2023年 中堅・中小市場で留意すべきユーザ企業とIT企業の「すれ違い」ポイント

ノークリサーチは中堅・中小企業向けにIT製品/サービスを拡販しようとする際に留意すべきユーザ企業とIT企業の間のすれ違いに関する調査/分析を行い、その結果を発表した。

<IT企業側から見た「導入提案を阻む障壁」は、実際は別の要因から生じていることが少なくない>
■「文化/慣習」や「予算確保」に関する課題意識はユーザ企業とIT企業で大きく異なっている
■「経営層の理解不足」や「現場部門の態度」といった隠れた課題を改善していくことが重要
■「期待される成果をまず掲げて、そこから逆算して必要な費用を示す」という進め方が有効

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年7月3日

2023年 中堅・中小市場で留意すべきユーザ企業とIT企業の「すれ違い」ポイント

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業向けにIT製品/サービスを拡販しようとする際に留意すべきユーザ企業とIT企業の間のすれ違いに関する調査/分析を行い、その結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<IT企業側から見た「導入提案を阻む障壁」は、実際は別の要因から生じていることが少なくない>
■「文化/慣習」や「予算確保」に関する課題意識はユーザ企業とIT企業で大きく異なっている
■「経営層の理解不足」や「現場部門の態度」といった隠れた課題を改善していくことが重要
■「期待される成果をまず掲げて、そこから逆算して必要な費用を示す」という進め方が有効


調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 経営層およびIT活用の導入/選定/運用に関わる立場
調査実施時期: 2023年4月~5月
※詳細は本リリースの4ページを参照


■「文化/慣習」や「予算確保」に関する課題意識はユーザ企業とIT企業で大きく異なっている
中堅・中小向けのIT活用提案では、IT企業側が「導入や購入の障壁になっている」と感じる内容とユーザ企業側が実際に直面している課題が一致しないことが度々ある。以下のグラフはそうした「すれ違い」に関する調査データの一部を抜粋したものだ。
ユーザ企業における文化/慣習や予算確保をIT導入提案の障壁として挙げる割合はIT企業側では2割前後に達する。一方、同じ項目をユーザ企業に対して尋ねた結果は1割弱に留まっており、両者には10ポイント超の差が見られる。つまり、この差を埋めることができれば、IT企業側はIT導入提案の成功率をさらに高めることができる。本リリースの元となる調査レポート「2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート」では、IT企業側が「やむを得ない失注理由」と捉えてしまいがちな障壁の背後にある「すれ違い」に着目し、それを打破するための分析/提言を述べている。次頁以降ではそうした分析結果の一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。


