自開発からのシェア奪取が焦点に
■個人所有端末によるCRMの利用は販売チャネルによる保守/サポートが下支えしている
■会計/販売データやスケジューラの連携はRPAではなく、CRM自身による対応が望ましい

対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク

■セールスフォース・ジャパンが首位を堅持する中、独自開発からのシェア奪取が焦点に
CRMは会計や販売などと比べると新しい業務アプリケーション分野であり、中堅・中小企業においても今後の新規導入が期待できる。また商品や顧客などを対象としたデータ分析のニーズも見込めるため、DXソリューションの基盤としての役割も担える可能性がある。そのため、中堅・中小企業において最も主要なCRM製品/サービスは何か?を把握しておくことが大切だ。 以下のグラフは調査レポート「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の中から、最も主要な導入済み/新規予定(導入予定)のCRM製品/サービスの社数シェアを集計した結果を抜粋したものだ。
導入済み社数シェアにおける上位4つの製品/サービス( 「Salesforce Sales/Service/Marketing Cloud」「Microsoft Dynamics 365」「SMILEシリーズ」 「eセールスマネージャー」)のシェア増減見込み(「新規予定」から「導入済み」を引いたポイント増減)は微増と減少が混在しており、特定の製品/サービスが大幅なシェア拡大を示す兆候は見られない。当面は「Salesforce Sales/Service/Marketing Cloud」が首位を堅持する状態が続くと予想されるが、中長期的には2位以降との差が縮まる可能性もある。さらに、「独自開発システム」もシェア増減見込みがプラスとなっている点に注意が必要だ。「独自開発システム」を検討しているユーザ企業をどれだけ取り込めるか?が今後のシェア動向を左右するポイントとなってくる。


■個人所有端末によるCRMの利用は販売チャネルによる保守/サポートが下支えしている
本リリースの元となる調査レポートでは、導入済み/導入予定の最も主要なCRM製品/サービスの「評価概況」(価格や機能などに関する全体的な評価)および「端末環境」(利用端末の形態や所有者)についても、以下の選択肢を設けて分析を行っている。
評価概況に関する選択肢(複数選択可)
プラス評価
・機能がニーズに合致している(※1)
・価格がニーズに合致している
・開発元(ベンダ)の保守/サポートが優れている(※2)
・販売元(販社/SIer)の保守/サポートが優れている(※3)
・開発元(ベンダ)の提案力/開発力が優れている
・販売元(販社/SIer)の提案力/開発力が優れている
マイナス評価
・機能がニーズに合致していない
・価格がニーズに合致していない
・開発元(ベンダ)の保守/サポートに不満がある
・販売元(販社/SIer)の保守/サポートに不満がある
・開発元(ベンダ)の提案力/開発力に不満がある
・販売元(販社/SIer)の提案力/開発力に不満がある
端末環境に関する選択肢(複数選択可)
・デスクトップPC
・ノートPC(社内利用&企業所有)
・ノートPC(社内利用&個人所有)(*)
・ノートPC(社外利用&企業所有)
・ノートPC(社外利用&個人所有)(*)
・タブレット/スマートフォン(社内利用&企業所有)
・タブレット/スマートフォン(社内利用&個人所有)(*)
・タブレット/スマートフォン(社外利用&企業所有)
・タブレット/スマートフォン(社外利用&個人所有)(*)
・第三者利用
社内利用:端末をオフィス内で利用
社外利用:端末を社外に持ち出して利用
企業所有:自社で端末を購入して社員が業務に利用
社員所有:社員が個人として所有する端末を業務に利用
第三者利用:取引先や一般消費者が自ら所有する端末を用いて社外からアクセス
上記に記載した「評価概況」や「端末環境」の実態を確認することによって、CRM製品/サービスを訴求する際の様々な留意点が見えてくる。例えば、以下のグラフは導入済みの最も主要なCRM製品/サービスにおける※1、※2、※3の評価項目の結果を「個人所有」を伴う端末環境の場合(* がついた選択肢を全て合わせたもの)と全体平均で比較したものだ。 上記のグラフを見ると、「個人所有」では「機能がニーズに合致している」の値が全体平均と比べて10ポイント超低い一方で、「販売元(販社/SIer)の保守/サポートが優れている」の値は全体平均よりも10ポイント超高い値を示している。つまり、製品/サービスの機能自体では「個人所有」への対応が十分ではない中で、販売元の保守/サポートによって「個人所有」における管理/運用がカバーされている状況と考えられる。一般サービス業を中心に人材不足が依然として大きな経営課題となっている昨今、CRMによる効率化を図る一方でアルバイトを含む従業員に社用端末を支給することは容易ではない。そのため、CRMの端末環境では「個人所有」が今後増加する展開も十分考えられる。CRMを訴求するベンダや販社/SIerとしては端末環境のこうした変化にも目を向けておくことが大切だ。次頁ではCRMにおける現状の課題について見ていくことにする。

