中堅・中小企業においてもレガシー資産はDXの大きな妨げとなるか?

ノークリサーチはDXおよびITインフラに関する調査レポートのデータを合わせて分析することによって、DXの取り組み状況とレガシー資産の導入実態との関連について分析した結果を発表した。

<「古い=悪い、新しい=良い」ではなく、課題に基づいた移行や刷新の提案を行うことが大切>
■年商5~500億円の中堅・中小企業における残存割合はオフコン12.7%、メインフレーム6.9%
■単なるレガシー移行ではなくデータ量や処理量の増加、手作業によるミスへの対処が重要
■「クラウド移行」だけでなく、「オンプレミスとクラウドの連携/使い分け」も含めた提案が必要

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年5月9日

中堅・中小企業においてもレガシー資産はDXの大きな妨げとなるか?

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)はDXおよびITインフラに関する調査レポートのデータを合わせて分析することによって、DXの取り組み状況とレガシー資産(オフコン/メインフレーム)の導入実態との関連について分析した結果を発表した。

<「古い=悪い、新しい=良い」ではなく、課題に基づいた移行や刷新の提案を行うことが大切>
■年商5~500億円の中堅・中小企業における残存割合はオフコン12.7%、メインフレーム6.9%
■単なるレガシー移行ではなくデータ量や処理量の増加、手作業によるミスへの対処が重要
■「クラウド移行」だけでなく、「オンプレミスとクラウドの連携/使い分け」も含めた提案が必要


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業
対象職責: 企業の経営もしくはITの導入/選定/運用作業を担う職責
※本リリースの元となる各種調査レポートの詳細については4ページを参照


■年商5~500億円の中堅・中小企業における残存割合はオフコン12.7%、メインフレーム6.9%
IT活用における「レガシー資産」といった場合はオフコンやメインフレームを指すことが少なくない。実際、NECや富士通は自社ハードウェアによるオンプレミスのオフコンについては既に開発/販売/サポートを終了しており、メインフレームについても富士通が2030年の開発と販売の終了、2035年のサポート終了を表明している。こうした状況を受けて、大企業ではDXの障壁となるレガシー資産からの脱却が再び注目を集めている。 一方で、以下のグラフが示すように、年商5~500億円の中堅・中小企業においてもオフコンやメインフレームは依然として利用されている。そのため、最近では「中堅・中小企業においてもオフコンやメインフレームといったレガシー資産がDXの障壁となるケースが多いのか?」(※)という質問を受けることが増えてきた。
今後の開発/サポートについて確証が得られないシステムを利用し続けることは明らかに「負の遺産」であり、当然ながらDXにおいても大きな障壁となる。ただし、オフコンであれば日本IBMの「IBM i + Power Systems/PureSystems」、メインフレームではNECの「ACOSシリーズ」、日本IBMの「IBM Z」のように新たなニーズを取り入れながら開発が継続されているものもある。逆に、オープン系やクラウドサービスであっても、開発/サポートが鈍化または終了したり、ロックイン状態となれば「負の遺産」となる。つまり、レガシー資産となるかどうか?は単に登場してから経過した年月ではなく、昨今のニーズに追随できているか?という観点で判断することが大切だ。そうした点を踏まえて、次頁以降では上記の(※)について調査データを元に考察を進めていく。


■単なるレガシー移行ではなくデータ量や処理量の増加、手作業によるミスへの対処が重要
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業を対象として実施した「DXへの取り組み状況に関する調査結果」と「サーバ導入(クラウドとオンプレミスの双方を含む)に関する調査結果」を照合し、両者の関係を分析したものである。DXに取り組み中または取り組む予定である場合と、DXに取り組む予定がないまたは取り組んだが中断/終了した、もしくは判断できない場合に分けて、レガシー資産に関連するサーバ管理/運用における課題を尋ねた結果を集計している。 「レガシー資産(オフコン/メインフレーム)を移行する手段がない」や「特定のベンダや事業者に依存し過ぎている」の回答割合を見ると、「取り組み中/取り組む予定」と「予定なし/中断/判断不可」の間で大きな差異は見られない。つまり、中堅・中小企業では、ユーザ企業がDXに取り組もうとする際にオフコン/メインフレームが必ずしも大きなロックイン障壁となっているわけではないことがわかる。(ただし、中堅・中小企業におけるDXは業務の部分的な改善に留まることも多いため、結果的にオフコン/メインフレームとは全く別に進められるケースもある点に留意が必要) 一方で、「既存の業務システムが足かせになっている」には顕著な差が見られる。この結果から、DXの障壁はオフコン/メインフレームか?オープン系/クラウドサービスか?といったシステム形態の選択とは別に存在すると考えられる。それを知るヒントとなるのが以下のグラフだ。上記のグラフと同様に、DXの取り組み状況別にサーバ環境における課題を更に深堀して尋ねた結果である。
「予定なし/中断/判断不可」のユーザ企業では「取り組み中/取り組む予定」と比較して「データ量や処理量の増加」、「手作業におけるミス」、「最新動向を理解できる人材の不足」といった課題を抱える割合が高くなっている。したがって、IT企業がDX提案を進める際には単にレガシー資産のオープン化を目的とするのではなく、最新動向を分かりやすく解説しながら、高度なデータ活用に耐えられるIT基盤や業務の自動化を支援することが重要となってくる。 また、オフコン/メインフレームの移行先としてだけでなく、データ量や処理量の増加にも対応しやすい環境として有効な選択肢がクラウドサービスの活用だ。次頁ではこの点についても触れておく。