■「経営層の理解不足」や「現場部門の態度」といった隠れた課題を改善していくことが重要
本リリースの元となる調査レポートでは、以下のような選択肢を列挙して、「ユーザ企業がDX/ITソリューションを導入しようとする際に直面する課題」について尋ねた結果を集計/分析している。
<<期待される成果に関連する課題>>
・費用に見合う効果を得られる確証がない
・DX/ITを検討するだけで費用が発生する
・業績が好調でないとDX/ITも成功しない
・コストは削減できるが売上は向上しない
・必要な費用を捻出することができない
<<経営や社風に関連する課題>>
・経営層がDX/ITの必要性を理解していない
・現場部門がDX/IT推進に非協力的である
・DX/ITに対する理解の内容が様々である
・従来の文化/慣習が障壁となっている
<<人材に起因する課題>>
・DX/ITを推進する社内人材の人数が不足している
・現場と協調できるDX/IT関連の社内人材がいない
・DX/IT関連のスキルを持った社内人材がいない
<<業務システムに関連する課題>>
・特定のクラウドサービスにロックインされている
・古いシステム(レガシー資産)が足かせになる
・どの業務から着手すれば良いか判断できない
・クラウドサービスへの移行が目的化している
・自社の要件に合うDX/ITソリューションがない
・新規システムと既存システムが分断される
・データ収集/分析だけでは業務は改善しない
・ITと本業に関わる技術が連携できていない
・試験的な導入(PoC)のみを繰り返している
<<IT企業側に起因する課題>>
・IT企業が自社の業務内容を理解しようとしない
・IT企業の提案が先進的なIT活用に偏っている
<<その他>>
・その他:
・今は判断できない(排他)
例えば、<<経営や社風に関連する課題>>の選択肢グループに該当する項目の具体例を示すと、以下のようになる。
<<経営や社風に関連する課題>>
・経営層がDX/ITの必要性を理解していない 例) RPAが従業員を削減する手段と見なされており、社長が導入に難色を示している・現場部門がDX/IT推進に非協力的である 例) 部品調達と製造計画を長年担っている工場長が生産管理の刷新に反対している・DX/ITに対する理解の内容が様々である 例) IT部門はDX/ITをクラウド移行、経営層はAI活用と捉えており、議論が食い違う
・従来の文化/慣習が障壁となっている 例) 直行や直帰を認めない社風があり、テレワークやモバイルワークが浸透しない
上記の<<経営や社風に関連する課題>>の中堅・中小企業全体における回答割合を示したものが以下のグラフである。前頁で述べたように、IT企業側が「ユーザ企業の文化や慣習が障壁となっている」と考える割合は20.9%に達する。だが、ユーザ企業においては「従来の文化/慣習」(※4)だけでなく、「経営層の理解不足」(※1)、「現場部門の態度」(※2)、「DX/ITの理解内容」(※3)といった様々な課題が少しずつ併存しており、それらが複合的に作用してIT導入を阻んでいる。IT企業側がこれら全てを「ユーザ企業の文化や慣習」と大まかに捉えてしまうと、ユーザ企業との間に「すれ違い」が生じてしまう。IT企業としてはこれら4つの課題項目を区別して捉えることが大切だ。
次頁では「予算確保」の課題におけるすれ違いについて述べる。


■「期待される成果をまず掲げて、そこから逆算して必要な費用を示す」という進め方が有効
さらに本リリースの元となる調査レポートでは、以下のような選択肢を列挙して、「IT企業がDX/ITソリューションを提案しようとする際に直面する課題」について尋ねた結果も集計/分析している。
<<ユーザ企業に起因する課題>>
・DX/ITを推進するユーザ企業は一部に限られている
・ユーザ企業にニーズを尋ねても答えが得られない
・ユーザ企業の文化や慣習が障壁となっている
・ユーザ企業が十分な予算を確保できていない(※1)
・ユーザ企業内にコロナ禍の影響が残っている
<<顧客のターゲティングに関連する課題>>
・訴求対象とすべき企業の規模を選択できない(※2)
・訴求対象とすべき業種や業態を選択できない
・手本とすべき事例はどれか?が判断できない
<<自社のビジネス方針に関連する課題>>
・DX提案を進めると、既存のIT商材が売れなくなる(※3)
・顧客や収益を獲得できる確固とした見込みがない
・経営層がDX提案に取り組む必要性を感じていない
・経営層がDX提案に失敗した時の損失を恐れている
<<自社の人材に関連する課題>>
・DX/ITの必要性を顧客に啓蒙できる人材がいない
・ITに関連した最新の技術スキルを持つ人材がいない
・顧客毎の業務を理解するスキルを持つ人材がいない
<<その他>>
・その他: ・今は判断できない(排他)

左記のグラフは上記の中から※1、※2、※3の回答結果を抜粋したものだ。
※1は※2、※3と比べて高い値を示しており、IT企業がDX/ITソリューション提案を進める上で「予算確保」が大きな課題となっていることが確認できる。
だが、冒頭で述べたようにユーザ企業側が「予算確保」を課題として挙げる割合は8.1%に留まっており、※1の19.8%とは大きな差がある。 そこで、前頁に列挙したユーザ企業がDX/ITソリューション導入で抱える課題の中から、<<期待される成果に関連する課題>>の一部を抜粋したものが左記のグラフだ。「予算確保」の課題である「必要な費用を捻出することができない」が8.1%に留まる一方、「費用に見合う効果を得られる確証がない」は24.0%、「コストは削減できるが売上は向上しない」は19.1%に達している。つまり、ユーザ企業側が「予算を確保できない」と言った場合は、本当に予算を捻出できないのではなく、費用対効果の確証が得られないことが要因である可能性がある。
IT企業側としては期待される成果をまず掲げて、そこから逆算して必要な費用を示すという提案の進め方が有効と考えられる。
ここでは2つの具体例のみを紹介しているが、ユーザ企業とIT企業の間に「すれ違い」が生じる場面は他にもある。また、双方にとって共通するDX/ITソリューション導入における課題や障壁も存在する。本リリースの元となる調査レポートでは、そうした観点での分析を行い、「すれ違い」の解消に向けてIT企業が何をすべきか?の提言を述べている。

