2023年 導入割合と機能ニーズの変化が示す会計管理システム市場の新たな攻め方

ノークリサーチは中堅・中小企業における会計管理システムの導入割合や機能ニーズの変化に関する調査を行い、その結果を発表した。

<ERP市場との関連やクラウド会計の併用など、シェア変動の要因を一早く察知することが重要>
■勘定奉行、GLOVIA、SMILE、弥生会計、OBIC7が優勢だが、進みつつある変化に要注目
■年商20~100億円で会計管理の導入率が相対的に下がる背景を理解しておくことが大切
■今後伸びる機能ニーズは「予算超過の自動通知」や「AIを活用した監査支援/異常値検出」

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年10月16日

2023年 導入割合と機能ニーズの変化が示す会計管理システム市場の新たな攻め方

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業における会計管理システムの導入割合や機能ニーズの変化に関する調査を行い、その結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」内の会計管理に関するサンプル/ダイジェストである。


<ERP市場との関連やクラウド会計の併用など、シェア変動の要因を一早く察知することが重要>
■勘定奉行、GLOVIA、SMILE、弥生会計、OBIC7が優勢だが、進みつつある変化に要注目
■年商20~100億円で会計管理の導入率が相対的に下がる背景を理解しておくことが大切
■今後伸びる機能ニーズは「予算超過の自動通知」や「AIを活用した監査支援/異常値検出」


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照リンク


■勘定奉行、GLOVIA、SMILE、弥生会計、OBIC7が優勢だが、進みつつある変化に要注目
以下のグラフは10分野の業務アプリケーションの社数シェアやユーザ評価を集計/分析した調査レポート「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」の中から、「会計管理」製品/サービスの導入済み社数シェア(複数回答可)を抜粋して掲載したものだ。
会計管理は最も基本的な業務アプリケーション分野の一つであるため、その動向は中堅・中小企業のIT活用全般を把握する上でも重要な指標となる。導入済みシェアを測る際には社数、金額、アカウント数など様々な尺度があり、調査対象についても企業を対象とするのか、個人事業主や個人の家計などにおける無償利用や試用段階も含めるか?など、様々な観点がある。
本リリースの元となる調査レポートでは、年商500億円未満(年商規模を7区分に分けて集計/分析)の企業が自社の業務基盤として導入している場合の社数シェアを集計/分析している。上記のグラフを見ると、シェア上位5つの製品/サービスはいずれも以前から存在する老舗ベンダが占めており、目立った変化はないように感じられる。だが、今後の新規導入やリプレース需要、運用形態(クラウド/オンプレミス)に着目すると、今後のシェア維持/拡大の行方を左右する留意点が見えてくる。次頁では調査レポートの中からそうした分析結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。


■年商20~100億円で会計管理の導入率が相対的に下がる背景を理解しておくことが大切
本リリースの元となる調査レポートでは、以下のような選択肢を設けて「会計管理」製品/サービスの導入状況を分析している。
「導入済み:継続」 導入済みであり、現在のベンダの製品/サービスを今後も利用
「導入済み:変更」 導入済みだが、異なるベンダの製品/サービスに変更する予定
「未導入:新規予定」 まだ導入していないが、新規に導入する予定
「未導入:予定なし」 まだ導入しておらず、今後も導入する予定はない
以下のグラフは会計管理における「導入済み:継続」と「導入済み:変更」の割合を年商別に集計したものだ。各グラフ帯の右端に黒太字で記載した数値は両者の合計、つまり現時点の導入率を表している。
上記のグラフを見ると、赤矢印で示したように
・年商20億円未満においては年商規模が大きくなるにつれて増加
・年商20~100億円では下位および上位の年商帯と比べて値が若干下がる
・年商100~500億円では再び年商規模が大きくなるにつれて増加
といった傾向が読み取れる。
従来は年商100~500億円になると会計管理の導入率は若干下がる傾向が見られた。これはERPの導入率が徐々に高くなり、ERPが会計管理の役割も担うようになるためだ。ところが、近年では年商20~100億円においても個別の基幹系システムからERPへのステップアップが進んでいる。その結果、年商20~100億円では会計管理の導入済み割合が僅かに低くなっていると考えられる。では、年商100~500億円において会計管理の導入率が年商規模と共に高くなっている要因は何だろうか?
主な要因の一つが、年商100~500億円におけるクラウド会計の併用だ。クラウド会計は年商5億円未満の小規模企業が主な顧客層と考えがちだが、実際には年商100~500億円においても利用されていることが確認できる。(ここでは詳細を割愛するが、調査レポートでは具体的な製品/サービス名と共に数値を挙げて確認している) 年商規模が大きくなると、「拠点では簡易なサービスを利用したい」、「様々な決済サービスと連携させたい」、「海外展開にも対応したい」などのニーズも生じてくる。こうしたニーズに対応するためにはクラウド会計を併用するのが効果的だ。そのため、上記のグラフのように年商100~500億円では会計管理の導入率が従来と比較して高くなっていると考えられる。
さらに調査レポートでは、「パッケージ(社内設置)」、「パッケージ(データセンタ設置)」、「パッケージ(IaaS/ホスティング利用)」、「SaaS利用」などといった運用形態の観点からも「会計管理」製品/サービスの今後の動向について詳しい分析を行っている。
次頁では機能ニーズの変化に関する分析結果の一部を紹介している。