■「クラウド移行」だけでなく、「オンプレミスとクラウドの連携/使い分け」も含めた提案が必要
以下のグラフは前頁と同様に中堅・中小企業における「DXへの取り組み状況」と「サーバ環境の課題」との関連を尋ねた結果のうち、クラウド移行に関する項目の結果を集計したものだ。
「予定なし/中断/判断不可」のユーザ企業では「取り組み中/取り組む予定」と比較してオンプレミスとクラウドの連携や使い分けを課題と捉えている割合が高いことがわかる。レガシーマイグレーションやDXの提案においてはクラウドへの「移行」に力点が偏りがちだが、DXに取り組む際の障壁を解消するためにはクラウド移行後にも残存するオンプレミス環境との連携や使い分けについても提案内容にしっかりと含める必要がある。
上記の留意点は以下のグラフからも確認できる。これは中堅・中小企業における導入済みサーバの形態をDXの取り組み状況別に集計した結果である。 「取り組み中/取り組む予定」 のユーザ企業では「予定なし/中断/判断不可」と比較して「サーバルーム設置/ハウジング」および「IaaS/ホスティング/PaaS/サーバレス/マイクロサービス」の回答割合が高くなっている。DXの取り組みと共に、より高い拡張性を実現できるITインフラ環境の導入も進んでいることが確認できる。だが、「オフィス内設置」の値に大きな差は見られず、DXへの取り組みを進めるユーザ企業においてもオンプレミスの環境は依然として存在している。そのため、単なる「クラウド移行」だけでなく「オンプレミスとクラウドの連携/使い分け」の提案が求められてくるわけだ。
IT活用においては「古いもの=悪い、新しいもの=良い」と捉えられがちだが、冒頭でも触れたようにオフコン/メインフレームであっても最新の開発ツールやシステム連携手段に対応できていればDXを支える基盤となることも可能であり、逆にオープン系やクラウドサービスであっても開発/サポートが停滞し、データがロックインされればDXの足かせとなる恐れがある。レガシー資産の移行を提案する際にはこうした幅広い視点でユーザ企業と向き合うことが大切と考えられる。


本リリースで参照されている調査レポート 各冊180,000円(税別)

『2022年版 中堅・中小企業のDXソリューション導入実態と展望レポート』
DXを一部の先進企業から、中堅・中小の幅広い裾野に広げるために必要な施策を徹底解説
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】
ユーザ企業(利用側)とIT企業(提案側)が抱えるDXソリューション導入の共通課題
リンク
業種別に見た「中堅・中小企業の導入が今後増えるDXソリューション」とは?
リンク
中堅・中小企業におけるIT投資市場規模とITソリューション支出額
リンク
伴走型SI/サービスは中堅・中小企業とIT企業の新しい関係性となるか?
リンク
メタバースやブロックチェーンなどの最新技術に対する企業の受容性動向
リンク

『2022年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート』
サーバ&エンドポイント、クラウド&オンプレミスといった多角的な視点からITインフラ導入の提案ポイントを解説
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】
サーバ管理における課題&ニーズとユーザ企業が求めるクラウド移行パターン
リンク
サーバ導入の注目トピック(オフコン移行/CentOS 8代替/クラウド社数シェア)の動向
リンク
企業規模別に見たサーバインスタンス数とストレージ形態の傾向
リンク
エンドポイント端末(PC/スマートデバイス)の導入実態が示す有望な販売施策
リンク
PC/スマートデバイスのシェア動向とITインフラ全体に影響する課題
リンク

注) 本リリースに掲載されたグラフは本リリース向けに個別に集計を行った結果のため、上記の調査レポートには含まれません。

ご好評いただいている既刊の調査レポート 各冊180,000円(税別)

2022年版 中堅・中小企業のセキュリティ/運用管理/バックアップ利用実態と展望レポート
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2022年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート
リンク
2022年版 中堅・中小企業のIT支出と業務システム購入先の実態レポート
リンク

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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