中堅・中小向けERP市場における「リプレース提案」と「新規導入提案」の違い

ノークリサーチは中堅・中小向けERP市場の「リプレース提案」と「新規導入提案」の違いを分析し、各々の留意点をまとめた結果を発表した。

<ERP活用提案で訴求すべきポイントはユーザ企業の状況(継続、変更、新規)によって変わってくる>
■「リテンション提案」 「リプレース提案」 「新規導入提案」を区別して施策を講じることが大切
■リプレース提案においては海外展開、データ連携、スマートデバイス対応の訴求が効果的
■既存環境に影響されない新規導入では複数システムの組み合わせによるERP構築を重視

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年2月20日

中堅・中小向けERP市場における「リプレース提案」と「新規導入提案」の違い

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小向けERP市場の「リプレース提案」と「新規導入提案」の違いを分析し、各々の留意点をまとめた結果を発表した。 本リリースは「2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」のデータを元に更なる分析を行った結果の抜粋である。


<ERP活用提案で訴求すべきポイントはユーザ企業の状況(継続、変更、新規)によって変わってくる>
■「リテンション提案」 「リプレース提案」 「新規導入提案」を区別して施策を講じることが大切
■リプレース提案においては海外展開、データ連携、スマートデバイス対応の訴求が効果的
■既存環境に影響されない新規導入では複数システムの組み合わせによるERP構築を重視


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■「リテンション提案」 「リプレース提案」 「新規導入提案」を区別して施策を講じることが大切
中堅・中小企業向けのERP市場では、「クラウド(SaaS)との併用やノーコード/ローコード開発ツールとの連携」、「個々の基幹系システムからのステップアップ」などの要因によって、今後の社数シェア変動が予想されている。(この点に関する詳細は以下のリリースを参照 リンク
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業(有効回答件数1300社)に対して、ERPの導入状況を尋ねた結果である。 「導入済み:継続」と「導入済み:変更」を合わせた導入済み割合は全体の34.5%だが、導入済みのうち、1/4は「導入済み:変更」が占めている。つまり、現時点でERPを導入しているユーザ企業の4社に1社はリプレースを予定していることになる。
また「未導入:予定なし」が約5割に対して、「未導入:新規予定」が約1割であることから、ERP未導入のユーザ企業の6社に1社は新規の導入が見込めることになる。
そのため、顧客の維持/拡大を図るためには「リプレース提案(リプレース防止策も含む)」や「新規導入提案」を成功させることが不可欠となる。既存顧客の意見を収集した改善策は満足度を高めて関係維持に努める「リテンション提案」には効果的だが他社への流出を防ぐまたは他社からの奪取を試みる場面では「リプレース提案」の視点に基づく分析が必要だ。(リプレースの引き金となった課題が既存ベンダに伝わっていないケースもある) さらに「リプレース提案」と「新規導入提案」も留意すべき点が異なってくる。
上記のデータは「2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と調査レポート」に収録されているが、ノークリサーチではERPを開発/販売する個々のIT企業を対象に「リプレース提案」や「新規導入提案」を成功させるための個別の分析/提言を行うブリーフィングも数多く実施している。ERP製品/サービスの現状/特色/方針に応じて分析/提言も当然ながら変わってくるが、次頁以降では多くのERP製品/サービスに共通する「リプレース提案」と「新規導入提案」の留意点を述べていく。

■リプレース提案においては海外展開、データ連携、スマートデバイス対応の訴求が効果的
本リリースの元となる調査レポートで計23項目に渡る以下の選択肢を列挙して、中堅・中小企業がERP活用において直面している課題は何か?を集計/分析している。
<<機能に関する項目>>
複数モジュール間のデータ連携ができない
データを集計/分析して経営に活かせない
独自開発システムと比べて機能が足りない
業種別/業態別のラインアップが十分でない
ワークフローとERPの機能が連携していない
(※1)海外展開に必要な機能が不足している
Web会議の中でデータを参照/共有できない
部門を横断した業務計画を作成/管理できない
人材活用を重視したプロジェクト管理ができない
<<個別の機能要件への対応力>>
(※4)プログラミングしないと項目や画面を作成できない
(※2)プログラミングしないとデータ連携を実現できない
公開されたテンプレートが十分に提供されていない
APIで実現可能なデータ連携方法が限られている
<<クラウドに関連する項目>>
クラウドサービスの連携が急にできなくなる
パッケージとSaaSを選択/併用できない
<<業務の効率化に関連する項目>>
(※5)自社の業務をERPの仕様に合わせることができない
経営判断やシステム管理/運用が属人化している
システム間のデータ転記作業を自動化できない
複数システムを連結して処理を自動化できない
データから処理内容を自動で判断できない
紙面データの入力作業を自動化できない
<<クライアント環境に関連する項目>>
(※3)スマートデバイスに適した画面が備わっていない
Webブラウザでは限られた機能しか利用できない
<<その他>>
その他:
課題は全くない(排他)
以下のグラフは上記の中から(※1)~(※5)を抜粋し、「導入済み:継続」と「導入済み:変更」における回答割合の違いを比較したものだ。つまり、ERPにおける「リテンション提案」と「リプレース提案」の違いに着目した分析結果ということになる。
※1、※2、※3は回答割合が「導入済み:継続」 < 「導入済み:変更」となっており、リプレース提案に関連して留意すべき課題だ。
「海外展開」(※1)、「データ連携」(※2)、「スマートデバイス対応」(※3)といったようにERP本体というよりも、周辺の機能強化が求められていることがわかる。一方で、※4や※5の回答割合は「導入済み:継続」 > 「導入済み:変更」であるため、リテンション提案で留意すべき課題となっている。そこではERP本体の個別要件への対応力が重視されていることが読み取れる。さらに※2と※4の比較が示すように、同じ「プログラミング」に関連した課題においても「データ連携」はリプレース提案、「個別の項目/画面の作成」はリテンション提案と結びつきやすいという違いがある点に注意が必要だ。
上記の結果を俯瞰すると、「導入済み:継続」のユーザ企業は現状のERP環境を維持しつつ自社の個別要件への更なるフィットを求めている一方、「導入済み:変更」のユーザ企業は他システムとの連携も含めてERP環境を拡大/拡充させようとしていることがわかる。このようにリテンション提案とリプレース提案ではユーザ企業の求める方向性が異なる点に注意が必要だ。次頁では今後のニーズに関するリプレース提案と新規導入提案の違いを見ていくことにする。