■今後伸びる機能ニーズは「予算超過の自動通知」や「AIを活用した監査支援/異常値検出」
さらに本リリースの元となる調査レポートでは「会計管理」製品/サービスに今後必要と考える機能や特徴は何か?についても、以下のような選択肢を列挙した上で集計/分析を行っている。

「会計管理の製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴」の選択肢
<<経営支援に関連する項目>>
・AIを活用した経営の分析やシミュレーションができる
・経費を迅速に把握し、予実管理の精度を向上できる
・収益予測やシミュレーションによる予実管理ができる
・予算の超過が発生したことを自動的に通知してくれる(※1)
・会計データを金融機関の与信判断に活用できる(※2)
<<仕訳や監査に関連する項目>>
・申請/承認によって仕訳のミスや改ざんを事前に防げる
・AIを活用した監査支援や異常値検出を行える(※3)
・一部の仕訳作業を自動化できる(※4)
<<決算処理や連結会計に関連する項目>>
・決算の早期化/短期化によって経営判断を迅速化できる
・連結会計やグループ決算に対応できる
・複数企業を跨ぐ会計処理(JV会計など)に対応できる
・特定の国独自の会計制度にも対応できる
・e-TaxやeLTAXなどの電子申告と連携できる
<<インボイス制度や電子帳簿法に関連する項目>>
・OCR読み取りで請求書や領収書を自動で仕訳/区分できる
・売掛/債権データを入金データと照合して自動で消込できる
・クラウド経由で様々なデータ連携を一括で行う仕組みがある
・適格請求書を保存するためのストレージサービスを利用できる
・デジタルインボイスの標準規格に沿ったデータ連携ができる
・改正電子帳簿法のJIIMA認証を受けた製品/サービスである
・改正電子帳簿法の検索/改ざん防止要件に対応できる
・改正電子帳簿法のタイムスタンプ要件に対応できる
<<クラウドに関連する項目>>
・パッケージとSaaSを選択/併用できる
・様々なクラウドサービスと連携できる
<<その他>>
・その他:
・欲しいと考える機能や特徴は全くない(排他)
調査レポートでは上記に列挙した様々な観点から「会計管理」製品/サービスにおいて今後伸びるニーズは何か?を分析し、ベンダや販社/SIerに向けた提言を述べている。以下のグラフはその中から※1~※4のニーズ項目の回答割合を「導入済み」(青帯)と「新規予定(導入予定)」(橙帯)に分けて集計したものだ。つまり、青帯と比べて橙帯が長くなっている項目が今後の伸びが期待できる機能ニーズということになる。
近年は「金融機関との与信連携」(※2)や「仕訳の自動化」(※4)がクラウド会計の差別化要素として注目を集めてきた。だが、上記のグラフを見ると、これら2項目のニーズが今後更に拡大する兆候は見られない。一方で、「予算超過の自動通知」(※1)や「AIを活用した監査支援/異常値検出」(※3)は今後のニーズ拡大が予想される。※1~※4は会計データを分析することで新たな価値を提供するという点で共通しており、「導入済み」の回答割合にも大きな差は見られない。だが、今後は※2や※4といった財務会計寄りの機能よりも、※1や※3といった管理会計寄りの機能の重要度が高くなってくる。このように会計データの活用という観点は同じであっても、具体的なニーズは常に変化している点に注意する必要がある。調査レポートでは課題やニーズに関する更に詳細な分析と提言を述べている。


補記:社数シェア集計 分析の対象となっている「会計管理」製品 サービスの一覧

本調査で選択肢に記載された「会計管理」製品 サービスの一覧は以下の通りである。選択肢に掲載される製品 サービスは過去の調査結果や最新の市場状況などを踏まえて選定される。自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった方針で年毎に調整を行っている。
製品 サービス毎の評価や導入費用の集計 分析はサンプル件数が一定以上の条件(件数が少ない場合には参考値扱いとなるケースもある)を満たした(※)のみが対象となる。

