2023年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査

株式会社ICT総研 (東京都中央区)は4月21日、「2023年 有料動画配信サービス利用動向に関する調査」の概要をまとめた。

■有料動画配信サービス利用者数は2023年に3,560万人、2023年に3,900万人へ拡大

 インターネット回線などを活用した有料動画サービスの利用者が増加している。映画、アニメ、テレビ番組などの動画コンテンツを定額制で利用できるサービスが増加して価格が下がってきた影響もあり、有料動画サービス市場の拡大が続いている。新型コロナウィルス感染拡大によって高まった「巣ごもり需要」による動画配信サービスの利用習慣が浸透している。
 かつては1本あたり数百円程度で視聴できるペイパービュー(PPV)方式が中心だったが、月額1,000円以下で大量の動画を見放題で提供する「定額見放題」サービスの利用者が急増した。
 2018年末(12月末)時点の有料動画配信サービス利用者は1,750万人で、このうち定額制サービスの利用者数は約5分の4にあたる1,480万人であった。2020年末には2,630万人の利用者のうち定額制サービス利用者は約9割にあたる2,330万人へと急増し、さらに2022年末には3,100万人へと拡大した。有料動画配信サービス利用者は増加傾向を続け、2025年にはPPV利用者と合わせて3,900万人にまで拡大すると予測する。今後も定額制サービスの利用者は増加し、2025年には3,630万人に達する見通しだ。


■定額制動画配信サービスの利用率は29%、PPVサービス利用率は4%

 ICT総研が2023年2月に4,407人のインターネットユーザーに対して実施したWebアンケート調査の結果では、動画配信・無料サービスのみを利用するユーザーは51.5%であった。また、定額制サービスを利用するユーザーは28.7%で、ペーパービューサービスを利用するユーザーは3.7%である。動画サービスを全く利用しない人も15.7%いる。2021年8月に実施したアンケート調査では定額制サービスの利用者は28%であり定額制サービスの利用者は2年前と比べるとわずかながら増加している。
 現在、無料動画サービスしか利用していない人が有料サービスに移行する可能性もあり、有料動画サービスの潜在市場は大きいものと想定される。
 懸念材料としては高画質動画などの大容量コンテンツが増えた結果、固定ブロードバンドサービスのトラフィックが爆発的に増えていることである。現在のサービス体系ではどれだけ容量の大きいデータをダウンロードしてもインターネットのサービス価格が変わらないが、携帯電話のように容量によって価格を変えるという構想も出始めている。その場合、ユーザーが動画配信のような大容量データサービスのユーザーは減少しかねない。5Gによって大容量、高速通信が外出先でも利用可能になり、一人当たりの動画視聴可能な機会が増加している事からもサービス提供形態の変化の可能性が考えられる。


■有料動画サービスの最多利用率はプライム・ビデオが70%でトップ、Netflixが30%で2位

 有料動画サービスを利用していると回答した1,432人の中で、主に利用する動画サービス名を聞いたところ、69.9%の人がAmazonのプライム・ビデオを利用していると回答した。プライム・ビデオは、年間4,900円(税込)で加入することができ、配送料無料や音楽コンテンツの聴き放題サービス(Prime Music)など多様なサービスが含まれることからコストパフォーマンスが高いと認識され、利用者拡大につながっているものと思われる。
 次に利用者数が多かったのがNetflixで、30.1%の人が利用していると回答した。Netflixは、月額定額でNetflixに登録されている全てのコンテンツが見放題となる米国発祥のサービスである。画質と同時視聴可能な機器数の違いによって3つの料金プランが用意されており、用途に合わせて自由に選ぶことができる。海外コンテンツの豊富さに加え、オリジナルコンテンツの充実ぶりも高評価につながっている。
 アンケート回答数で3位だったのがHuluで、14%の人が利用していると回答した。以下、Disney+が12.1%、YouTube Premiumが11.2%、U-Nextが10.9%と続く。


■定額制動画配信サービスの満足度はdアニメストア、WOWOWオンデマンド、Netflixが高い支持を獲得

 動画サービスの利用者に対して、最も頻繁に利用する定額制サービスの満足度を4段階評価で確認した結果、U-Nextが87.5ポイントでトップとなった。84.9ポイントで2位につけたのは前回の調査時に満足度がトップであったdアニメストアで、YouTube Premiumが83.9ポイントで3位となった。

■スマホによる動画サービス利用者は68%から71%へと増加、パソコン利用者は減少

 アンケート調査の結果では、動画サービス利用者の49%がパソコン端末上で無料・有料動画サービスを利用していると回答した。これは2021年の55%から6%低下した。一方、スマホ端末で動画サービスを利用する割合は71%で、こちらは昨年の68%から3%上昇した。スマートフォンでの利用率は、調査開始以降伸び続けておりパソコンでの利用率を上回っている。
タブレット端末による利用率は2021年時点での調査から変わらず26%、またテレビによる利用率は25%と低いが、2021年から3%増加しており映画などのコンテンツを大画面で楽しむ利用形態も進んでいる。


■有料動画サービス利用時間はユーザーの57%の利用時間が増加、8%が利用時間減少

利用中の有料動画サービスについて、直近1年間の利用時間の変化についてアンケートを行ったところ、利用時間が増加した割合が最も高いのはYouTube Premiumで、75%のユーザーの利用時間が増えている。一方、最も利用者の多いAmazonプライム・ビデオの利用時間が増えたユーザーは半数以下であった。

このプレスリリースの付帯情報

表1.有料動画配信サービス利用者数 需要予測

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用語解説

【本資料の調査結果・推計データについて】

*この調査は、動画配信サービス運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,407人へのWebアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析したものである。アンケート実施日は2023年2月21日から3月2日。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、ICT総研スタッフによる取材やアンケート調査、各種文献等を元に当社アナリストが記述・推計したものであり、当該企業や公的機関等の公表値と異なる場合がある。
*本資料における全ての文章、数値、表、グラフデータは、資料公開時点のものであり、その後の市場環境等の変化や新たな分析に基づき予測データ等を予告なく変更する場合がある。
*本資料は報道・ニュースメディア向け資料であり、ICT総研の許可無く、データ、グラフ等を広告および販促活動に利用することを禁止する。
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