■会計/販売データやスケジューラの連携はRPAではなく、CRM自身による対応が望ましい さらに本リリースの元となる調査レポートでは導入済みの最も主要なCRM製品/サービスにおける現状の課題や今後のニーズは何か?についても分析を行っている。以下は課題に関する選択肢を列挙したものだ。

「導入済みの最も主要なCRM製品/サービスにおける現状の課題」の選択肢
<<システム連携に関連する項目>>
・会計や販売などのマスタ情報を日報などで参照できない
・会計や販売などの実績情報に基づく顧客分析ができない(※1)
・コラボレーションとスケジューラ機能を共有/統合できない(※2)
・Web会議やビジネスチャットを利用した商談を行えない
・Webサイト/SNS/メールを連動させた販促を行えない
・RPAツールとの連携や販促活動の自動化ができない(※3)
・カスタマイズが必要な個別要件に対応する手段がない
<<データ分析に関連する項目>>
・購買情報などに基づく区分別の販促施策が行えない
・メールのやりとりを日報や案件情報に活かせていない
・チャットのやりとりを日報や案件情報に活かせていない
・Web会議のやりとりを日報や案件情報に活かせていない
・受け取った名刺データを顧客管理に活かせていない
・新規顧客の候補を上手く選定する方法が分からない
・顧客毎に最適な内容のメールを送ることができない
<<外部サービスの併用に関連する項目>>
・日報作成などが定着せず、CRM活用が停滞している
・コンタクトセンターサービスと顧客情報を共有できない
・外部SNSを用いた販促活動がCRMと連動していない
<<機能全般に関連する項目>>
・データ構造を考えて入力項目を設定しなければならない
・Excelと比べて操作が難しく、従業員の利用が定着しない
・Webサイトのアクセス分析やページ最適化ができない
・店舗とオンラインを横断した顧客管理ができない
<<クライアント環境に関連する項目>>
・スマートデバイスでは限られた機能しか利用できない
・Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
<<その他>>
・その他:
・課題は全くない(排他)(※4)
調査レポートでは上記に列挙した23項目の課題について年商別などの詳細な分析を行っている。以下のグラフはその中から※1~※4を抜粋して中堅・中小企業全体で集計したものだ。 まず、※4の「課題は全くない」の回答割合が14.2%に留まっていることから、逆に8割超のユーザ企業がCRM活用において何らかの課題を抱えていることが確認できる。その課題は多岐に渡るが、分析結果の一例として抜粋したものが※1~※3の項目である。CRMで十分な導入効果を得るためには会計や販売といった基幹系システムに格納された実績情報を踏まえた顧客分析が不可欠だ。だが、そうした連携は十分に実現されていない(※1)。また、CRMとコラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)がそれぞれ個別にスケジュール情報を格納/管理していると、人的リソースの配置/稼働が非効率になる(※2)。これらの課題の解決策としてはRPAを用いたシステム連携も考えられる。ただし、※3の値を踏まえると、ユーザ企業としてはRPAによる解決よりも、CRM自体が連携/共有の仕組みを備えることを望んでいると考えられる。ここでは課題に関する分析結果の一部を抜粋したが、調査レポートでは今後のニーズについても詳しい分析を行っている。