GLOVIA SUMMIT/iZ 会計/smart 会計/きらら 会計:富士通(※)
OBIC7会計情報システム:オービック(※)
SMILEシリーズ(V/BS/Air):OSK(大塚商会)(※)
EXPLANNER/Z:NEC(※)
スーパーカクテルCore会計:内田洋行(※)
勘定奉行(クラウドを含む):OBC(※)
財務大将(MJSLINK/Galileopt)/ACELINKシリーズ:ミロク情報サービス(※)
かんたん!シリーズ/かんたんクラウド:ミロク情報サービス(※)
PCA 会計(hyperを含む)(クラウド/サブスクを含む):ピー・シー・エー(※)
Core Plus Dia 会計:日本事務器
弥生会計(オンラインを含む):弥生(※)
大蔵大臣:応研(※)
会計王:ソリマチ(※)
FXシリーズ、e21まいスター:TKC(※)
JDL IBEXシリーズ:JDL(※)
達人シリーズ:NTTデータ(※)
ProActive会計:SCSK
ビズインテグラル会計:NTTデータ・ビズインテグラル(※)
SuperStream-NX:スーパーストリーム
HUE Classic:ワークスアプリケーションズ
OPEN21シリーズ:ICSパートナーズ
GrowOne Cube 会計:ニッセイコム
ZeeM 会計:クレオ
経理上手くん:日本ICS
Weplat 財務応援:セイコーエプソン
ジョブカン会計/ツカエル会計:DONUTS/ジョブカン会計(※)
MONEY会計:ラキール(レジェンド・アプリケーションズ)
iSeries Site(GUI-PACK):日本IBM(※)
freee会計:freee(※)
マネーフォワードクラウド会計:マネーフォワード(※)
SmileWorks(会計ワークス):スマイルワークス
A-SaaS:Mikatus、freee(※)
フリーウェイ経理Lite:フリーウェイジャパン
BlackLine:ブラックライン(※)
その他の製品/サービス:
ERP/基幹系システムの一機能として利用
独自開発システム


本リリースの元となる調査レポート

『2023 年版 中堅・中小企業のIT アプリケーション利用実態と評価レポート』
10 分野に渡る業務アプリケーションの導入済み 導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題、ニーズを全て網羅した中堅・中小市場のIT 活用提案における必携書

【対象企業属性】 (有効回答件数:1300 社)
年商:5 億円未満 / 5 億円以上~ 10 億円未満 / 10 億円以上~ 20 億円未満 / 20 億円以上~ 50 億円未満/50 億円以上~ 100 億円未満 / 100 億円以上~ 300 億円未満 / 300 億円以上~ 500 億円未満
従業員数:10 人未満 / 10 人以上~20 人未満 / 20 人以上~50 人未満 / 50 人以上~100 人未満/100人以上~300 人未満 / 300 人以上~500 人未満/ 500 人以上~1,000 人未満 /1,000人以上~3,000 人未満 / 3,000 人以上~5,000 人未満 / 5,000 人以上
業種:組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業 運輸業) /IT
関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域:北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方
四国地方/ 九州 ・沖縄地方
その他の属性:「IT 管理 運用の人員規模」(12 区分)、「ビジネス拠点の状況」(5 区分)

【全体の構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に以下に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)を尋ねた結果を集計/分析している。
また、業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。
P1.ERP
P2.生産管理
P3.会計管理
P4.販売・仕入・在庫管理
P5.給与・人事・勤怠・就業管理
P6.ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7.コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)
P8.CRM
P9.BI
P10.文書管理・オンラインストレージサービス
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
各分野について10~20ページからなる分析サマリが計10ファイル、「業務アプリケーションの導入/更新に関する方針」をまとめた分析サマリが1ファイル、さらに全分野を横断する形で法制度対応およびデータ分析/生成AIに着目した分析サマリが2ファイルの計13ファイルのPDFドキュメントが収録されている。P1~P10の10分野の分析サマリは以下の章構成となっている。
(章構成は共通だが、分析/提言の内容は各分野の傾向や特性に応じて大きく異なる)
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」、「製品/サービスの導入社数シェア」、最も主要な製品/サービスの「導入年」、「導入元」、
「評価概況」といったデータの中から、分野毎に重要なポイントを分析している。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」に着目し、クラウド移行の状況や端末環境の多様化などについて分野毎の傾向を分析している。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
【レポート案内(設問項目、試読版など)】リンク
【発刊日】2023年10月20日【価格】180,000円(税別)特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ
株式会社 ノークリサーチ担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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