本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート』
50項目に渡る具体的なソリューションの導入状況、ユーザ企業が抱える課題とニーズ、訴求手段(メディア、SNS、セミナー、展示会など)の選択までを網羅したIT活用提案における必携書。
【対象企業属性】(有効回答件数:700社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 /100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 /
500人以上~1000人未満/ 1000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリの章構成】
第1章.中堅・中小企業を取り巻くビジネス環境
2023年における経常利益の見通しと増減の要因(エネルギー/原材料の不足や価格上昇、国際情勢、ESGやSDGs、インバウンドの復調、長期化する円安、人材不足など、計10項目)を踏まえた上で、2023年のIT支出の増減見通しと増減の要因(キャッシュレス化、ペーパレス化、業務の自動化、人材のリスキリング、マルウェアの脅威、生活様式の変化、クラウドネイティブ、法改正など、計23項目)について分析。
第2章.DX/ITソリューションの導入状況(概況)
自動化/システム連携/開発ツール、コミュニケーション改善/データ共有、ペーパレス化、販売/マーケティングの改善や刷新、ジェネレーティブAI(生成AI)、センサ+AIによるデータ分析、クラウド活用/レガシー移行、既存の業務システムにおけるDX(xTech)、ドローンの活用、VR/AR/デジタルサイネージ、3Dプリンタの活用、ロボットの活用といった計50項目に渡る具体的なDX/ITソリューションの導入済み割合および初年度合計費用、今後の導入予定の割合を分析。
第3章. DX/ITソリューションの導入状況(年商別)
第2章で取り上げたDX/ITソリューションの導入状況(導入済み/導入予定の割合)の年商別傾向を分析。
第4章. DX/ITソリューションの導入状況(業種別)
第2章で取り上げたDX/ITソリューションの導入状況(導入済み/導入予定の割合)の業種別傾向を分析。
第5章.DX/IT導入においてユーザ企業が抱える課題とニーズ
DX/ITソリューション導入におけるユーザ企業の基本方針(クラウド事業者は集約/併用のどちらを選ぶか?DX人材の育成とは内製促進を意味するのか?など)、直面する課題(費用が最大の障壁なのか?、既存のシステムはどこまで足かせになっているのか?など)、IT企業に期待する支援(人材不足をどう克服するか?、最初にどの部門向けに提案をして欲しいか?など)を分析。
第6章.DX/IT導入の提案に際してIT企業が抱える課題
IT企業(IT関連サービス業)に対して、DX/ITソリューションを提案する際に直面する課題を尋ねた結果を分析し、ユーザ企業とIT企業の間に潜在する行き違いを明らかにし、DX/ITソリューション提案を成功させるための留意点を提言。
第7章.IT製品/サービスの導入検討時に利用する手段や情報源
Web検索、IT企業のWebサイト、比較サイト、展示会/セミナー(リアル/オンライン)、IT企業の営業担当との電話/メール/Web会議/チャット、新聞/雑誌、士業(会計士/税理士/社労士)など、23項目に渡る選択肢を列挙し、IT企業が認知向上や顧客接点の深化を測る際に選択すべき手段は何か?を分析/提言。
【価格】 180,000円(税別) 【発刊日】 2023年6月15日
【調査レポート案内】 リンク
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当調査データに関するお問い合わせ
株式会社ノークリサーチ 担当:岩上由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL03-5361-7880 FAX03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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