■既存環境に影響されない新規導入では複数システムの組み合わせによるERP構築を重視
さらに、本リリースの元となる調査レポートで計23項目に渡る以下の選択肢を列挙した上で、中堅・中小企業に対してERP製品/サービスが今後持つべきと考える機能や特徴は何か?についても尋ねている。
<<機能に関する項目>>
(※1)複数モジュール間のデータ連携が容易である
様々なデータを集計/分析して経営に活かせる
独自開発システムと比べて機能が豊富である
(※5)業種別/業態別のラインアップが豊富である
ワークフローを起点に各機能が連携している
海外展開に必要とされる機能が豊富である
Web会議の画面上でデータを参照/共有できる
(※6)部門を横断した業務計画を作成/管理できる
(※7)人材活用を重視したプロジェクト管理ができる
<<個別の機能要件への対応力>>
プログラミングをせずに項目や画面を作成できる
(※2)プログラミングをせずにデータ連携を実現できる
公開されたテンプレートを取捨選択できる
APIを用いて様々なデータ連携を行える
<<クラウドに関連する項目>>
(※3)クラウドサービスの組み合わせでERPを構築できる
パッケージとSaaSを選択/併用できる
<<業務の効率化に関連する項目>>
雛形に沿って自社の業務をERPの仕様に適合できる
経営判断やシステム管理/運用の属人化を防げる
システム間のデータ転記作業を自動化できる
(※4)複数システムを連結して処理を自動化できる
データから処理内容を自動で判断できる
紙面データの入力作業を自動化できる
<<クライアント環境に関連する項目>>
スマートデバイスに適した画面が用意されている
Webブラウザで大半の機能が利用できる
<<その他>>
その他:
評価/満足している機能や特徴は全くない(排他)
以下のグラフは上記の中から(※1)~(※7)を抜粋して、「導入済み:変更」と「未導入:新規予定」における回答割合の違いを比較したものである。つまり、今後はERPにおける「リプレース提案」と「新規導入提案」の違いに着目した分析結果となる。 ※1、※2、※3、※4は回答割合が「導入済み:変更」 < 「未導入:新規予定」となっていることから、新規導入提案において訴求すべき項目に該当する。一方、※5、※6、※7は「導入済み:変更」と「未導入:新規予定」の差が比較的小さく、新規導入提案における強い差別化要因とはなりにくい項目だ。これらを総合すると、これからERPを新しく導入しようとするユーザ企業は自社の業種/業態への適合度や人材活用における効果よりも、複数のシステムを連携してERPを構築できることを重視していることがわかる。これはシステムを細分化することで、段階的な拡充やリスクの局所化を図ろうとしていると捉えることもできる。だが、様々なベンダ/事業者に渡るシステムを組み合わせてERPを構築することは容易ではない。実際は多様なシステム連携の中心を担えるERP製品/サービスを訴求することが現実解になると予想される。このように、既存システムの足かせがない新規導入提案では、現状の課題に基づくリプレース提案とは異なるニーズ傾向を示すことも多い。ここではERPを題材とした結果の一部を紹介したが、ノークリサーチでは様々な業務分野においても同様の分析/提言を行っている。

本リリースの元となる調査レポート

『2022年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野に渡る業務アプリケーション(ERP、会計管理、生産管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービス)の導入済み/導入予定の社数シェア、運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズを網羅した必携書
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他(公共/自治体など)
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【全体の構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に上記に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)を尋ねた結果を集計/分析している。
また、業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針(「サードパーティ保守」「サブスクリプション」「セキュリティ認証」などの20項目に渡るトレンドのうち、ユーザ企業は何を重視するか?)についても尋ねている。
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
各分野について20ページ前後からなる分析サマリが計10ファイル、加えて「業務アプリケーションの導入/更新に関する方針」をまとめた分析サマリが1ファイル、合計11ファイルのPDFドキュメントが収録されている。計10分野の分析サマリは以下の章構成となっている。
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」と「製品/サービスの導入社数シェア」を確認した後、最も主要な製品/サービスの「導入年」と「評価概況」についても分析を行っている。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」について分析を行っている。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。さらに、業務アプリケーションの導入/更新に関する全体的な方針を尋ねた設問「P0」と各分野の製品/サービスとの関連についても分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。
【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2022年10月17日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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