補記:社数シェア集計/分析の対象となっているCRM製品/サービスの一覧
本調査で選択肢に記載されたCRM製品/サービスの一覧は以下の通りである。選択肢として掲載する製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況などを踏まえて選定される。自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった方針で年毎に調整を行っている。
製品/サービス毎の評価や導入費用の集計/分析はサンプル件数が一定以上の条件(件数が少ない場合には参考値扱いとなるケースもある)を満たした(※)のみが対象となる。

Salesforce Sales/Service/Marketing Cloud: セールスフォース・ジャパン (※)
eセールスマネージャー: ソフトブレーン (※)
Microsoft Dynamics 365: 日本マイクロソフト (※)
戦略箱ADVANCED: インフォファーム (※)
SMILEシリーズ(QuickCreatorなど): OSK(大塚商会) (※)
Sales Force Assistantシリーズ: NIコンサルティング (※)
desknet’s CAMS/SSS: ネオジャパン (※)
BizMagic: BizMagic (※)
やよいの顧客管理: 弥生 (※)
顧客大臣: 応研 (※)
顧客王: ソリマチ
Senses: マツリカ
Knowledge Suite: ブルーテック(ナレッジスイート) (※)
GEOCRM: ブルーテック(DXクラウド、ナレッジスイート)
Zoho CRM: ゾーホージャパン
GENIEE SFA/CRM(ちきゅう): ジーニー (※)
i-CRM: アイテックス
Oracle CX(CRM、RightNowなどを含む): 日本オラクル (※)
SAP Customer Experience(SAP C/4 HANA): SAPジャパン (※)
inspirX: バーチャレクス・コンサルティング
SugarCRM: SugarCRM (※)
メールディーラー: ラクス
メールワイズ: サイボウズ (※)
問いマネ: クロスセル
Re:lation(リレーション): インゲージ
Approach DAM: NIコンサルティング (※)
クライゼル: トライコーン
WEBCAS: WOW WORLD(エイジア)
SHANON MARKETING PLATFORM: シャノン
Adobe Marketo Engage: アドビシステムズ(マルケト) (※)
List Finder: Innovation X Solutions(イノベーション)
Marketing Cloud Account Engagement(Pardot): セールスフォース・ジャパン
b→dash: データX(フロムスクラッチ)
カスタマーリングス: プラスアルファ・コンサルティング
SPIRAL: スパイラル(パイプドビッツ)
Synergy!: シナジーマーケティング
MOTENASU: FID
Dr.Marketing: アイアンドディー (※)
HubSpot CRM: Hubspot Japan
Cloud CIRCUS: クラウドサーカス(スターティアラボ)
Probance: ブレインパッド
SATORI: SATORI
Cloud CMO: イノーバ
GENIEE MA(MAJIN): ジーニー
Kairos3: カイロスマーケティング
sansan: Sansan (※)
CAMCARD BUSINESS: ワウテック
その他の製品/サービス:
ERP/基幹系システムの一機能として利用
ノーコード/ローコード開発ツールを利用
コラボレーションの一機能として利用
独自開発システム


本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野に渡る業務アプリケーションの導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題、ニーズを全て網羅した中堅・中小市場のIT活用提案における必携書
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【全体の構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に以下に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)を尋ねた結果を集計/分析している。
また、業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。
P1. ERP
P2. 生産管理
P3. 会計管理
P4. 販売・仕入・在庫管理
P5. 給与・人事・勤怠・就業管理
P6. ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7. コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)
P8. CRM
P9. BI
P10. 文書管理・オンラインストレージサービス
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
各分野について10~20ページからなる分析サマリが計10ファイル、「業務アプリケーションの導入/更新に関する方針」をまとめた分析サマリが1ファイル、さらに全分野を横断する形で法制度対応およびデータ分析/生成AIに着目した分析サマリが2ファイルの計13ファイルのPDFドキュメントが収録されている。P1~P10の10分野の分析サマリは以下の章構成となっている。(章構成は共通だが、分析/提言の内容は各分野の傾向や特性に応じて大きく異なる)
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」、「製品/サービスの導入社数シェア」、最も主要な製品/サービスの「導入年」、「導入元」、「評価概況」といったデータの中から、分野毎に重要なポイントを分析している。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」に着目し、クラウド移行の状況や端末環境の多様化などについて分野毎の傾向を分析している。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2023年10月20日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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